辛い時にはいつも本があった

辛い時にはいつも本があった

辛い時、苦しい時、悲しい時に書店に行くといつもその時の気持ちにぴったりの本との出会いがありました。

【おすすめ本86】『残業ゼロの仕事のルール』鳥原隆志 ※捨てる「思考」で生産性が劇的に上がる

『捨てる「思考」で生産性が劇的に上がる 残業ゼロの仕事のルール』

島原隆志

2017年 PHPエディターズ・グループ 発行

 

 

今週の月曜日、出社してメールを開けたら

本社の担当者からのメール。

 

メールが送られた時間をみてびっくり。

日曜日に23時台。

 

今、本社のその部署は今ものすごく大きな案件を抱えていて、

大変な状況なのは知っていた。

しかし、日曜日の夜(深夜)に会社にいるということは、

当然土曜日も出勤しているであろうし、平日で終わらないほどの仕事量なはず。

 

これは辛い。

 

以前(違う会社だが)、私も深夜まで仕事をしていたことがあり、

実家の両親にも心配をかけた(いつも仕事中で携帯がつながらないと)

頑張っているのに、母からは「そんなにまで仕事して何かあっても、会社は何もしてくれないよ」と言われた。

 

その言葉は、心配からだったと思うし、

本当にそうだ、、、と心の底から思ったが、

でもどうすりゃいいの!とも思った。

 

今は、

「明日できる仕事は明日やろう」

というスタンスで、残業はたまにせずほとんど定時の10分後とかに会社を出ている。

 

が!決して仕事の仕方がうまくなったわけでもなく、強制的に帰っているだけだ。

これでいいのか、と自分の仕事の仕方に疑問を感じ、読んでみたのがこの本。

 

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 仕事のやり方を変えたい人
  • 仕事に追われている人
  • 今の自分の仕事の仕方がおかしいと感じている人
  • 残業を減らしたい人
  • 仕事の効率化では仕事量が減らなかった人

 

著者紹介

島原隆志 Takashi Torihara

 

株式会社インバスケット研究所代表取締役

インバスケット・コンサルタント

1972年生まれ。

大手流通業にて精肉や家具、ワインなどさまざまな販売部門を経験し、スーパーバイザー(店舗指導員)として店舗指導や問題解決業務に従事する。

昇進試験時にインバスケットに出会い、研究とトレーニングを開始する。その経験と問題解決スキルを活かし、株式会社インバスケット研究所を設立し、主に法人向けのインバスケット教材開発と導入サポートを行う。

講演や研修及びテレビや雑誌でも活躍中。日本のインバスケット第一人者として、最近は国内だけではなく海外でも活動している。

(以下略)

『残業ゼロの仕事のルール』より引用

 

 

この本のおすすめポイント

  • 仕事の効率アップではなく仕事の考え方を変える事が目的に書かれている
  • 限られた時間の中で成果を上げることで結果として残業ゼロにする考え方
  • 今まで以上に仕事をするという考え方から何をやらなくていいかという考えを身につけられる

 

 

心に残った点・役に立った点

 
仕事の勘違い

・すべての仕事をやらなければいけない

・頑張れば品質が上がる

・会社にいる時間と仕事の結果や評価は比例する

 

作者が実際にインバスケットという能力向上ツールで、研修や昇進・昇格試験を通じて1万名以上の人を教育してきて、およそ9割の人に仕事の進め方や働き方に関する大きな勘違いが見られたというのが上記3つ。

 

いやー、耳が痛い。

 

私も、

・すべての仕事をやらなければいけない

・頑張れば品質が上がる

と、思っていたから。

ということで、つながるのが、

「どうすれば仕事が減るか」を考える

 

0-2 あなたの仕事に大変革を起こす-仕事スタイルを見直そう

というチャプター。

 

作者は、前職のお大手スーパーで店舗マネージャーをしていた時、

早朝から深夜まで働き、ほとんど休みをとらず働いていたら体は限界。

「このままやっていると自分は死ぬのではないか?」と働き方に疑問の種が生まれた矢先、心臓に違和感。

診断の結果は、不整脈

無理な仕事を続けた代償として、自分の余暇、趣味の時間だけではなく、健康までも失おうとしていたそうだ。

 

「やばいな」と思ったのは、不整脈より、自分自身が働きすぎていると認識していなかったことです。

 

0-2 あなたの仕事に大変革を起こすより引用

 

この一文を読んでドキッとした方もいるのでは。

 

 

このままではいけないということで、

 

「どうすれば仕事が早く終わるか」

「どうすれば仕事が減るか」

という考え方にシフトしたそうだ。

この考え方の違いが「大改革」だったそうだ。

その少しの考え方の違いで、行動は180度変わる。

 

 

「すぐやる」で2ヶ月で変わる

 

つまり、仕事のスピードをあげたり、効率化をしても、間に合わなくなる時が来る。

 

「いつかやろう」から「すぐやる」へ

意識だけではなく、行動を変えてこそ結果が変わる。

 

この本を読んで「気づきを仕事に活かすよう意識する」では何も変わらない。

1つでもいいので、具体的な行動に移すこと。

 

行動を変えた結果を認識するまでおよそ2ヶ月だそうだ。

 

 ロンドンでの私の講演を聴いて、あるインフラ系企業の女性マネージャーが行動を変えました。今まですべてのメールに返信していたのを、1日1通返信しないと決めて実行したのです。

 たった、1通のメールを返信しないという小さな行動ですが、2ヶ月後、彼女はメールで「上司から最近の仕事ぶりをほめてもらった」と実況を報告してくれました。

 

0-3 2カ月であなたの仕事が劇的に変わる-「いつかやろう」から「すぐやる」へ

より引用

 

 この女性マネージャーの例を読んだとき、

なかなかの抵抗感を感じた。

 

「メールに返信しないというのはいいのか?」

「1通返信しないだけでそんなに変わるのだろうか?」

と。

 

私の今の現状はメールには全部返信している状態。

 

しかも、失礼な印象にならないように、

誤解をうまないようにと結構な時間をかけて書いている。

 

このわたしの状態は変えなければいけないと、

この本を読んで突きつけられた。

 

 

石橋を一度叩いて全速力で渡る

 

 良い判断とは、慎重に判断することでも分析することでもありません。判断したことを素早く実行することです。

 ですから、石橋を一度叩いて大丈夫だとわかったら、全速力で渡り切るのが正しい判断ですし、良い判断だといえるでしょう。

 判断しても実行が遅い人は、その判断は間違っていたときのリスクを考えすぎています。その証拠として他人が下した判断なら迷わず実行します。

 

 26仕事の仕方をデザインする-パターン化すると生産性が下がる より引用

 

 

この文を読んだときには、ちょっとした衝撃。

確かに、私も他人が下した判断の方が実行が早いような。

 

自分で下した判断の時は迷いがあって、

実行に移すまでが遅い。

 

このことに初めて気がついた。

要するに時間の無駄とこの部分の生産性が低い。

 

この点を明日から、すぐ気をつけてみよう、行動してみようと思う。

 

この本を読んで、

「別の目新しいことは書いていない」

と思う人も多いかもしれない。

 

だが、仕事の生産性をあげるということに、

誰も知らない方法、今まで誰も提唱していないことは無いのだろうと思う。

 

考え方を変えて、行動に移す。

(自分が仕事を抱え込んで全部自分でしたがっており、それが良いことだと思っていた事にも気がついた)

 

それを肝に銘じる事ができたので、

私にとっては読んで良かった本。

 

興味がある方はぜひどうぞ。

 

 

 
 

 

 

 

 

【おすすめ本85】『仕事で差がつく根回し力』菊原智明 トップ1%の人だけが持っている超実践ノウハウ

『仕事で差がつく根回し力』

菊原智明

2014年 株式会社青春出版社 発行

 

 

同じ会社の経理の女性と話していた時の事。

 

「何か話を通したいときは、あらかじめ社長にちょっと言っておくと通るのが早い。前の支店長はその辺がとても上手だった。」

 

「その支店長は、本社から人が出張できた時には、ちょっとお土産になるようなネタを用意していた。例えば決まりそうな契約の話とか。そうすると本社の人も本社に戻った時に社長にいい報告ができると喜ぶ。」

 

今の支店のトップは残念ながらそういうことが全くできない人なので、

支店のイメージも良くないような気がする。

 

やはりそういうことがうまくできるかできないかで、

かなり違うののだなぁと実感。

 

そしてもれなく私もそのあたりは意識してこなかったので、苦手。

で、「私に足りなかったのは根回しかも」ということで読んだ本。

 

かなり、なるほどなぁーだったのでご紹介。

 

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この本をおすすめしたい人

  • 仕事で頑張っているのに結果がついてこない人
  • 営業職だが結果がついてこないと悩む人
  • 企画や提案がなかなか上に通らない人
  • 商談が苦手な人
  • あと一歩で契約を逃した経験がある人
  • ”根回し”ってどういう風に?と疑問に思う人

 

 

著者紹介

 

菊原智明(きくはら 智明)

 

営業コンサルタント関東学園大学経済学部講師。

95年に大学卒業後、トヨタホームに入社。

7年間、クビ寸前の売れない営業マン時代を過ごすも、仕事スタイルを一変させた結果、4年間連続トップ営業マンに躍進。

2004年には全国№1営業マンの座も獲得。

06に独立し、経営者や営業マンに向けてのコンサルティング活動を開始。

また、日本で初めて、大学生に向けての実践的な”営業の授業”をしている。

主な著書に、『訪問しないで「売れる営業」に変わる本』(大和出版)、『「稼げる営業マン」と「ダメ営業マン」の習慣』(明日香出版社)、『7年間ダメだった私が4年連続№1営業に変わった「人を動かす」話し方』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。

 

『仕事で差がつく根回し力』より引用

 

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • ”根回し”のイメージを覆す基本的な事(だけどやっていなかったこと)が書いてある
  • 新書版なのでコンパクト、通勤のカバンにも入れやすい
  • 著者がハウスメーカー時代に行って結果が出たことが書いてあるので実践的
  • 難しい”根回し”が書いてあるわけではないのでやってみようという気になる

 

 

根回し力とは

お客様から無理難題を言われたあげく、やっとのことで商談をまとめます。

 それを会社に持ち帰り、今度は上司に条件を提出。すると、ろくに見ないうちに、「こんな儲からない条件で決済が下りるワケないだろう!」

と一括されたりします。

 (中略)

 そのいっぽうで、かなりの無理を言っても聞き入れてもらえる人が、社内にはいたりします。

 「いやぁ~、お客様にだいぶ絞られちゃいましてね。追加で儲けますからなんとか決済をお願いしますよぉ~」という要望に対して、

「しょうがないなぁ。今回だけだそ」と簡単に決済をもらえたりするのです。

 

1章 「自分」を上手に通す根回し力 より引用

 

 

 

これは、本当によくわかる!

こういう事って、確かにある!

こういう人って、確かにいる!

 

と、膝を打ちたくなるような内容。

 

そうか、それが根回しがうまい人との違いだったか、、、、。

 

こういう根回し上手な人は「コミュニケーションは時間よりも接触頻度が大事」ということを経験的に知っているとのこと。

 

心理学の世界では「ザイアンスの法則」として有名なもの。

 

上司との関係では、何時間もべったりとつきまとうより、5秒のコミュニケーション・声かけを繰り返したほうが効果的ということ。

 

これは、億劫がらずに心がけよう。

 

 

 

「できる人」×「できない人」の言い方の違い

 

仕事ができる人たちは気の利いた根回しフレーズを使うそう。

 

  • 仕事相手を飲み会などに誘う時

 できない人は「〇〇さんも来ませんか?」と普通に誘う

 できる人は「〇〇さんが来ないと始まらないですから!」と相手を乗せるように誘う

 

  • 上司に相談を持ちかける時

 できない人は「困ったことが起きまして」と上司の都合を考えずに相談を始める

 できる人は「相談したいことがあるのですが、今日、5分ほどお時間いただけますか?」とアポイントを取ってから相談する

 

  • 部下から相談があった時

 できない上司は「いま、忙しいんだ。あとにして」と突っぱねる

 できる上司は「いまは忙しいけど、16時以降であれば少し時間が取れるぞ」と相談がある意思があることを伝える

 

  • お客様との商談をまとめる時

 できない営業マンは突然「これで決めてください!」とテーブルに頭をつけてお願いする

 できる営業マンは「次は大事なお話をしたいので2時間お取りいただけますか?」と前もってお客様に心の準備をしてもらっている

 

などなど、、、、。

 

ちょっとした言葉の使い方の違い。

だが、受ける印象が違う。

 

こういった言葉の使い方は、この本を読んで参考になった。

 

 

忙しい仕事相手が一番望んでいる根回しとは

 

決済を通すのに苦労しているビジネスマンの話は勉強になった。

 

上司が求めていたのは、

無駄に時間がかかる昔からの根回しではなく、時間短縮につながるような根回しだった。

 

具体的な方法としては、

 

・企画書の趣旨をリストアップしておく

・まずは1分で概略を説明する

・問題点をハッキリさせておく

 

などなど。

 

忙しい上司は色々な仕事を抱えており、忙しい立場の人が多い。

なによりも”短時間で理解できる資料”を望んでいる。

 

この点は今後、しっかり実行していきたい。

私はかなりいきあたりばったりで説明していたことがこれを読んで自覚することができた。

 

 

なんでも反対したがる上司との事前交渉のコツ

 

企画を通す上で一番のネックになること。

それは反対意見を言ってくる人。

偉い人であればあるほど影響力は大きく、そのひと事で一瞬にしていままでの苦労が吹き飛ぶこともあるもの。

 

こういった場合は、無理に相手を説き伏せようとしてはいけない。

 

うーん、ではどうすれば?

 

そうなる前にやっておくべきこと。

 

企画を通す上でキーマンになりそうな人を、

あらかじめ仲間に巻き込む根回しをしておくこと。

 

手ごわい相手には、社内であれ取引先であれ、

あらかじめ仲間に巻き込むための根回しをしておく。

一言でも相談しておけば、土壇場でテーブルをひっくり返されるようなことはなくなる。

 

 

会社の社長がうるさいタイプやワンマンタイプだと、

気が重くてやらない根回し(私もそうかも)

 

それを億劫がらずにやることによって、

土壇場で反対して打つ手がなくなるということはなくなる、、、ということ。

 

うん、これは心がけよう。

 

 

などなど。

根回しというと、政治家などがすることのように良くないイメージがあるが、

事前に言葉や行いで根回しすることによって

スムーズに事を運べるようになる。

 

本当に、根回しということは私には足りなかった事。

 

私のように、ストレートにしか仕事をしてこなかった人(それによって何かが自分には足りないと)その自覚がある人、おすすめです!

 

 

【おすすめ本84】『絶体絶命な彼らの華麗なる決断』鳥原隆志 バタバタ状態を乗り切るインバスケット思考

『絶体絶命な彼らの華麗なる決断』

鳥原隆志

2012年 WAVE出版発行

 

 

奈々とあゆみ、

そして「ミラクル」のメンバーの

行く手にたちはだかる数々の問題。

デビューコンサートの

幕をあげられるかどうかは、

すべて60分間の

あなたの判断にかかっている!

 

表紙カバー裏に書かれたこの言葉。

とても面白そう!

読み始めたらグイグイ引っ張られる感じで最後まで楽しく読めた。

 

※インバスケットとは、架空の人物になりきって、

限らえた時間の中でより多くの案件を精度高く処理するビジネスゲーム。

 判断力や問題解決力を問うビジネスリーダーのツールとも言われている。

 

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この本をおすすめしたい人

  • インバスケット思考に触れたことがない人
  • 昇進試験などでインバスケットを学びたいけど難しそうと思っている人
  • とっさの時にパニックになってしまう人
  • 自分の判断力に自身がない人

 

著者紹介

鳥原隆志(とりはら・たかし)

 

株式会社インバスケット研究所 代表取締役

インバスケット・コンサルタント

大手流通業にて、さまざまな販売部門を経験し、

スーパーバイザー(店舗指導員)として店舗指導や問題解決業務に従事する。

昇格試験時にインバスケットに出会い、トレーニングと研究を開始する。

その経験を活かし、株式会社インバスケット研究所を設立。

これまでに制作したインバスケット問題は、ゆうに腰の高さを超える。

現在、日本で唯一のインバスケット・コンサルタントとして活躍中。

著書に10万部のベストセラーとなった『究極の判断力を身につけるインバスケット思考』、『人を動かす人柄力が3倍になるインバスケット思考』(以上小社刊)、『いまから、君が社長をしなさい』(大和書房刊)、『たった5秒思考を変えるだけで、仕事の9割はうまくいく』(中経出版刊)などがある。

 

『絶体絶命な彼らの華麗なる決断』より引用

 

 

この本のおすすめポイント

  • 物語形式でインバスケット思考が学べる
  • インバスケット思考の基本的な部分だけがシンプルに書かれているので難しくない
  • ライブを直前に控えたバンドが次々におそわれるトラブルを解決していく形式をとっているので自分が当事者ならと考えながら読みすすめていける
  • バンドのキャラクターのセリフが面白く(特に奈々とか)物語として楽しく読める
  • 気軽に読める内容なのでインバスケット思考に対するハードルが下がりもっと知りたくなる
  • ビジネスシーンでは無い想定なので、普段の生活でもインバスケットを活用できるとわかる

 

心に残った点・役に立った点

 

バタバタしている人

 バタバタしている人にはバタバタする原因があり、その原因が外にではなく、自分の中にあるのは間違いない事実です。外に原因を求める人もいますが、私はその方がたとえ職場を変わられても、恵まれている状況にいてもバタバタしているのを知っています。

 

『絶体絶命な彼らの華麗なる決断』おわりに より引用

この本の「おわりに」にあるこの文。

 

私の若い頃を思い出すと、ほんとうにこれ。

そしてミスも多かった。

 

少しずつ自分で改善をしていったけど、コツがわかっていなかったので、

とても遠回りしていた気がする。

 

今考えると、優先順位も間違っていたし、

判断力もなかった。

(判断力があると思っていたが、この本を読んで判断力はなかったと気がついた)

 

新卒の頃にこのインバスケット思考を学んでいればなぁーと。

 

20の案件を処理

 

 あなたは軽音楽バンドグループのリーダー青沢茂人(あおさわしげと)です。

 (中略)

 

 じつは本日は、結成した軽音楽バンド「ミラクル」の初めてのコンサート日だったのです。

(中略)

 

 しかし、コンサート会場に到着するとなにやらおかしな雰囲気です。

(中略)

 今回のコンサート開催についてホール手配などのプロデュースを頼んだ、イベントプロデューサーの狩野という男が、5日前から連絡が取れなくなったというのです。しかも、前売り券の販売代金40万円をすべて渡してしまったと奈々から聞かされました。

 このお金は、本日の会場台や観客の飲食代などに充当するつもりでした。

 奈々が付近のライブハウス「荻野ホール」を探し、幸運にも本日は予約が入っていなかったのでホールを予約することができ、観客に対する会場変更の通知も完了っしているものの、会場側からは、規定で本日の18時までに入金がないと、途中でコンサートを打ち切ってもらうことになると言われ、奈々が現在交渉しているとのことです。

 

 開演まで1時間。

 あなたのもとにはさまざまな案件が押し寄せます。

 これからあなたは、リーダーの青沢として20の案件を処理してください。

 

『絶体絶命な彼らの華麗なる決断』より引用

 

正直に言って、私はこの20の案件を考えてもわからなかった。

 

開演1時間前という時間を考えると、

なんで!?という気持ちが先行してしまい、

とてもじゃないけど、優先順位を冷静に考えられないと思う。

 

きっと、目の前のことから処理してしまい、

結局時間切れになってしまっていると思う。

 

自分に足りない部分、インバスケット思考でいう、対策立案力(対案を出すことによって、対策を比較し、より良い対策を作り出すことができる)や、調整能力なども意識して身につけようとしないと身につかない部分を知ることができた。

 

きっとこの本だけでは、インバスケット思考を全部身につけるのは難しいかもしれないと思う。

インバスケット思考の基本となる屋台骨の部分が書かれているが、

どう実践するかというとこの本しか呼んでいない人は戸惑うかも。

 

だけど、インバスケット思考をもっと知りたいと思う本。

何より、物語にひきこまれてイッキに読んでしまう。

 

ラストもとても前向きで、読後感も良い。

 

余談だが、読んでいて登場人物の奈々の天真爛漫な性格がちょっとうらやましかった。

私は不思議と彼女がどんどん好きになっていった。

 

インバスケット思考に興味を持った方、

是非どうぞ!

 

 

 
 

 

 

 

【おすすめ本83】『できる大人は「ひと言」加える』松本秀男 一瞬で自分を印象づける!

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『できる大人は「ひと言」加える』

日本ほめる達人協会 専務理事 松本秀男

2018年 株式会社青春出版社 発行

 

仕事でメールをやり取りするときに、

何か一言うまい言葉を付け加える人からメールをもらうと

それだけで心が温まったり、またこの人と仕事がしたいと思う。

 

それと営業職なので、

話の終わりなどに気の利いた言「ひと言」を加えられたらなぁ、

とも思うことが多くこの本がその手助けになりそうなので読んでみた。

 

 

この本をおすすめしたい人

  • 人に言葉で印象づけたい人
  • 仕事で相手と良いコミュニケーションを取りたい人
  • 営業や販売、接客などの仕事をしている人
  • 家族ともっとコミュニケーションを取りたい人

 

 

 

著者紹介

松本秀男(まつもとひでお)

 

一般社団法人 日本ほめる達人協会 専務理事。

1961年東京生まれ。

国学院文学部卒業後、歌手さだまさし氏の制作担当マネージャーを8年半勤め、アーティスト活動をサポート。その後家業のガソリンスタンド経営を経て、45歳で外資系最大手のAIU損害保険株式会社(当時)の代理店研修生に。

トップ営業経験の後、伝説のトレーナーとして部門実績を前年比130%に。

さらに本社・経営企画部のマネージャーとして社長賞を受賞するなど、数々の成果と感動エピソードを生み出し続けた。

現在は徹底的に人の価値を見つけ、人と組織を動かし業績を上げ、しかも家庭まで元気にする「ほめる達人(ほめ達!)」として、リーダーシップや営業強化研修、子育て講演なので活躍。テレビ・ラジオ・ウェブなどメディア出演も多数。

(以下略)

 

『できる大人は「ひと言」加える』より引用

 

この本のおすすめポイント

  • 「ひと言」のヒントがたくさん載っている
  • エピソードがたくさん載っているので読んでいて楽しい
  • 新書版なので持ち運びに負担がかからず通勤の時読みやすい
  • 仕事の事だけではなく、家庭でも使える「ひと事」が載っている
  • 読むと明るい気分になる
  • 気軽にやってみようという内容

 

心に残った点・役に立った点

 
「ひと言プラス」で印象は変わる!高感度が上がる!

 

今回興味が一番あった点はここ。

 

仕事で「ひと言」付け加えたい気はあるのだが、

その「ひと言」が思い浮かばない。

(ひと言を付け加えようとして失礼な言を言ってしまうも怖い)

 

相手との心の距離がぐっと縮まる「20文字のプレゼント」

 

「おかげで、仕事が2日分ぐらい前に進みました!」

「ゴールに向けて一気にエンジンがかかりました!」

「この日程は、個人的にとてもありがたいです!」

 

こういったひと言をプラスすれば、

相手は対応したかいがあったと感じてモチベーションもアップ。

 

高感度もアップ、「あの人のためなら、次もなんとかしよう」

と思ってくれる。

 

これは自分なりに言葉を変えて、少しずつ実行。

 

結果、まだまだうまい「ひと言」は使えていないが、

メールに一言付け加える言を少しずつ付け加えるとなんとなくコミュニケーションが良くなるのを実感。

 

ここでのポイントは、

20文字ということかも。

 

長すぎず、短すぎず。

メールに付け加える「ひと言」は20文字というのがちょうどよい。

 

 

「相手の名前を呼ぶ」だけで高感度が上がる

この事を読んで思い出した事。

昔、パソコンのインストラクターをしていた時期がある。

 

その時の営業成績がとても良かったのだが、

それは私は生徒さんの名前を人より早く覚えることができ、

他のインストラクターよりも生徒さんをそらで名前で呼ぶのが早かったからかも。

 

この人はとても感じがいいなと思う人や、できる人だなぁ!

と思う人はそういえば、こちらの名前を2回めに会ったときに覚えてくれて呼んでいるのだ。

 

「相手の名前を呼ぶ」ということには、

この本を読んで腹落ちしたので早速実行している。

小さな事だが、コツコツ実行していくと違いがでそうな点。

 

お世辞は不要!相手の強みを知って共感するだけでいい

営業をしていると、

相手や相手の会社を褒めなきゃ!と頭で必死に考えていることがある。

 

そうでは無いのだ!

「共感」が必要なのだ!

という点になるほど~と思った。

 

 経営者というのは孤独な存在です。とくに中小企業の経営者は、正解のない問題集と戦うような日々、責任を背負い、一人で頑張っている方が多いのです。社員はその胸の内を理解してくれないし、家族でさえその仕事をよく理解していなかったりします。

 

『できる大人は「ひと言」加える』

23 お世辞は不要!相手の強みを知って共感するだけでいい より引用

 

 

この引用した部分には感じるものがあった。

確かに中小企業の経営者の方には、一人で戦っているような方が多いので、

共感したことを自分の言葉で「ひと言」付け加えるようになりたいな。

 

電車の車内で中学生を小さなヒーローにしたひと言

 ある午後、東京の私鉄、京成線に乗っていたときのことです。

 私は東京都内の電車の移動では、よほど席が空いていない限り座らないのですが、その日は十分に空いていて座っていました。私の隣には中学生と思われるメガネをかけた少年が、マンガを読みながら座っていました。うららかな陽気の日です。

(以下略)

 

『できる大人は「ひと言」加える』

電車の車内で中学生を小さなヒーローにしたひと言 より引用

 

 

このエピソードはとても印象に残った。

筆者が少年にかけた「ひと言」は、なるほど!

 

短いエピソードだが

内容は、ぜひ本を実際に読んでみてください。

 

薄めの本だけどおすすめの本です!

 

 

【おすすめ本82】『人生を変えるクローゼット整理』霜鳥まき子 パーソナルスタイリスト

『人生を変えるクローゼット整理』

霜鳥まき子

2017年 株式会社マイナビ出版発行

 

ハンガーはとっくに同じもので揃え、

服はシルバー、ゴールド、白、ベージュ、黄色と、

全部グラデーションで同じ向き(私は右利きなので服の正面が左に来るように)に並べられている。

 

それでも、コーディネートを楽しめない(昔は楽しかった)

 

ということで、読んでみたこの本。

 

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この本をおすすめしたい人

  • ”幸せ服”を中心にしたクローゼットを作りたい人
  • 服をたくさん持っているのに着たい服がない人
  • コーディネートがワンパターンな人
  • 40歳前後で、似合う服が変わってきたように思う人

 

著者紹介

霜鳥まき子(しもとりまきこ)

パーソナルスタイリスト。

青山学院大学英米文学科卒業後、日本航空国際CAとして10年間乗務。人の人生にもっと寄り添うような仕事につきたいと、パーソナルストイリストの創始者である、政近準子氏に師事。

その後2013年に独立し、株式会社シモトリパーソナルスタイリングオフィスを創設。これまで1万人以上のスタイリングを行う。

スタイリストがアドバイスを行うアプリサービスの「STYLING ME」や、ショップチャンネルで展開している自身のブランド「BLESS U(ブレスユー)」のプロデュース、家事代行サービス「タスカジ」ではクローゼット収納、スタイリングサービスを手がけ、今回はそのクライアント様にも取材協力を頂いている。

 

『人生を変えるクローゼット整理』より引用

 

この本のおすすめポイント

  • 処分するだけでは無く買い足すべきものがわかる
  • クローゼットの見直し、アイテムの総ざらいができる
  • 書いた私服の予算の考え方が学べる
  • 小物やスカーフなどの収納の仕方がわかる
  • 自分にとっての”幸せ服”を考えるきっかけになる

 

心に残った点・役に立った点

幸せ服を見つける

この本では、不要なものを処分したあとやることは、

”幸せ服”を見つける事。

 

これがなかなか面白い点。

 

幸せ服というのは、

「これぞ私らしい」という服。

 

処分したあとに残した服は好きな服ばかり。

そこから”幸せ服”を見つける。

 

とてつもなく好きな1着。

見るだけでテンションがアガる1着。

サイズがオーダー服のようにぴったり。

着るたびに人に褒められる。

着心地がいい。

顔が明るく見える。

最愛の人に会う時に選んでいる。

着ていると気持ちが落ち着く。

これを着た日は商談もスムーズ。

 

そんな風に選んでも良いそうだ。

 

すぐ思い浮かんだのは、

ダイアン・フォン・ファステンバーグのベージュにオレンジやピンクの柄のワンピース。

これを着ると、顔が明るく見え、着心地がやわらかく、

自分に自身を持てた思い出もちょっとだけある。

 

この本には、黒のカーディガンを選んだ方も載っていて、

それはボタンに特徴があり皆がほめてくれるお品なのだそうだ。

そんな選び方もステキだなぁと思う。

 

このように、トップスやボトムス、バッグや帽子を選んでも良いそう。

 

そして選んだ”幸せ服”をベースにコーディネートしていくのがこの本。

つまり、これから身につけていくべきファッションの羅針盤になるのが”幸せ服”。

 

なりたい自分へのイメージづくり

クローゼットに悩みがある=自分がなりたい姿を自覚できていない

 

そこで、自分が求めるイメージを整理していくために、

チェックリストが載っている。

 

過去に誉められてうれしかった服、

失敗した服なども思い浮かべていく。

 

そして、1年後の自分はどうなっていたいかを文字に書いていく。

 

すると、目指すべきファッションも見えてきて、

現状と理想を把握、どうしたら理想に近づけるか考えていきましょうというのが、この本のルール18。

 

 部下に慕われたいのに今の服装はへんに気張ったオーラを発しているかもと思えば、少しフェミニンにシフトするのもいいし、残した現役服が将来のイメージと合致しているなら今のままでいい、ということになります。

 

『人生を変えるクローゼット整理』Rule18 より引用

 

 

この点は、まさに目からウロコ。

 

部下に慕われたいというなら、

行動や言動を変えるというのは当たり前に考えるが、

服装を変えるというのはなるほど!と思った。

 

そう言われてみれば、

オフィスでの服装によってクールすぎたりすると

話しかけにくかったりするよなぁと思い当たる。

 

いつも私は黒ベースのスーツ。

これも、考えたほうが良いかもとこの本を読んで考えた。

 

アクセサリーはどう選ぶ?

 アクセサリーをほとんど使わない方はかなり多くいらっしゃいます。つけたとしても、ひかえめなモチーフのミニマムなネックレスだけ。しかもどんな装いのときも同じ品。それでは服も生きてきません。コーディネートをつくるうえでアクセサリーは大きな要素です。

(中略)

特にナチュラルメイクの人や、顔の色つやが落ちてきたと感じる人には、雰囲気に華やかさを添える必須アイテムと言えるでしょう。

 

この点は、私も耳が痛い・・・・・。

仕事の時は、なーんにもつけない。

仕事の時いアクセサリーを付けることに消極的になっていたというか。

あ、仕事の時にアクセサリーを付けることで、必要以上に人目につきたくないという消極的な意識もあったかも。

 

昔は、ジャケットの下にスカーフを巻いたり、

じゃまにならないブレスレットをしたりしていたが、

考えてみると、その頃の方が顔周りが明るく見えて積極的な人に見えていたいたような気がする。

 

 

収納テクニック

ベルトは巻いてしまうのがコツだそうだ。

 

私は、フック状のものに金具部分をひっかけてぶら下げて収納していたが、これは実はNGなんだそうだ。

これは知らなかった!

ベルトは体に沿うような微妙なカーブがつけられているそう。

だから下げっぱなしだとゆがんでしまうとのこと。

ベストはぐるぐる巻いて、透明ポケットなどに入れること。

 

それから気になったアイテムは、ブーツ専用のシューズキーパー。

ブーツを逆さまにして置けるタイプが紹介されていたが、

これは通気性も良さそうだし、型崩れもしなさそう。

何よりシューズキーパーを入れるのは面倒だが、これは簡単そう。

 

こんな風に収納テクニックは、

参考になることが沢山あった。

 

他にもヒールをはくかスニーカーかでは違うデニムの丈つめの長さなど、

プロならではのアドバイスも載っているし、

コーディネート、クローゼット整理に悩んでいる方にはおすすめです!

 

 

 

 

 

 

 

【おすすめ本81】『起業家』藤田晋 サイバーエージェント代表取締役社長

『起業家』

サイバーエージェント代表取締役社長 藤田晋

2013年 株式会社幻冬舎発行

 

このブログの2021年11月6日にアップした、

『渋谷で働く社長の告白』

が大変面白かったので、もちろん次の本も読むでしょうと読んだ本。

 

 

nonko-h.hatenablog.com

 

この本をおすすめしたい人

  • 『渋谷ではたらく社長んの告白』を読んだ人
  • 起業したい人
  • IT関連の仕事に就きたい人
  • 終身雇用の日本型企業をつくり社員が安心して働く会社を作りたい人
  • サイバーエージェントがどのようにして今に至ったかを知りたい人

 

作者紹介

藤田晋(ふじた・すすむ)

株式会社サイバーエージェント代表取締役社長。

1973年福井県生まれ。

97年青山学院大学卒業後、人材会社の株式会社インテリジェンスに入社。

翌98年に株式会社サイバーエージェントを設立、代表取締役社長に就任。2000年に史上最年少(当時)の26歳で東証マザーズ上場。

著書に『渋谷ではたらく社長の告白』『藤田晋の成長論』

(以下略)

 

(『起業家』より引用)

 

 

 
 

 

この本のおすすめポイント

  • 華やかな時代の寵児に見える藤田晋さんも、いくつかの苦しい時期を乗り越えてきたのがわかる
  • 起業につきものの苦しさと大変さをその時の心情までオープンに語らている
  • その時表に出なかった買収の危機にあった時のことが詳しく書いてある
  • 新卒で取った社員を育てていく日本型企業に方針を転換してうまく機能しているところが目から鱗が落ちる
  • 起業の苦しさだけではなく充実感や熱量も伝わってくるので、起業したい人はエネルギーがわいてくるかも

 

心に残った点・役に立った点

 

買収の危機

2001年5月、ネットバブル崩壊後株価低迷に喘いでいたサイバーエージェント

当時M&Aコンサルティング社長の村上世彰氏がサイバーエージェントの株を10%買い占めていたそうだ。

 

と、書くと

「あー、村上氏が物言う株主とか言って注目されていた時期ねー。」

とすぐ思い浮かぶ人も多いだろう。

 

村上ファンド」という言葉でだいぶ注目されていましたよね。

 

2001年に村上氏はサイバーエージェントの第4位の大株主になっていたそうだ。

 

そして村上氏から、

サイバーエージェントが上場時に調達した225億円を、1度株主に返したらどうでしょう。つまり一度会社を清算してやり直したらどうか、ということです」

と通達されたのです。

そこからは、悪夢のような数か月でした。

その頃、サイバーエージェント保有している現金よりも市場の株価が低かったために、現金目当てで買収し、赤字事業を整理すれば巨額の利益が出るような状況にあったのです。

(中略)

 しかし、この初夏から秋までの期間、私の持つ潜在株式の契約上の問題と、村上氏のアドバイスに従って自分の株を社員に配ったことで、私の株式保有比率は下がっていました。

 気がつけば、どこかの大株主がその気になれば、サイバーエージェントを子会社化することが可能だったのです。

 

『起業家』第1章 暗闇の中で より引用

 

『渋谷ではたらく社長の告白』に、この一連の買収騒動のことは書かれているが、本が発売されるまで、サイバーエージェントの社員はそんな危機が迫っていたことを知らなかったそうだ。

 

その後、買収の危機が過ぎ去ったころ、

「和解の会」と称した食事会が開かれたそうだ。

メンバーは、村上世彰氏、熊谷正寿社長(GMOインターネット代表取締役会長兼社長)、宇野康秀社長(USENグループ会長)、三木谷浩史社長(楽天代表取締役会長兼社長)、代理人井上智治氏(井上ビジネスコンサルタンツ代表取締役)、藤田晋氏の6名。

 

村上氏が仕掛けた買収騒動を、和解しようと呼びかけたのは村上氏だったそう。

 

場所は、2001年にオープンし話題を集めていた、

渋谷のセルリアンタワー東急ホテルの地下2階、能楽堂が見渡せる一日一組しか予約を取らないお座敷。

 

このあたりのくだりはとても面白く興味深いので、是非本でどうぞ。

 

 

長く働く人を推奨する会社に

 

2003年、1泊2日で役員がひたすら話し合う機会のために行った合宿。

リクルート創業者の江副氏の著書『かもめが翔んだ日』を参考に、豪華な旅館かホテルを予約してほしかったらしいが、実際は寂れた老人ホームのような宿だったそう)

 

この合宿で、その後の経営に大きく影響を与えたのは

「長く働く人を推奨する会社にしよう」

という考え方だったそう。

 

これが、サイバーエージェントの企業文化の土台になったのだそうだ。

 

それまでのサイバーエージェントは、社員がよく辞める会社だったそう。

実力主義成果主義がほとんどのIT業界では、できない人が会社を去るのが当たり前のこととされているわけなので、これは目から鱗が落ちる思いがした。

 

 その風潮に疑問を呈したのが、創業からずっと一緒にやってきた日高祐介(現・副社長)でした。

「やっぱり新卒で採った社員は優秀だよね」

と言い出したのです。

「新卒は、この会社が最初なんだから、サイバーのカルチャーを身に付けやすい」

「たとえ景気が悪くなっても一生懸命に頑張る社員が多い」

そんな発言でした。

 

私たちは皆、その言葉を待ち望んでいたのかも知れません。

 

『起業家』第2章 土台作り より引用

 

 

私は、元某大手の関連会社だったところで働いているが、

ものすごい成果主義で、6か月で見切りをつけられる人も多い。

 

だから社員の入れ替わりがとてもはげしく、

名前も覚えていない(覚えられていない)人も多い。

 

じっくり成果を出すタイプにはとてもきつい会社なので、

理不尽さを感じる部分も多い。

その分、ものすごい給料をもらう人もいるが、それはほんの一部。

 

会社の入れ替わりが激しいということは、

それだけ会社のコストもかかるということ(これが馬鹿にならないぐらいのコスト)

 

雰囲気も殺伐としてくるし。

 

だから、サイバーエージェントのこの決断は、

本当に素晴らしいと思う。

 

それで思い出したのは、

ブラジルのセムコ社。

 

従業員3,000人のコングロマリット企業だが、

組織図なし、起業戦略もなく、就業規則、業務標準などのルールもない。

仕事は社員が自分で決め、管理されないという会社。

 

とにかく、社員が働くのが楽しく

会社にくるのが楽しみという会社なのだ。

 

人間は、安心して働ける状況の方がパフォーマンスがあがるという研究結果も読んだことがあるが、競争がパフォーマンスをあげると思っていた私にとってはかなりの衝撃だった。

 

セムコ社の場合は、組織図も無く、ルールが殆どないので

サイバーエージェントとはぜんぜん違う形態だが、

サイバーエージェントは行動規範を張り出したり、価値観「maxims」という小冊子を配ったりしているし)

仕事をする人を一人の自立した大人として扱っている、

社員を大切にするという会社のメッセージという点では一緒かも。

 

今の時代に福利厚生に力を入れる会社は驚かれるだろうなぁと思う。

でも、人の入れ替わりが多いのはとてもコストがかかるのだ。

引き継ぎするために、一時的に辞める人と新しい人が一緒に働くので、給料も2倍かかるわけだし。

 

日本型と言っても、経済成長期を前提にしたあり方はもう通用しない。

時代に即した日本的経営モデル。

 

印象的なのは、

目標を達成した部署には飲み代を支給、翌日の半休もセット。

「達成した時くらい、心ゆくまでゆっくり飲んでくれ」という意味だそうだ。

 

これは、いいなぁー。

 

会社の飲み会って、若い時は嫌なものだったりする。

少なくとも、新卒の頃は大嫌いだった。

だが、いつの間にかとても楽しめるようになった。

 

サイバーエージェントでは、飲み会が頻繁に行われるようになって、ギスギスした社内が円滑に動くようになったそうだ。

 

飲み会って面倒かもしれないが、

お酒が入ると気分が和らいで、いつも話せないことを話せるし、

違う部分も見たり見せれたりする。

特に日本人はシャイで気を使うから、

お酒が入らないとどこか緊張感を持って人と接したりしているし。

飲み会で関係が和むことも本当にたくさんある。

 

面白いのは、

若い人が多いサイバーエージェントがそれをやって、

結果が出ているところ。

 

追い風

第3章 追い風では、

ホリエモンが、時代の波に乗って一気に有名になっていく様子が書かれている。

 

古くから一緒に仕事をやってきた友人のホリエモンが、

時代の寵児になっていく様子が書かれていて面白い。

 

印象的なのは、

「名乗りを上げるのはただ(無料)。これは発見だったよ」

というホリエモンの言葉。

 

確かに。

プロ野球参入はできなかったが、

これでホリエモンは一気に名が知れたものね。

 

ここから、逮捕後まで

友人として見たホリエモンが一部書かれていて、

二人のスタンスの違いなども面白い。

 

サイバーエージェントで面白い仕事しているなぁと

思うのは、将棋や麻雀のオリジナリティあふれる番組をやっているところ。

 

スカパー!で観ていたような番組が

こうやって見られるようになったのも感慨深い。

 

長文になってしまった。

おすすめの本です。

 

 

 

【おすすめ本80】『小休止のすすめ』 ヒロミ 藤田晋 ★運を呼び込む「人生の休み方」の極意

『小休止のすすめ 運を呼び込む「人生の休み方」の極意』

ヒロミ

藤田晋

SBクリエイティブ株式会社 2019年発行

 

ヒロミが何年か前に再ブレイクしたそうだ(テレビを殆どみないのでよくわからない)

 

だが、むかーしテレビでハワイに買った家でくつろぐ様子をみた。

エアコンがついていないのだそうだが、

窓から気持ち良い風が入ってきて死ぬ時はこの椅子に座って死にたい言っていた。

それが、とても気持ちよさそうでハワイの家いいなぁと思った。

 

そのあと、家から夫婦ふたりでウォーキングに行く様子が流れていた。

奥さんは言わずと知れた松本伊代さん。

 

ヒロミはマメで器用な印象だったが、感心したのは奥さんの松本伊代さん。

彼女はとても賢い女性なんだなぁと。

旦那さんをそのまま受け取っている感じの夫婦の距離感がとても良くて、

家事が得意ではない印象だったが、そんなことどうでも良くなるほど彼女に感心した。

 

ヒロミの活躍は松本伊代さんという奥さんも関係あるんだろうなあと思いながら読んだが、なかなか良かったのでご紹介。

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 人生の変化を求められている人
  • 小休止を考えている人
  • 私生活を充実させることに罪悪感を持つ人
  • 落ちぶれるのが怖い人

 

作者紹介

ヒロミ(ひろみ)

1965年 東京都八王子生まれ。

1986年、ミスターちん、デビット伊東等と共に「B-21SPECIAL」を結成。

若者を中心に絶大な人気を誇り、1990年にゴールデン・アロー賞芸能新人賞を受賞。1993年に歌手・タレントの松本伊代と結婚。

日本を代表とするMCとして活躍。40歳の時に加圧トレーニングジム51.5をオープン。

著書に『言い訳しない生き方。』(ロングセラーズ)がある。

 

藤田晋(ふじた すすむ)

1973年福井県生まれ。

97年に青山学院大学経済学部を卒業後、株式会社インテリジェンスに入社。

98年に退社し、インターネット総合サービス企業、株式会社サイバーエージェントを設立。代表取締役に就任。

2000年に当時史上最年少で東証マザーズに株式上場後、14年には東証一部へ市場変更、日経ビジネス「社長が選ぶベスト社長」に選出される。

16年、テレビ朝日と共同出資でインターネットテレビ局AbemaTVを発足させるなど新たな事業にも進出。

『起業家』『渋谷ではたらく社長の告白』『運を支配する』など著者多数。

(『小休止のすすめ』より引用)

 

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • おじさんと呼ばれる年齢になった時の挫折への向き合い方が参考になる
  • 「立ち止まる」ときを肯定し、受け入れていいんだとわかる
  • 同じタイトルでヒロミと藤田晋さんが話しているので、それぞれの考え方の違いが面白い
  • 落ちぶれた自分を認めてみようという気になる
  • 「良いプライド」「悪いプライド」について考えることができた

 

心に残った点・役に立った点

 

躓いた原因

この本を読んでなぜヒロミが再ブレイクできたのかがわかった。

 

40歳頃から司会をしていた番組が潮が引くように終わっていったそうだ。

その時、時代が自分を必要としていないのを感じで、自ら芸能界から身を引いたとのこと。

 

40歳で躓いた原因は「変化できず」「修正できなかった」ことにあり、

引き出しがなさすぎたということに気がついたそうだ。

 

時代が変化して、自分自身も変わるように求められたなら、変わるかどうか、どう変わるべきかを検討すべきとの事。

 

変わるのが難しいと感じたら、小休止を取れば良い。

別の世界に身を置くと、小さなことにこだわっている自分が客観的に見えてくるという言葉は、なるほどと思った。

 

小休止を経て80%を心がけるようにしてみたら、うまくいくようになったのだそうだ。

200%で突っ走ると成果は出ても、周りの人を置き去りにしていくことがある。

 

これって、よくわかる。

100%を続けると自分がバーンアウトしてしまうし、

人を見る目も厳しくなってしまうし、批判的にもなってしまったりする。

(なんであの人はもっと頑張らないんだろう!とかね)

 

落ちぶれた自分を認める

ヒロミは若い頃にはほとんど挫折感を味わわないまま、長い小休止に入ったのだそうだ。

 

 おじさんと呼ばれる年齢になっての、初めての大きな挫折。若いうちに売れず苦労して挫折感を味わいまくる人、50歳で上場企業からリストラされて途方に暮れる人。挫折と向き合うタイミングが違うだけで、誰もが一度は「きついな」という局面に出くわすときがある。人生はそういうふうにできているのだと思う。

(中略)

芸能界から離れた先輩たちの中には、そうやって周りから「落ちぶれた」目線で見られているうちに、本人も落ちぶれた感を漂わせるようになっつぃまった人もいた。たまにくるテレビの仕事にしがみつき、「いい番組がなくて」「自分にあう企画がなくて」と誰にともなく言い訳しながら小さなプライドを守り、次のステップを踏み出すことなく落ちぶれた感の中に埋まっていく。

(中略)

 しがみついてまでやりたくないからテレビから離れ、遊びたいから遊び、ジムをやってみたかったからやったのだ。

 この決断にプライドを持つためにも、僕は一回、胸を張って負けを認めることにした。世間の人がこちらを落ちぶれたと見るなら、たしかにそうだ、と。

 

タイミングが違うだけで、誰もが挫折を感じるような事、キツイという時は一度は来る、そういう風にできているという言葉に、ハッ!となった。

 

主人は今挫折を味わっている最中だから、なおさら胸に響いた。

 

私は、主人に「もっと頑張れ!」「あなたはできる人だったし、こんなに実績を出してきたんだからもったいないよ!」とずっとハッパをかけてきた。

 

私が主人を励まし、できるのにもったいないからそれをわかってもらい自信を持ってもらおうと思っているのだが、主人はいつも辛そうだった。

 

そして、主人は時には苛立ち「もうダメなんだって!諦めろ!」と怒鳴ったりした。

 

そうか。誰よりも負けを認めたくないのは、主人ではなく私だったのだ。

 

主人の事を考えると言うより、私が負けを認めたくないだけだったのだとこの本を読んでわかった。

 

 自分は一時代を築いた・・・・・みたいなプライドを守って、負けを認めないであがいていると、次の扉を開けることができなくなる。

 両手を上げて、「はい。たしかに1つの世界で必要とされなくなりました。負けました」と。実績もプライドもぽいっと捨てられるよう自分と対話するのが、小休止に入るときにするべきことなのかもしれない。

 負けること、挫折することはそんなに悪くない。人生が終わるわけでも、全財産を失うわけでもない。負けても、挫折してもたかがしれている。問題は、世間の「落ちぶれた」と見る目に押されて、自分から「落ちぶれた感」を出してしまうことだ。

『小休止のすすめ』より引用

 

この部分は、私の心に響いた。

同時に負けを認めるとかいう視点から全く考えたことが無かったから、

こういう考え方にちょっと驚いた。

 

認めづらいものを認めるのも、ある種の強さ。

次に進むには、一旦落ちぶれた自分、負けた自分を認める。

なるほど、と思う。

そうすることで次の扉が開かれるというのは、

たしかにそうだろうなぁと。

 

目を背けてきたものをしっかり見て、自分と対話をするということ。

 

小休止とはそのためにあることということらしい。

 

誰にでも1度はやってくる挫折の時に、

自分を受け入れて小休止できるかどうかは大事かもしれない。

それが出来ないと、軌道修正もしないままつっぱしってしまうか、

追い詰められてしまうか。

 

頑張っている人ほど、

小休止という考え方は受け入れがたいかもしれない。

だが、この本にあるように小休止して遊んでみる(たとえそれが休みの日だけであっても)のはすごく大事かもしれない。

頑張っているおじさん世代にもおすすめです。