辛い時にはいつも本があった

辛い時にはいつも本があった

辛い時、苦しい時、悲しい時に書店に行くといつもその時の気持ちにぴったりの本との出会いがありました。

【おすすめ本77】『地図でスッと頭に入る戦国時代』武将トーナメント付き

『地図でスッと頭に入る戦国時代』

監修 大和田哲男

2020年 昭文社発行

 

豊富な絵(地図や戦国武将のイラスト)で、

手にとったら読みたくなるのがこの本。

 

 

f:id:nonko-h:20211110185851j:plain



この本をおすすめしたい人

  • 戦国時代を違う視点からみてみたい人
  • 戦国時代の戦略を地図で確認したい人
  • 戦国時代に詳しくない人
  • 戦国武将について気軽に知りたい人

 

監修者紹介

小和田哲男(おわだてつお)

 

1944年、静岡生まれ。

早稲田大学大学院文学部研究科博士課程終了。

文学博士。

現在、静岡大学名誉教授。

公益大残法人日本城郭協会理事長。

専門は日本中世史。

著書に『家訓で読む戦国 組織論から人生哲学まで』(NHK出版)、『戦国武将の生き方死にざま』(新人物往来社)、『明智光秀・秀満 ときハあめが下しる五月哉』(ミネルヴァ書房)など多数。

 

『地図でスッと頭に入る戦国時代』

 

この本のおすすめポイント

  • ひとつの戦略が見開き1ページにまとまっている
  • 地図が豊富で目で楽しめる
  • 武将ごとの戦略地図になっている
  • 地図上での各戦国武将の動きを目で追える
  • 説明が簡潔で戦国時代に疎い人もとっつきやすい
  • 武将トーナメント表がとにかく面白い

 

心に残った点・役に立った点

武将トーナメント表

この本を開いて最初に目にするのは、

戦国大名 天下取りトーナメント!」

 

まず、これに目を引かれる。

 

戦国時代の武将を高校野球のように、

トーナメント表にしてあるのだ。

 

それぞれの武将に誰もが自分なりのイメージを持っている(と思う)

(強いとか弱いとかも含め)

 

戦国時代の武将はキャラクターで捉えがちだが、

このトーナメント表をみると、誰が強かったのかが一目瞭然。

 

そして、戦いの流れもわかる。

 

これはとてもおもしろい企画。

 

「勝ち抜きレースでわかる戦国時代」

というサブタイトルがついている通り、とてもわかりやすい。

 

うはぁ!

すごい!さすが!

 

と、思わず声をあげてしまった戦国武将がいたが、

これから読む人のためにそれは伏せておきます。

(でも大体わかるだろうけど。何がすごいって戦いの期間が短くてまたたく間にトーナメントをかけあがっているように見えるのだ)

 

トーナメント表をみると、

自分の記憶の中にあるイメージとちょっと違う部分もあって、

それも面白かった。

 

群雄割拠の時代

戦国時代というと、

織田信長などのスターが出てきてからの事を目にすることが多い。

 

だから、この第一章 群雄割拠の時代は興味深く読めた。

 

太田道灌の活躍、朝倉孝景の自立、北条早雲駿河入り。

 

斎藤道三の戦略地図も載っているが、

斎藤道三というと信長に娘を嫁がせたイメージの方が大きかったので、

信長の父、信秀とも2度ほど戦っており勝利している事、

美濃の土岐頼武、頼純、頼芸を一網打尽にせず、策略で勝利するなど

戦い方を知れたのはためになった。

 

今川義元織田信長との桶狭間の戦いで有名だが、

武田・北条との戦いに終止符を打ち、

駿府を中心に今川文化が花開いたこともあり

”海道一の弓取り”と称えられたことも知り、まさに全盛期を築いた事も知った。

 

 

第二章 織田信長の時代

 

以前、笠原真樹氏のマンガ『群青戦記』を読んだ。

面白いが、悲しい場面も多いし、ヒリヒリするマンガ。

 

その『群青戦記』に出てくる織田信長たるや。

 

もう、覇王という言葉がぴったり。

そして、グロテスクなまでに恐ろしく書かれている。

 

この本では第二章がほぼ織田信長関連。

 

やはり、織田信長は戦国時代のスターなのだなぁ。

 

第二章を読みすすめていくと、

戦いを通して、信長の人生が浮かび上がってくる。

 

信長に滅ぼされた戦国大名たちも

素晴らしい戦国大名なのだとわかる。

(戦国時代なのだから領土を保って生き残っているだけですごい)、

だからこそ、ほろ苦い。

 

織田信長は時代を駆け抜けていったのだなぁ。

 

歴史のタラレバは禁物というが、

織田信長が天下統一した後の日本をみてみたかった。

 

第三章 天下人の時代

第三章は、本能寺の変の後から始まる。

 

第三章のはじめのページに、

本能寺の変勃発直後の情勢」の地図が載っている。

 

これをみると、その時の勢力がひと目で分かる。

 

中部~畿内織田信長の勢力、

四国は長宗我部、

中国は毛利、

九州は島津なのがひとめでわかる。

 

面白いのは、今の栃木あたりから青森はまだ群雄割拠で、

大きな勢力に制圧されていないのがわかる。

 

伊達政宗は山形の米沢出身なので、米沢あたりも伊達家になっている。

 

関が原の戦いは天下分け目といわれるだけあって、

地図で戦略をみるととてもわかりやすい。

 

この三章で興味深いのは、

豊臣秀吉朝鮮出兵の戦略地図が載っていること。

 

ここには、

この文禄・慶長の役には別の意味があったのではないかと書かれている。

(その内容はどうぞ本を手にとってみてください)

 

加藤清正の進路、小西行長の進路も地図に書かれている。

 

全126ページと薄めの本だが、なかなかおもしろい。

 

おすすめです。

 

 

 
 
 

 

【おすすめ本76】『渋谷ではたらく社長の告白』サイバーエージェント 藤田晋

『渋谷ではたらく社長の告白』

藤田晋

2005年発行 株式会社アメーバブックス 

 

 

私の父は、学生時代麻雀をかなりしたらしい。

 

麻雀の話はそれほど聞いたことがないが、

他の人にはろくでも無い内容でも、私は面白く聞けた。

(ちなみに父は雀鬼の桜井の本も持っていて「考え方が商売に役に立った」と言っている笑)

 

父の事があるかどうかはわからないが、

学生時代、ちょっとぐらいろくでも無いことを体験した人の方がなんと無く好きで親近感を持つ。

 

この本の著者、藤田晋さんは

私の中では”麻雀が強い人”。

 

IT業界にいるのに、

(今どき)麻雀が好きな人。

(麻雀は私の子供の頃にくらべ廃れたように思うので)

 

そのギャップで、何故か好感を持っていたので、

興味を持って手にとった本。

(2005年とだいぶ古い本だが)

 

f:id:nonko-h:20211106123327j:plain

 

この本をおすすめしたい人

 

この本のおすすめポイント

  • なぜだか仕事のモチベーションが上がる
  • 自分の意志ならハードに働くことが決して悪いことではないと思える
  • 純粋に面白くてページを捲る手がとまらない
  • 営業系のIT企業の社長の目で書かれた本(プログラマー出身ではない)

 

心に残った点・役に立った点

 

人間関係の間で

この本は、人間関係においてもかなり赤裸々にかかれている。

 

起業する時に裏切ってしまった人(まだ24歳!)、

結果的に切り捨てていった人たち。

 

若き日のホリエモンもちょこっと出てくる。

 

そして、楽天三木谷社長と藤田さんのつながりは有名だが、

もちろんその事も書かれている。

 

やっぱり、今も昔も会社も仕事も人間同士の関係でできているんだなぁと、

思わせられる。

 

あの時代の熱く濃厚な人たちが書かれている。

 

 

学生時代からスタートは始まっていた

 

驚いたのは、大学生時代に”スーツを着る仕事”のアルバイトを始めたこと。

それもかなりハードに。

 

卒業したくない、

社会に出て仕事をする事に漠然と不安を感じていた私にとっては、

かなり驚き。

 

そうか。

抜きん出ている人っていうのは、

学生時代からスタートを切っているのだ。

 

就職も流されるまま決めた私にとっては、

ある種の羨望を感じる。

 

要するに、学生時代から

既に仕事にハマっていたそうなのだ。

 

ハマるほど仕事をしたことがあるのか?

思わず自問自答。

 

生活の殆ど、

意識の殆ど、

与えられた時間の殆どを使って仕事をすれば、

それは自ずと結果もついてくるだろう。

 

自分の意志で、したくてする事が仕事。

 

ハードに働く事は、

今の時代問題に思われるだろうが、

それだけ情熱を傾けられることが羨ましい。

 

仕事は一日の時間の大半を費やす事なわけで、

お金のためだけではなく、こんな風に自分のありったけを傾けられたら。

 

毎日が成長しそう。

 

そして、それをできる”若さ”というものが羨ましくもなる。

 

 

サイバーエージェントはこうして成長した

 

彼が奥菜恵さんと結婚した時は、

いかにも(その時彼は六本木ヒルズに住んでいたわけではないがヒルズ族とか言われていた)だなぁーと正直思った。

 

だが、その前に

自社の株で辛酸を嘗めていた事は知らなかった。

 

ネットバブルの崩壊は私自身、あまり体感が無かった。

その当時、パソコン関係の仕事をしていたのに(IT関係では無かった)

 

だから、この本を読んで

そうだったのかーと。

 

この本で書かれている情景はかなり辛い。

だが、読む側は今のサイバーエージェントを知っているから、

「あー、大変なこともあったんだなぁー。」という気持ちで読める。

ハッピーエンドを知っていて読めるのだ。

 

ちなみに、

「渋谷ではたらく社長のいち日」という本の最後の方にある章では、

奥菜恵さんと朝くつろぐ写真が載っている。

 

離婚するまでの1年ちょっとの短い間に出された本だったのねー。

 

物語としても面白く、

起業する際のリアルな体験記にもなっている。

 

自分にとって仕事とはも考えさせられた。

 

だいぶ前の本だけど、おすすめの本です。

 

 

 

 

 

 

【おすすめ本75】『上を向いて生きる』宮本亞門 がんは命の勲章

『上を向いて生きる』

宮本亞門

2020年 幻冬舎発行

 

f:id:nonko-h:20211024095823j:plain

 

この本をおすすめしたい人

  • コロナ禍で気持ちがウツウツとしている人
  • 自分もしくはご家族ががんの人
  • 老いを感じて憂鬱な人
  • 両親に葛藤を持っている人

 

この本のおすすめポイント

  • 辛い人みんなを応援する内容なので、気持ちが明るくなる
  • 前立腺がんについてかなりオープンにしている(普通の人ならいいにくいことも)
  • 生きることが辛い、生きる価値が無いと思ってきた著者だから語れる事なので心が温かくなる
  • コロナ禍から立ち上がろう!というメッセージがこめられている

 

心に残った点・役に立った点

上を向いて歩こう」プロジェクト

この本を読んで始めて、

2020年4月、宮本氏がYouTube上で「上を向いて歩こう」を歌い紡ぐプロジェクトを立ち上げたことを知った。

 

そのきっかけになったのは、

2020年2月に氏がニューヨークに滞在していた時、

行きつけのレストランでアジア人だけで固めた端の方の席に案内されたことだそうだ。

コロナによる分断を感じた瞬間。

 

舞台が次々と中止になり、

なんのために舞台を作っているのか改めて考えるようになったとのこと。

 

ミュージカルは、勇気と希望を与えることが役目なら、

できることは無いかと考えたのがそのプロジェクトだったそう。

 

事務所を通さず、直接電話で無償で歌うことを交渉。

これは芸能界のルール違反。

「無償はありえません」と断られたり、

「こういうことをさせたかったんです」

と喜んでくれたりとマネージャーの反応はバラバラだったとのこと。

 

だから、このプロジェクトで歌っている人たちは

みんな無償で歌っている人達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辛い時期や、悩んでいる時期は、

頑張れ!頑張れ!(だって頑張っているのにね)

ポジティブに!ポジティブに!ネガティブはダメ!(ネガティブがあるからポジティブもあるのに)

というような曲よりは、

上を向いて歩こう」のような、曲のほうが心に響くんだなぁーと。

この曲は、人によって受けてとり方や感じ方が違ったりするだろうし、ぴったりの曲なんだね。

 

 

立ち止まるきっかけ

コロナウィルスで現れてきたように見えるように見える問題も、

もともとあった問題がそれぞれの国ではっきりしてきた結果と、この本で宮本氏は言う。

 

演劇界でも、日本の演劇人は、

自分たちの仕事の環境をあまり話をしてこなかったそう。

組合も少なく、舞台は初日のギリギリまで絶対仕上げなきゃと徹夜して開けてきた。

 

外国人スタッフは、

「この国は信じられない」「全員が怒鳴ることなく、黙々と休まずに働いている」

と驚くのだそう。

全員がボロボロになりながら、こんなに短時間で作らなければならない舞台は世界中で日本だけなのだそうだ。

 

コロナウィルスは、そういう誰も止めることができなかった現状にブレーキをかけてくれたと。

 

 これまで、早く、安く、儲けることが主軸となっており、「ああでもない、こうでもない」と、皆でブレインストーミングする時間もなかった。今後の未来や、社会における意味合いなどについて話す時間もありませんでした。

 

 ですから、アーティストに対する補償金の少なさなども、新型コロナウィルスによって膿が出た、と言えるのだと思います。新型コロナウィルスによって生じた、今回の巨大なブレーキ。これは、演劇界だけでなく、全ての分野においても、縦割りではなく、横に繋がることの大切さを、教えてくれているのだと思うのです。

 

『上を向いて生きる』より引用

 

そう言えば、バレエの熊川哲也氏はロイヤル・バレエ団で活躍されたが、

海外は代役が必ずいる、だが日本は代役なしでやるので怪我をしても無理して出演しなくてはならない。

当然ながらベストなパフォーマンスではないし、体にもものすごく負担がかかると言っていた。

 

人に無理させて(時には切り捨てて)創り上げる風習(一般の会社もそう)が、日本は強すぎてそれを美化したり美談にしたりしてごまかしてきたが、苦しまなくても良いようにシステムを変えていく時期に来ているのかもしれない。

 

歴史を知らない人は歴史を繰り返す

 

 私達人類が誕生してから、何度も私たちは大きなサイクルを繰り返し経験してきました。例えば約200年前も、1833年に冷害や長雨の異常気象で大飢饉に。そのペール艦隊が強制的に日本を開国。翌年には、東海沖でマグニチュード8.4の大地震。その翌年には江戸で直下型大地震が置き、死者多数。そして数年後、外国人が持ってきたコレラが大流行し、江戸でも10万人近くが死亡。その時のデマによる虐殺のため、治安維持法が成立して、1929年に世界大恐慌が訪れます。

 (中略)

 恐れずに言うならば、森羅万象すべては、崩壊させられることで、次に進化してきたのですから。

 でも、大丈夫。私たちには、自分たちのみを守るためにそれを乗り越えてきたDNAがあります。不安な時はDNAのアンテナを張って、五感、六感もフル回転させ、直感と予感を大事にしてください。

 あと数年すれば「あの時があったから、変われたんだね」と微笑んで話せる時が必ず来ます。新たに訪れる時代のためにも、温故知新の気持ちで歴史を知り、あなたのDNAのアンテナを張って、心穏やかに心身を守ってください。

 

『上を向いて生きる』より引用

 

これを読んでひとつの気付きがあった。

 

私が存在しているということは、

上記引用の時代にも、私の先祖は生き残ってきたということ。

 

大飢饉にも、コレラにも、そして戦争にも。

(私の両方の祖父は戦争に行っている)

 

私が知っている先祖は、祖父祖母あたりまでだが、

顔も知らぬ私の先祖たちが生き残ってくれたから私がいるんだなぁと。

 

私の知らない先祖たちに感謝がわいてきて、

自分でも説明できない気持ちになった。

 

乗り越えてきたDNAがある。

私の中にも、主人にも。

義父の事を考えるとイライラすることもおおかったが、

義父だけではなく、その両親や先祖がいなかったら主人もいなかったんだなぁ。

 

 

あなたにも。

 

考えれば当たり前の事なんだけど、

この気付きは私にとって大きかった。

 

がんになって感謝を知る

 

 不安と恐怖はあなたの心が暴走して作った虚の世界。

 

『上を向いて生きる』より引用

 

 

この一文を読んで思い出したのは、ミシガン大学研究チームの調査。

 

「心配事の80%は起こらない」という結果がわかり、

残り20%のうち、16%は準備をしていれば対応可能なこと。

だから、この一文にはとても納得し、心にしみた。

今不安な人は、この一文が心に響くのではないだろう。

 

この本の中で、

宮本氏は前立腺がんのことをかなりオープンに話している。

こんな事までばらしていいの?

イメージとか大丈夫なの?

という心配をしてしまうほど。

 

前立腺生殖器なので、オープンに表で語られることもそう無いわけで。

 

語り辛い部分があるかもしれないのにとも思うが、

伝えられることは伝えていこうと思っているとのこと。

 

その部分が宮本氏が人間としてかなり大きくなって、日々成長し、

自分の伝えられるものを沢山の人に伝えたいという気持ちが伝わって来た。

 

この本の中で、

がんの事が語られているのは、ごく一部だが、

がんの人やご家族の人にも読んで欲しい内容だと思った。

 

「生きる」とは

 ミュージカル『生きる』は、

2018年に初演し、2020年再演。

 

私はこの本を読むまで、

ミュージカル『生きる』の事は知らなかったのだが、

まず黒澤映画をミュージカルにするということに驚いた。

 

映画『生きる』は、ものすごく好きという映画ではないが、

(なんと言っても『七人の侍』が全てにおいて最高に感じる)

とても心に残る映画。

 

 

 

PVを観たが、これ観たかったなぁーと悔しく思った。

コロナ禍は、本当に沢山の人の心の栄養を奪っていった。

(必要不可欠ではないかもしれないが、本や映画、舞台などが生きていく勇気を与えてくれることもあるし、実際に死を思いとどまられせて人の命を救うこともある。コロナ禍でいらないものと切り捨てられるのは残念だった)

 

 

 

鹿賀丈史さん、いいですね。

同じ劇団四季出身の市村正親さんとのダブルキャスト

 

私は何故か、若い時から「この俳優さんいいなぁー。」と思う男優の方は

決まって歌って踊れる方。

 

山口祐一郎さんは、20年くらい前のNHKドラマ

『昨日の敵は今日の友』で、お風呂で気持ちよさそうに歌っているのをみて、なんてのびのび歌うんだろう!とファンになった。

飄々としたように見えるところもいい。

 

 

 

あと、子供の頃は村井國夫さんのファンだった。

(声と佇まいが子供ながらにも好きだった)

 

そうか。

この本のテーマも「生きる」という事なのかも。

 

沢山の経験をして(生と死も)60歳過ぎたからこそ書ける内容。

 

 弱気になった時、宣言してください。

 生きて!生きて!上を向いて生きる!

 

 

『上を向いて生きる』より引用

 

おすすめです!

 

 

【おすすめ本74】『写真とイラストでわかる 大正時代をのぞいてみよう』

『写真とイラストでわかる 大正時代をのぞいてみよう』

編著:『大正時代をのぞいてみよう』編集委員会

株式会社汐文社

2021年1月 発行

 

 

f:id:nonko-h:20211023115144j:plain

 

 

今回は絵本。

 

大人も楽しめる内容なので、お子さんと一緒にどうぞ。

 

 

この本をおすすめしたい人

  • 大正時代をお子さんと一緒に知りたい人
  • 鬼滅の刃で大正時代に興味がわいた人
  • お子さんに楽しんで100年前の日本を知ってもらいたい人

 

この本のおすすめポイント

  • 写真やイラストが豊富
  • 大正時代の暮らしだけではなく、ファッション、文化、戦争や災害などの歴史分野も書いてある
  • 大正時代が自分の認識よりはるかに進んでいて驚く

 

 

 

心に残った点・役に立った点

 
アニメとこの本

 

よくよく見ると、表紙に炭治郎の羽織の柄なのに、

ふふふ(笑)となった。

 

今秋、アニメの『大正オトメ御伽噺』を見始めたが、

この本に載っていた風景が何度も出てきてびっくり!

(デパートとか)

 

おかげで、より楽しめている。

 

マンガ『ゴールデンカムイ』は、

明治時代なのでこの本の世界よりも前なのかーと思うと

文化面、歴史面などを見るにつけ感慨深くなった。

 

 

大正時代ってどんな時代?

 

大正時代は今から約100年前の時代です。

100年前なんて、すごく昔のような気がします。

でも、100年前の子どもたちもチョコレートやキャラメルを食べたり、カルピスを飲んだり、キックスケーターのようなおもちゃで遊んだりしていたんです。

休みの日には映画を見たり、カフェでお茶を飲んだりしてすごしていました。

今と似ているような気がしますね。

でも、ちょっとずつちがうんです。

チョコレートやキャラメルは、デパートで売っているような高級なおかしでした。映画には音がありませんでした。電気やガスが整いはじめましたが、まだまだ炭を使って料理をしたり、部屋を暖めたりしていました。

今と似ているようでちがう大正時代。どんな時代なのかのぞいてみましょう。

 

『写真とイラストでわかる 大正時代をのぞいてみよう』から引用

 

まず、本を開いて表紙カバー裏にあるこの文に驚き!

 

そうか、100年前というと私の子供の頃は明治時代だったイメージなので(いつも夏目漱石が思い浮かぶ)、それから年月が経ち現在から100年前は大正時代になったんだなぁーと。

 

チョコレートもキャラメルもカルピスも昭和のイメージ。

でも既に大正時代にあったし、キックスケーターもあったなんて。

 

この驚きのまま、好奇心がむくむくわいて、

楽しくこの本を眺めることができた。

 

 

大正時代に既にあった!

この頃に既にあったものは、驚きの連続。

 

最先端の高級住宅では、

なんと水洗トイレもあったのだそうだ!

(もちろん和式)

その水洗トイレは棚などもあって、まるで小さな和室みたい。

 

え!そうなの!と思ったのは、

「カラスのちょっとかしこくなる話」のコラムの中にあった、

”シャーペン誕生!”

 

大正4年に、日本初の国産シャープペンシルが誕生。

早川金属工業の早川徳次さんが発明とのこと。

 

ちなみに、早川金属工業の今の会社名は、シャープ

 

だからか!

と、シャープという会社名とシャープペンシルが結びついた。

 

もちろん、金属工業会社なのでシャープペンシルの軸は金属製。

 

面白いなぁ。

 

 

大正時代の建物

 

東京駅は、大正3年に建てられたそうで、

この本の写真をみても、本当に圧倒的な存在感。

そして、とてもきれい。

 

そして、東京駅の向かいに建てられた丸ビルの写真をみて、

のけぞるほど驚いた。

 

当時、日本最大のビルで、低層階は店舗、上層階はオフィスビルとなっていて、複合ビルの先がけだったそうだ。

 

写真をみると、とても巨大。

 

大正時代すごい。

 

この写真を主人に見せたら、

「今の丸ビルと形が同じだ!!」

と主人も驚いていた。

 

えー!形はちがうでしょ!

と思ったら、今の丸ビルの下の部分が

大正時代の丸ビルと同じデザインになっているのね。

 

今の丸ビルを設計するときに、

この大正時代に出来た丸ビルのデザインを残したんだなぁとわかる。

おつなことをするなぁと感心。

 

他にも、東大の大講堂なども大正時代。

 

大正時代にあった高い建築物は、

「東京凌雲閣」「大阪通天閣」など。

 

東京凌雲閣は、明治23年に建てられたレンガ造りで、

日本初のエレベーターがあったそう。

 

大正12年の関東大震災で倒れてしまったようで、残念。

 

そういえば、この間みた『大正オトメ御伽話』にも、

東京凌雲閣が背景にあって「あっ!!」と思って面白かった。

 

 

自由と平等、歴史

 

この本は絵本だが、

大正デモクラシー治安維持法普通選挙法、

女性解放運動などの事も書いてある。

 

なかなか内容も高度で、

全国水平社やロシア革命で日本の米が値上がりしたことなども書かれており、

のちのち歴史の教科書で学ぶこともちゃんとわかりやすく説明してある。

 

子ども用だからと子どもの世界だけではなく、

きちんと、世相や歴史を学べるようになっている点がとても良い。

 

おすすめです!!

 

 

【おすすめ本73】『ルックバック』藤本タツキ ジャンプコミックス 『チェンソーマン』作者

『ルックバック』

藤本タツキ 

ジャンプコミックス 株式会社集英社 2021年9月発行

 

f:id:nonko-h:20211017085124j:plain

 

 

ジャンプ+ 史上最多閲覧 読み切り作品

 

実家に行った時、

弟が差し出してきたのがこのマンガ。

貸すから読んでみてということ。

 

チェンソーマンの名前は知っているが、この作者の作品は読んだことが無かった。

 

パラパラと中身をみたら、

これは読んで悲しい思いをするかも、とすぐには読めなかった。

 

で、すぐ読んだ主人は、

「(義理の)弟は、京アニの事件の事、心に残っているんだねー。」

と言った。

 

そう言えば、私の弟は京アニが好きだ。

(日常系のものが好きなんだそうだ)

私は『聲の形』しか見たことがないが、この映画は大好き。

(でも個人的には結末とか過程とかを考えるとマンガの方が好きでおすすめだけど)

 

弟は絵を書くのが好きでインスタなどに載せていたりするので、

京アニの事というよりも

創造すること、描くことについての共感を強く感じて私におすすめしたのかなぁと今は思う。

 

この本をおすすめしたい人

  • マンガ、絵、イラスト、デザインなど何らかの創作活動をしている人
  • 心に残るマンガを読みたい人
  • 今中学生や高校生の真っ只中の人
  • ひきこもりの人
  • 喪失感を感じている人

 

この本のおすすめポイント

  • 心に何か残る(何かの内容は人それぞれだと思う)
  • 描くということ、何かを創るという事の熱量を感じる
  • 自分の中にある、気が付かなかった小さなエゴや喪失感が浮上したりするのでそれを感じることができた(私は)

 

心に残った点・役に立った点

 

引っかき傷

 

最初は、このマンガの絵にウェットなものを感じてちょっと怯んだ。

悲しい思いはしたくない。

 

だから、子供の頃から悲しいアニメなどは嫌いだった。

フランダースの犬』とかね。

(何故か小説などは平気)

 

このマンガは弟から手渡されたので、返す前に読まなくちゃとギリギリになって読んだ。

 

そしたら、

すごく心に残った。

今でも何だか考えてしまう。

 

でもいいのだ。

本やマンガや映画には、何か心に残るものを期待する。

それが、心に引っかき傷を残すものでも。

後に何も残らないものも多いから。

 

そしてこのマンガは私の心のなかに、しっかりと引っかき傷を残してくれた。

 

しばらくは残りそう。

 

こんな私の心に消えないものを残してくれる作品が好きだ。

 

ルックバック

マンガのタイトルは、最初に表紙を見た時は、

漫画を書いている後ろ姿の事なんだなぁと思った。

 

だが、最後まで読んでみると、

いくつかの意味が込められていることがわかる。

(読んだ後に「そっかー、そっかー。」と思う)

 

そういや、むかーし読んだ森瑤子のエッセイに、

小説家になりたかったお父様が(小説の賞の佳作だかには入ったことがあるような事を書かれていたが失念)、小説を書いている後ろ姿に壮絶なものを感じたことを書いていた。

 

その時に、創作する事は内側をえぐるような事で、

孤独な事なんだという事を感じた。

 

このマンガの表紙の後ろ姿は小学生の主人公。

 

マンガの中にも、後ろ姿が嫌というほど描かれている。

それで季節がすぎたのとかがわかったりもする。

 

このマンガに出てくる2人は、

マンガや絵を描くことがもはや好きなことを超えて、自分になっている。

描くことが自分という感じで同化している。

 

それほどの事に出会えるなんて、

私のようにその時々で流されてきたものはうらやましくもある。

 

もくもくとした後ろ姿にエネルギーを感じる。

何という熱量。

 

お互いがお互いの後ろ姿をみながら歩んできたのだなぁとも思う。

 

可愛そうだと思う。

喪失感も感じる。

 

だが、可愛そう、悲しい、そんな気持ちの中に、

温かいものも心に流れる(それが何かはわからない)

 

96ページから123ページまでの内容は、

最初に読んだ時は悲しさしか感じなかったが、

2回目からは「そうかー」と束の間ふわっとした気分にもなった。

 

1回目に読むときと、

2回めに読む時では感じ方が違う人もいるかもしれない。

(だんだん色んな事を感じられるようになるというか)

 

 

このマンガは、

小説でも、映画でも表現できない内容ではないかと思う。

 

マンガでこそ表現できたものだと思う。

 

だから、これがマンガで良かった!

 

おすすめです!

 

 

10月23日追記

 

この本を貸してくれた弟と、

この本の内容についてLINEでやりとりした。

 

私が、京アニとこの本の事などを問いかけたあとの、

その中の弟の一文。

 

(ネタバレ含むので、ここから先は読んだ人だけ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頑張ってきた人が頑張ってない人に殺されるのが辛いと思った。

京アニの事件と全く一緒」

 

 

 

【おすすめ本72】『これまでの服が似合わなくなったら。』山本あきこ ”「40歳、おしゃれの壁」を乗り越える!”

『これまでの服が似合わなくなったら。』「40歳、おしゃれの壁」を乗り越える!

山本あき

2019年8月 株式会社幻冬舎発行

 

 

f:id:nonko-h:20211014191927j:plain

 

この方の本は、

『毎朝、服に迷わない』や『暖かいのにおしゃれになれる』を読んでいたので、

この本を見つけたときはドンピシャのタイトルにすぐ手にとった。

 

なかなか参考になったので、40歳以上の方是非どうぞ。

 

この本をおすすめしたい人

  • これまでの服が似合わなくなったが、どうすれば良いのか分からない人
  • 自分のコーディネートをブラッシュアップしたい人
  • 40歳を過ぎて、どんな格好をしていいのかわからない人
  • 年齢を気にしておしゃれにためらいがある人
  • いくつになってもおしゃれを楽しみたい人
  • 若作りではないおしゃれとは?を知りたい人

 

作者紹介

山本あき

スタイリスト。1978年生まれ。

女性誌や広告など多くの媒体でスタイリストとして活躍した実績と経験を持つ。その経験を活かし、モデルだけではない様々な人たちに似合い、取り入れやすい独自のコーディネート理論を確立。

「センスは持って生まれたものではなく鍛えられる」という信念のもと、一般の女性向けにスタイリングアドバイスを行う活動を開始。

予約と同時に申し込みが殺到する「予約の取れないスタイリスト」に。

「どんな人でもいつからでもおしゃれになれる」をモットーにこれまで1万人以上の女性たちを変身させてきた。

作ったコーディネート数は20万を超える。

著書に『いつもの服をそのまま来ているだけなのになぜだかおしゃれに見える』『毎朝、服に迷わない』『暖かいのにおしゃれになれる』(いずれもダイヤモンド社)がある。

 

『これまでの服が似合わなくなったら。』より引用

 

 

この本のおすすめポイント

  • これまでの服が似合わなくなった事を、おしゃれを見直すチャンスにできる
  • 40歳を過ぎても自分らしさを加えたおしゃれを楽しめる
  • 年齢をネガティブに捉えず、受け入れたおしゃれができる
  • これまで着なかった色もチャレンジするきっかけになる
  • プチプラブランドの使い分けができる

 

心に残った点・役に立った点

 

「TPOP」のすすめ

 

まず、この本に共感したのは、

「おしゃれは自分本位がちょうどいい。」

という一文。

 

40オーバーのおしゃれというと、

あれを着てはだめ、これを着てはだめ、これは似合わないという禁止事項がならぶ本もある。

 

でも、おしゃれは自分がどういう気持かも大事。

そのためのおしゃれでもあるものね。

 

山本あきこさんが気がついたこととして、

”大人の女性のおしゃれは、「自分本位」くらいでちょうどいいということとのこと。

 

「自分本位」というのは、自分の気持ちを大切にして、自分らしいファッションを身につけること。

どんな人でも、自分らしいファッションを身にまとうと、自分に自身が持て、キラキラと輝いていくのだそうだ。

 

この自分本位のファッションを素敵に見せる考え方が、

「TPOP」。

時、場所、場合にふさわしいというのがTPOだが、

それだけだと、他人目線だけ。

 

自分の心もしっくりこない。

だから、山本あきこさんは、

「TPO」に「Produce(自己プロデュース)」を加えた「TPOP」をおすすめしているそうだ。

 

この考え方は、40オーバーの女性たちにしっくりくるのでは?

 

そして、なんだかもう一度おしゃれが楽しくなりそう!

 

 
華奢になった首筋と鎖骨は大人になったからこそもらえるプレゼント

 

これは、ほんとうに納得。

 

30歳になったばかりの時、

突然、ネックレスが映えるようになったように思えた。

 

それは、鎖骨周りの肉が落ちて鎖骨がはっきり見えるようになり、

なんだか華奢になったと勘違いした(が、それは年齢のせいだとすぐわかった)

 

鎖骨周りの肉が落ちた事は、ちょっとがっかりしたけど、

華奢になってちょっと嬉しかったなぁ。

 

この本では、デコルテを出す服をおすすめしている。

 

ある程度の年齢になると、デコルテの空きがあった方が

肌がレフ板効果になって顔周りがスッキリ明るく見えることに気がついた。

 

だから、デコルテ周りにある程度の空き領域をもってくるのは、

ほんとうに効果があるので、何だかこの本を読んで嬉しくなった。

 

色をもっと自由にまとう

私が最もこの本でウキウキしたのは、

第3章 色をもっと自由にまとう。

 

社会人生活も長くなると、

無難な色ばかりになってしまう。

 

会社に行く時はしょうがないかもしれないが、

やっぱり気持ちも変わらない。

 

ハッ!としたのが、

「選ぶべきは、にごりのない空っぽい色」

という文。

 

「40代からは土に還るより空に向かおう」

も、思わず笑ってしまったけどなるほど!と思う文。

 

ラベンダー、水色、ミントグリーン、レモンイエローなどのクリアな色を顔の近くにもってくると若々しくなるとの事。

 

肌色との相性が気になる場合は、ボトムスに持ってくるのもおすすめだそうだ。

 

私はどちらかと言うと、ボトムスは黒が多いので(よくよく考えるとマンネリだなぁ)

ボトムスにクリアな色を持ってくるのは是非挑戦してみたい!

 

118ページの、季節別取り入れたい色たちのステキ。

秋と冬に載っている色合いをあまり持っていないので、

季節を意識した買い物をしたいなぁと思った。

 

個人的には、117ページのコーディネートが好き。

ジャケットにポイントの赤のペリーコの靴がきれい。

ペリーコ、サンダルを過去に持っていたけど(あまり活用せず終わった)、パンプスはやっぱりステキだなぁ。

 

ベージュコーデはやわらかさと洗練が手に入る

若いときはあまり好きではなく、

年取ったら好きになったのがベージュ(なぜだろう?)

 

ベージュの持つ洗練が好きになった。

 

イタリアの女性がベージュ系をステキにコーディネートしているのを見て、目からうころが落ちたこともある。

 

グレーをベージュに置き換えるとの事だが、

ベージュは女性をやわらかく優しく見せてくれる色なのだそう。

 

そして、この本で提案しているのは、

全身ベージュのコーディネート。

 

ステキ!

でも、難しそう!

 

と、瞬時に思う。

 

ポイントは素材感に差を出すことだそう。

素材を変えることでメリハリが生まれるとの事。

 

これはぜひやってみたい。

(ベージュはトップスしか持っていないし、必ずボトムスに濃い色をあわせていた)

 

GAPはデニム。これ、王道

このタイトルは思わず頷かずにはいられない。

GAPのデニムはサイズ展開が豊富なので、

40歳オーバーの女性には助かる。

 

ストレッチがきいているものが多いので、はきやすいし。

ラインもきれいなものが結構あるし、デニムは色んなラインが出ているので合うものを選べる楽しさもありますよね。

 

「安ければなんでもいい」ではなく、

プチプラブランドで選ぶアイテムを決めるという判断基準があるといいというのはとても納得!

 

そして、ファッションで人生が変わった人たちの例も。

 

楽しそうな笑顔を見ると、やっぱりファッションて楽しいし、

大事だなぁーと思う。

 

おすすめの本です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【おすすめ本71】『ALIVE アライブ』 僕が生きる意味をみつけるまで 宮本亜門

『ALIVE アライブ』僕が生きる意味をみつけるまで

宮本亜門

日本放送出版協会 2001年発行

 

 

f:id:nonko-h:20211012213457j:plain


前にテレビやラジオで話している宮本亜門氏の言葉を聞いて、

「この人は内側に色んな思いを沢山抱えて来たんだろうなぁ」と思う事があった。

(そういう話はしていなかったが)

 

だからか、ずっと人物に好感と興味を持っていた。

 

この本を読んで、その意味がわかった。

 

2001年発行とかなり古い本だけれども、

この本を読んで救われる人がいるかもしれないので、ここでご紹介。

 

この本をおすすめしたい人

  • ひきこもり・登校拒否のお子さんを持っている人、または本人
  • ミュージカルや舞台が好きな人
  • 親との葛藤を抱える人
  • 今、人生が辛い人
  • ミュージカルや演劇など舞台の道に進みたい人

 

作者紹介

宮本亜門 みやもと あもん

 

演出家。

1958年東京都生まれ。

出演者、振付師を経て、

ロンドン、ニューヨークに留学。

帰国後の1987年にオリジナルミュージカル『アイ・ガット・マーマン』でデビュー。

翌88年には、同作品で

「昭和63年度文化庁芸術祭賞」受賞。

2001『アイ・ガット・マーマン』で米国デビューを果たす。

ミュージカルのみならず、ストレートプレイ、オペラ等、

現在最も注目される演出家として、

活動の場を広げている。

 

『ALIVE アライブ』より引用

 

 

この本のおすすめポイント

  • 宮本亜門氏の人生が波乱万丈で、ページをめくる手が止まらない
  • 演出家としていつも第一線にいるようなイメージの彼でも数々の挫折があった事を知ることができ、勇気が湧く
  • 舞台の素晴らしさがわかり、見に行きたくなる
  • 辛い思い出や喪失感なども率直に書かれているので、同じ痛みを感じたことがある人も共感を感じる
  • 「自分は変わっている」と思って悩んでいる人に勇気を与える

 

 

心に残った点・役に立った点

 

プロローグとプロローグ

ー2001年9月11日、朝8時。

 初めてのアメリカ公演の開幕を3日後に控えたこの日の朝、僕はニューヨークのアパートでいつもより早く起きて、仕事場に出かける準備をしていた。

(中略)

 演目は1987年初演の僕のデビュー作『アイ・ガット・マーマン』。ブロードウェイへの登竜門として名高いニューヨーク郊外スタンフォードのリッチ・フォード劇場で、プレビュー公演を含めて14日から23日まで、全10回公演されることになった。僕以外のスタッフはすべてニューヨークで集められた。

(中略)

 あともうひとふんばりで、長年の夢が現実になるー。チャンスが巡ってきた喜びと、何とか成功させたいという緊張が入り交じって、この日の朝も気分が高揚していた。

(中略)

「テレビを見てください。大変なことになってますよ。」

(中略)

いったい何が起きたのだろう。事態を把握できないまま画面を見入っていると、飛行機が目の前を通って、もう一方のビルにドッカーンと激突した。

 

『ALIVE アライブ』プロローグより引用

 

プロローグはこんなシーンから始まる。

 

あの時、あの場所にいただなんて。

それも夢が叶う当日に。

 

プロローグを読んでこんなに驚いた事もなかなか無い。

そして、何という皮肉なタイミングだろう。

 

こうしてみんなの協力によって、14日から3日間行われる予定だったプレビュー公演はやむなく中止になったものの、18日からの本公演は予定通り行われることになったのである。テロの直後で客足が心配だったが、大変評判がよく、週末には客席がほぼ満杯になった。スタンディングオベーションもあり、ミュージカルへのストレートな愛情が話題になった。

(以下略)

『ALIVE アライブ』プロローグより引用

 

 客足が心配されたが、後半の3日間は約700席の客席がほぼ満杯になるほど盛況で、現地での評判もよかった。劇中で歌われた『ワールド・テーク・ミー・バック(昔に戻して)』に、今のアメリカの現状と重ね合わせて涙を流す人もいた。

 (中略)

 おそらく日本なら、「こんなときに演劇なんて・・・・・・」と自粛一辺倒のムードになるだろう。ところがニューヨークは違った。

「こんなときだからこそ」とブロードウェイは公演を再開して、人々を勇気づけようとした。ニューヨーク市長の「普段の生活に戻ろう」という呼びかけに応えて、ニューヨーク全体が立ち上がろうとしている。

(中略)

僕はあらゆる方法で作品を作っていく。今、生きている、まだ生きている、そして明日も生きられるという幸せを存分に感じながら。

 

『ALIVE アライブ』エピローグより引用

 

本を読む時は、プロローグやエピローグを先に読んだりする。

 

この本を読んだ時、プロローグとエピローグを読み、

なんだかじーんと胸に染みたのを今でも覚えている。

 

生きる・生きているという事に思いをはせることができ、

胸の奥があたたかくなった。

 

同じ経験をしたわけでも無いのに。

そうか、あれは心からの共感なのかと後で気がついた。

 

父と母

これは、宮本亜門氏を知る方には有名な話なのかもしれないが、

氏のお父さんとお母さんが色んな意味で人生に影響を与えている。

 

ミュージカルへの道にすすむ大きな存在になったのは、お母さん。

 

そして、葛藤を与えるお父さん。

 

しかし、いつの世も男性はお父さんの間に葛藤を持つことが多いのだなぁと改めて思う。(その事を考えると私はいつもジェームス・ディーンの映画『エデンの東』を思い出してしまう)

お母さんの事は普通に話すのに、お父さんの事になると表情が曇る男性のなんと多いことよ(私の周りにも沢山いる)

 

私は女なので、その逆で母に強烈な抵抗感をずっと持っていたわけだが。

 

この本には、お父さんへの抵抗感なども率直に書かれている。

 

親子の関係も小説の題材になりそうな感じで、かなり劇的。

 

両親のことをかなりオープンに書いていて、それがすごいなぁと思う。

少しずつ受け取れていったのだなぁと。

 

おしろい事件

小学生の時、日舞の発表会の後に学校に行った時、

洗ったつもりだったが顔の縁に発表会で塗ったおしろいのラインが残っていた。

 

それをクラスメートから揶揄され、大笑いされた経験。

 

天真爛漫でいつもニコニコしてことに対して、

「何だ?こいつは」という目で見られ傷ついた経験。

 

そいうことの積み重ねで、どんどん人とのコミュニケーションを警戒していった子供の頃の氏。

 

こいういう事は、違う内容でも経験したことがある人が結構いるのではないだろうか。

 

人とちょっとでも違うことをすることの危険性を子供の頃に感じたことは、誰しもあるのではないだろうか?

 

子供は保守的だ。

そして、人との違いに敏感だ。

 

自分の子供の頃を考えても、思い当たることが沢山ある。

が、その時にどう行動して、どう思えば良かったのだろう。

 

「人と違っても良い」なんて、アドバイスするのは簡単だけど、

それは社会性が身についた大人だからこそ言えることであり、

子供にはほんとうの意味では理解できないことかもしれない。

 

「お前はそれでいいんだよ」

 おふくろから受け取ったバトンーショービジネスの世界で成功するという夢ーを握りしめて、ここまで走り続けてきた。ミュージカルも、オペラも、芝居もたくさんつくっているのに、おふくろは一つも見ていない。

 もっと生きていてほしかった。

(中略)

もし今、僕がつくった作品や、僕が生きているさまを見たら、何と言うだろう。

誉めてくれるだろうかーいや、きっと同じことをいうだろう。

 僕は多分まだまだだと思うから。でも、いつかはこう言ってほしい。

「お前はそれでいいんだよ」

その言葉が聞きたくて、僕はまだまだ走り続ける。

 

『ALIVE アライブ』エピローグより引用

 

 

今、この部分を読み直してハッとした。

 

そうか。

子供というのは何歳になっても親に認められたいものなのだ。

 

私の両親はまだ健在だが、私にもそれがあった。

親に認められたい。

 

なんでだろう?

親に認められたいと思っていたなんて自覚、これっぽっちも無かった。

 

だが、これを書いている今、はっきりと気がついた。

 

そうか、私、親に認められていないとずっと思っていて、

だから親にこんな人生を送ってしまってごめんね、もっと努力してくれば良かったのにね、期待ハズレでごめんねって思っていた!

 

親に対する罪悪感、ずっとあったなぁ。

私の親は、私を許してくれるのだろうか、とふと思った。

 

 

宮本亜門氏は、ものすごく波乱万丈な人生を送られている。

この本を読むとそこに驚く人もいると思う。

 

ひきこもりや精神科に通ったり、お母さんの死や、自殺未遂に数々の挫折。

 

氏の人生こそがミュージカルになるような物語。

 

辛かったことも多いのは想像がつくが、

そのひとつひとつが演出家という仕事や氏の血や肉となっているのがわかる。

 

すごい。

 

辛いことも無駄なことは無いのかもしれない。

 

氏ほど劇的な人生ではなくとも、有名ではなくとも、

みんなそれぞれ辛いことや挫折はあるわけで。

きっとそれも無駄じゃないってわかるときがくるのかもしれないなぁとこの本を読んで思う。

 

とてもおすすめです!