『企業として見た戦国大名』 真山知幸 著
彩図社 2020年9月発行
昔、忠臣蔵の事を実家で話していた時、
浅野内匠頭の気持ちはわかるけど、
藩は会社のようなものだから、
そのトップとしては殿中刃傷起こした後の藩の事を考えるとトップとしてはちょっとどうなの?と言ったら、母が烈火のごとく怒った。
「そんの言葉、じいちゃんが聞いたら怒るよ」と。
(でも、その時は既に祖父は無くなっていたのだが)
私の祖父(母の父)が忠臣蔵が大好きで、
だから浅野内匠頭と赤穂浪士は善玉で吉良家はヒールみたいな単純な時代劇みたいなとらえ方から外れる考えにムッとしたし、忠臣蔵が好きな祖父の事を否定されたように感じたのかもしれない。
まぁ、はいはいと聞いてれば良かったんだろうけど、
その時は母の事を思考停止してて話にならないなぁと思った。
祖父や母が持っている情緒的なイメージと違って違和感を感じたのかもしれないが、私はずっとこういう殿様だったら仕えたいなァとか時代劇などを見る時に空想したりしていたので、この本はまさにドンピシャだった。
この本をおすすめしたい人
- 経営者
- 起業したい人
- 戦国時代に興味があり好きな人
- 戦国武将が好きな人
- ちょっとちがう面から戦国武将・戦国時代を知りたい人
作者紹介
真山知幸(まやま・ともゆき)
著述家、偉人研究家。
1979年、兵庫県生まれ。
2006年、『トンデモ偉人伝』で著述家デビューし、2011年の東日本大震災を機に、筆名を「真山知幸」へ変更。
『君の齢にあの偉人は何を語ったか』『不安な心をしずめる名言』『大富豪破天荒伝説』『最高の人生に変わる天才100の言葉』『ざんねんな名言集』など著作約40冊。
『ざんねんな偉人伝』『ざんねんな歴史人物』は計20万部を突破しベストセラーとなった。
業界紙出版社の編集長を経て、2020年より独立。
名古屋外国語大学現代国際学特殊講義(現・グローバルキャリア講義)、宮崎大学公開講座などでの講師活動も行い、メディア出演多数。モットーは「短所は長所お裏返し」。
この本のおすすめポイント
- 自分だったらどの戦国大名の企業に入りたいかな?などと楽しく考えて読むことができる
- 戦国大名の色んな面を知る事ができる
- 世間一般で言われるイメージを覆す戦国大名の一面もあり、興味深い
- 戦国大名の行動がどう結果につながったかが歴史的結果としてわかるので、働くうえで勉強になる
心に残った点・役に立った点
これはあくまで、
「企業として見た戦国大名」。
起業のトップとしてどうかだ。
だれもが思い浮かべる織田信長像、企業像だろう。
成績次第では、転勤やクビも容赦なく、
宣教師のルイス・フロイス記述によると、家臣より驚嘆すべき迅速さをもって奉仕され、外来の人々より異常なまでの念を持ってあがめられていて、まるで恐怖政治のようだったようだ。
信長の意向にそって結果を出せる者には実力主義で出世できるが、結果が出せない者にとってはブラック企業。
その実力を持って城持ちまでになり、大きな権限を持つことになった明智光秀は、信長の思ったように物事が運ばなければ、頭をはたかれたり、突き飛ばされたり、首に槍先を突き付けられる事もあったというから、出世しても、気が休まる暇はなかったのかもしれない。
こういう事は、いかにもワンマン企業という感じ。
信長を戒めたり止めたりするものは誰もいない。
信長の章では最後にこうある↓↓↓
信長は、人間の機微を理解したうえでのマネジメントを行っていたが、注文をつけるならば、やや厳しすぎた。とはいえ、緩めすぎれば、組織の規律は乱れる。そのあんばいはいつの時代も難しい。
だが、もし、もう少しだけ部下に寛容なマネジメントをしていたならば、クーデターを起こされることもなく、天下統一を成し遂げていたかもしれない。
ほんとうにね。
織田信長が天下統一をした後の日本を見てみたかった。
森蘭丸の逸話を以前知った時に、
10代なのになんて聡明なんだろう!ととても驚いた。
自分が同じ年代だった時の事を思い起こして、その才覚の違いに愕然。
彼は10代だが織田信長によって大名になっており、天下統一したのちは間違いなく右腕となった人物だろう。
その活躍もみてみたかった。
豊臣秀吉は、
「一台で成り上がったみんなの人気者」
徳川家康は、
「不自由を常として機を待つ」
とある。
この3人はよく比べられるが、
結果を考えると徳川家康という事になるのだろう。
でも織田信長の楽市楽座などの自由な発想や、敦盛を舞ったりする感性など、織田信長に対してはなんとなく憧れを持ってしまう。
さて。
この本の中に出てくる”企業として見た戦国大名”。
自分ならどこに仕えたいかを読んだ後で考えると、
毛利家がいいなぁーと思った。
この本によると
「一大グループを作った理想的なホワイト企業」
だそうだ。
広島の人は毛利家の事を誇りに思っているのを感じる時があるが、
さすが毛利元就。
早めに引退をして、長男に家督を譲り、次男は吉川家、三男は小早川家に養子に出し、「毛利両川」と呼ばれる一大勢力になり、安定した組織になっていく。
三本の矢の逸話が有名だが、
その逸話はやはり毛利家を象徴するような話だという事がわかる。
この本には、毛利家はジミと書いてあるが、
組織としては地味なくらいがちょうど良いのかもしれない。
(まぁでも、家来なら信長のようなところの家臣になって天下統一の夢を一緒に見てみたいと思う部分もあるが)
この本には、色んな戦国大名が出てくるが、
やはり長所は短所、短所は長所という感じでどの大名も良い部分とそうではない部分があって、そこが面白い。
そのあたりはやはり企業と同じかもしれない。
(急成長する会社の社員は負担が大きかったりするし)
軽く読める本なので、興味がある方是非どうぞ。
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