『ざんねんな三国志』
真山知幸
株式会社一迅社 2020年発行
真山知幸さんの本は、
以前『企業としてみた戦国大名』が面白かったので、
三国志を読む前に、三国志に出てくる登場人物に興味が湧くかもとこの本をチョイス。
この本をおすすめしたい人
- 三国志に興味があるけど大作なので気後れしている人
- 三国志の登場人物に興味がある人
- 三国志はだいたい知っているけど人物についてもっと知りたい人
- 三国志を違う角度でみてみたい人
- 数時間でざっと三国志の登場人物について知りたい人
作者紹介
真山知幸
著述家、偉人研究家。
1979年同志社大学法学部卒業後、専門出版社の編集長を経て執筆業に専念。
名古屋外語大学現代国際学特殊講義、宮崎大学公開講座などで、偉人や名言をテーマに講師活動も行っている。
主な著書に『ざんねんな偉人伝:それでも愛すべき人々』『残念な歴史人物それでも名を残す人々』(学研プラス)、『企業として見た戦国大名』『ざんねんな名言集』(彩図社)などがある。
『ざんねんな三国志』より引用
この本のおすすめポイント
- 文字も大きく本の厚さも無いので気軽にサッと読める
- 魏呉蜀の国別にわかれているのでわかりやすい
- 人物だけではなく戦記も載っているので全体像を把握しやすい
- 登場人物についての”ざんねんな部分”が紹介してあるので、長所も短所も突き抜けていて面白く感じる
- 登場人物の個性が豊かで読んでいて面白く三国志が読みたくなる
- おきにいりや気になる武将がいるかも?
心に残った点・役に立った点
劉備
三国志についてそれほど詳しくはないが、
劉備、関羽、張飛、曹操や諸葛亮などは知っているあさーい知識。
その中でも劉備は日本人好みの武将だろうなーと勝手に思っている。
まぁ主人公的な人だしね。
あまり欠点が無いようなイメージだが、
こういう真面目で情に厚い人は、それがいきすぎるとびっくりするような行動になってしまうのがなるほどー、と頷ける。
ここでその内容を書くのは避けるが、
各項目の最後に一言ずつ吹き出しが入っているのだが、それをご紹介。
「ほとばしる人間愛がスゴすぎて、なんだかもうワケが分からない、、、、。」
「正しいけれど、なんかモヤモヤする、、、、それこそが劉備。」
「はい、処刑!優しい人を怒らせると怖いんです。」
特に、
「正しいけれど、なんかモヤモヤする、、、、それこそが劉備。」
はうまいこというなぁー。
「モヤモヤする」とは的確な表現。
関羽
以前台湾に行った時に、
台湾での関羽人気にびっくりした。
(だって台湾は三国志とは関係ないところなので)
行天宮というお寺に行ったが、そこは関羽が祀られていた。
(どんなジャンルにも満遍なくご利益があるとその時聞いてびっくり。関羽を祀っているお寺は台湾各地にあるそう。)
まぁ、でも行天宮は交通が便利で観光客も多いが、
地元の方たちに親しまれているお寺という感じでとても良かった。
(杯を投げたりして運を占う事もできるのも面白かった)
台湾で祀られている関羽像は立派な髭が印象的。
曹操から送られたプレゼントはある物を除いて全部返却したそうだ。
その”ある物”とは、「髭を包む袋」
関羽は「冬に髭が切れないように、黒の紗の袋で包む」
と曹操に言ったのを聞き逃さなかったようだ。
曹操はさっそく、
錦紗で髭を包む袋を作って関羽にプレゼントしたらしい。
それをいたく気に入った関羽は早速髭をその袋で包んだらしい。
関羽は髭の美しさから「美髯公(びぜんこう)」と呼ばれたそうなので、
髭にはこだわりがあったのだろう。
でも、髭を包む袋って!
顎の下にそんなのつけるのは邪魔じゃないのかしらん。
この本に書かれているような逸話を知っていたら、
行天宮に行った時も違う重みがあったかもしれない。
関羽はすごく強い人のイメージしかなかったので、
こういうよくわからないが人間くさい部分もチャーミングに思える。
コロナが収束して、
また台湾に行けるようになった時、
この本を読んで関羽について立派な部分以外の人物像を知るのも面白いかも。
三国志を色々読んでいてものすごく詳しい知人に、
三国志の中で誰が好きか聞いた時の答え。
「昔は張飛。大人になってからは特別にはいない。」
その人が言うには、中国人が好きなのはずっと曹操なのだそうだ。
なんだか納得。
(関羽も人気あるみたいだが)
その人に
「周瑜ってどんな人?」
と聞いたときの答え。
「頭いいけど短気で病弱」
(え、これだけ?)
周瑜はなんだか複雑なものを抱えている感じで、
もっと人物について知りたいと思わせられる人。
趙雲についてのざんねん逸話を読んでもあまりざんねんではなく、
むしろかなりいい男!という内容だった。
だが、周瑜は「なんで?」みたいな逸話が多く、
そこが面白い。
三国志、読むの大変そうだなぁーとずっと手が出なかったが、
読んでみようかな?と思わせられる本。
何より、突き抜けている人は、
短所(?)も突き抜けているという点が面白い。
長所が大きければ短所も大きい
(見ようによっては長所と短所は紙一重かも知れないけど)
そのへんのところも、
つくづく人間について考えさせられたのも良かった。
人によっては
「ふざけた内容!」と思う人もいるかも知れないけど、
軽く笑いながら読んでみたい人には是非。