辛い時にはいつも本があった

辛い時にはいつも本があった

辛い時、苦しい時、悲しい時に書店に行くといつもその時の気持ちにぴったりの本との出会いがありました。

【おすすめ本61】パリジェンヌのつくりかた カロリーヌ・ド・メグレ他

パリジェンヌのつくりかた

カロリーヌ・ド・メグレ、アンヌ・ペレスト、オドレイ、ディワン、ソフィ・マス

古屋ゆうこ訳

早川書房 2014年初版発行

 

 

主人が前にヨーロッパ亡国の会社で働いていた頃、

フランスなどで会議(と言う名のそれぞれの国の社員を集めたパーティーみたいなもの)があった。

 

そのときのことは、

10月なのにとても寒いし、

凱旋門のところなんてスリだらけだし、

道は犬の糞だらけだし、、、。

 

でも、ムール貝は日本で食べるよりも安くて何倍も美味しいし、

ビストロで黒板に書いてあるメニューを頼んだりして食べたものはとても美味しいし、店に来ていた年配のカップルと会話したりして楽しかった!そうだ。

 

(ヨーロッパの各会社から来ていた人たちの喫煙率はとても高く、喫煙ルームは色んな国の人たちとも会話しなければならなかったようだ。この本の彼女たちもベッドの中で、階段を登りながらシガレットをくわえていて何故かそれが絵になる)

 

パリにはパリにしかない雰囲気があり、

いつかそれを私に味わってもらうためにパリに連れていきたいというが、

パリねー、パリよりポルトガルに行ってみたいなーとあまり興味もなく。

 

でも雑誌のパリジェンヌの着こなしの写真を見るのは好き。

映画『死刑台のエレベーター』も大好き

ジャンヌ・モローはなんて素敵)

 

 

あー、やっぱり私もパリジェンヌは特別な存在だと思っているのかも。

 

 

『フランス人は10着しか服を持たない』(ジェニファー・L・スコット)や、

HBOの大ヒットドラマ セックス・アンド・ザ・シティ(大好き!)でも、アメリカ人は本当にパリに対する憧れが強いんだなぁと思わせられるが、この本を読むとその理由がなんとなくわかる、、、。

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 日本の従来の価値観に違和感を持つ人
  • パリジェンヌのおすすめの店や本が知りたい人
  • フランス人の価値観を知りたい人
  • パリに行ったことがある人、これから行ってみたい人
  • 憧れの部分だけではなく、リアルなパリジェンヌの考え方などが知りたい人

 

作者紹介

著者

カロリーヌ・ド・メグレ(Caroline de Maigret)

ソルボンヌ大学で文学を学んだのち、ニューヨークにわたりモデルとして活躍。

2006年にパリに戻り、音楽レーベルを設立。

2012年からシャネルのアンバサダーを務めるほか、貧困層の女性の自立を手助けするNGO「CARE」の活動を支援している。

2014年、ランコムのミューズに就任。

 

アンヌ・ベレスト(Anne Berest)

作家。2作の小説のほか、2014年にはフランソワーズ・サガンの伝記Sagan1954を発表。テレビや映画、舞台の脚本も手掛ける。

 

オドレイ・デュワン(Audrey Diwan)

ジャーナリズムと政治学を学んだのち、脚本家に。

ジャン・デュジャルダン主演、セドリック・ジメネス監督の映画LaFrench(2014年12月フランス公開)の脚本をてがけている。

初監督作品が近日公開予定。また、「スタイリスト」誌のエディター・アット・ラージを務める。

 

ソフィ・マス(Sophie Mas)

パリ政治学院とHEC経営大学院修了後、映画会社を設立。

現在は、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンパウロを拠点に映画プロデューサーとして活躍している。

 

訳者

古屋ゆう子(ふるや・ゆうこ)

幼少期からの13年間をドイツ、フランスですごす。

これまでに編集プロダクション、カルチャー分野のライター、「クーリエ・ジャポン」のフランス担当など、雑誌を中心に活動。フランスの好きな都市は、映画三昧の日々を送ったリヨン。

 

 

 

 この本のおすすめポイント

  • 辛口で皮肉屋で自分は自分というパリジェンヌの考え方を知ることによって、いい人、いい妻、いいお母さんという枠組みから外れてもいいんだと思える
  • 女性らしさを存分に楽しんでいる彼女たちから、自分の女性性を開放できる
  • 子供がいても自分の人生を諦めなくても良いと知ることができる
  • パリジェンヌにきれいなイメージしかもっていないなら、そのイメージを色んな意味で覆すことができるかも?
  • 日曜日のシンプルレシピやおすすめスポットなどが載っている

 

 

心に残った点・役に立った点

 

母親の流儀

最初から言い切ってしまうのもなんだが、パリジェンヌはエゴイストだ。子供には愛情をたっぷり注ぐけれど、自分自身のこともそう簡単には諦めきれない。自分を犠牲にし、アッシ・パルマンティエ(ジャガイモと挽き肉のグラタン)を子供たちに作ることだけを生き甲斐にている女性なんて、パリにはまずいない。子供が生まれたからって、パリジェンヌは自分の人生を生きることを諦めたりはしないのだ。

 

『パリジェンヌの作り方』母親の流儀より引用

 

この文章を読んだ日本人の中には相当数、抵抗感を感じる人はいるだろうなぁと思う。

 

子供のために人生を犠牲にするのは美徳のようになっているし、

そうしない親は後ろ指をさされることも多いと思う。

 

集団的圧力のようなものが日本にはあるように思うし。

 

別にパリジェンヌは、子供をないがしろにしているわけではない。

 

何一つ諦めないのがパリジェンヌなのだそうだから。

 

だから、子育ても放棄せず、自分なりの生きるルールを、教養を、哲学を教え込むのだそうだ。

 

子供は王様ではなく、

自分の周りを飛んでいる衛生のようなもの。

 

考えてみると、”親にとっての良かれ”というのは、

子供にとって迷惑で辛いものである時も多い(私はその事をかなり経験した)

そして、大抵間違っている結果になったりする(親は親の言うことは間違いないなどと言うけれど)

 

 

親の、

「○○(私の名前)のため」という言葉や行為は、

独善的で親の狭い視野からの事が多く、

何より私のためというより親の世間体や体裁のためだった。

 

そのため年がら年中否定されて、避難されているような気がした。

 

今考えると、それも全て親の愛情からだったのだとわかるが、

子供はそんな事よりも親が夫婦仲良く、

自分の人生を楽しんで笑顔でいてくれる方が嬉しいのだ。

 

親が自分の時間や人生を楽しんでくれていたほうが、

子供も気が楽だったりする

(じゃないといつも親に監視されているよう気がする)

 

子供のことよりも自分の人生を優先して考えことには、

罪悪感もあるかもしれないが

親がそうすることで子供も自分の人生を優先して考えることができるようになるような気がする。

 

この本は、読むとパリジェンヌの考え方に

「えっ?」と違和感を持つ箇所があるかもしれない。

 

でも、その抵抗感を持つところ、違和感を持つところこそが

自分の考え方や価値観を広げてくれるところ。

 

そういった部分でこの本は、枠を外したい女性におすすめ。

 

 

「もしかして、浮気しているのでは」と恋人に思い込ませる方法

自分に花束が届くよう、自分で手配する。そして、恋人に「気遣いをありがとう」と笑顔で伝える

 

意味もなく、涙を流してみる。

 

恋人からの電話は、無視する。その代わり、甘ったるいメールを送っておく。

 

『パリジェンヌのつくりかた』2.悪習のススメより引用

 

他にも、恋の駆け引きが色々載っている。

 

駆け引きじたい遠い話になってしまった私としては、

「ほー。」と関心。

 

若い時は、そっけなくするなど(笑)の駆け引きをしていたが、

「駆け引きって実は思ったよりも効果がないんじゃないの?」と思った瞬間があり、全くやらなくなった(もっとオープンで正直な方がうまくいくという幻想もあったかも。それに面倒くさい。)

 

だから、こういうのを読むと、

パリジェンヌが何歳になっても女なのがよくわかる。

 

 

「1.パリジェンヌの基本」には、

 

「同じものをください」そう彼は言った。

 

という一文が。

 

 彼の前で気取ってみたり、自分を作ってみたりしたけれど、この一言で、完全に冷めてしまった。

(中略)

一度そう思ってしまったからには、もう何をやっても無駄。とりあえず、ふた口だけ食べて、何かしら理由を見つけて、早めにこの場を去ろう。もう二度と彼に会うこともないだろうな。アデュー(さようなら)

 

『パリジェンヌのつくりかた』1.パリジェンヌの基本より引用

 

「同じものをください」に興ざめするのは、ちょっとわかる。

だが、その場を去ることはしない。

 

パリジェンヌはなんとスノッブで手厳しいのだろう。

 

他にも、この本には、

「男を動揺させる方法」「恋人をうまいこと騙す方法」

なども載っている(真に受けてやってみるかどうかはあなた次第)

 

こうしたパリジェンヌにパリジャンは磨かれていくという事なのかもしれない。

 

この本を読むと、

パリジェンヌについて憧れるところも、

抵抗感を感じるところも、両方でてくるかもしれない。

 

そこがこの本の良さ。

 

いつまでも女性でいていいと言われて、

罪悪感を感じる人、抵抗感を感じる女性に読んで欲しい本。