辛い時にはいつも本があった

辛い時にはいつも本があった

辛い時、苦しい時、悲しい時に書店に行くといつもその時の気持ちにぴったりの本との出会いがありました。

【おすすめ本65】『宮本亜門のバタアシ人生』居場所を見つけた11人の生き方コツ話

自殺未遂・引きこもり・対人恐怖症・・・・・・すべて経験済み 宮本亜門のバタアシ人生 生き方を見つけた11人の生き方コツ話

宮本亜門

世界文化社 2008年発行

 

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昔、同僚が『アイ・ガット・マーマン』を観に行くと言ってとても楽しそうにしていた。

 

以前、宮本亜門氏がイギリスでの演出に挑戦したときのインタビューを読んだ時、それまでももちろん存じ上げていたが、何か印象に残るものがあった。

 

その後、何かで目にするたびに、

彼の話すことが胸に響くことが何回かあり、彼の感覚や感性がとても好きだなぁと。

 

今、私にとってはこれまでの人生の中でもちょっと辛い時期。

無性に宮本亜門氏の本が読みたくなった。

 

この本をおすすめしたい人

  • 挫折感を感じている人
  • 病気を患っている人
  • 死や生を考えてみたい人
  • 悩んでいる最中の人

 

作者紹介

1958年1月4日生まれ。東京都出身。

出演者、振付師を経て、2年間ロンドン、ニューヨークに留学。

帰国後の1987年にオリジナルミュージカル「アイ・ガット・マーマン」で演出家としてデビュー。

翌’88年には、同作品で「昭和63年度文化庁芸術際賞」を受賞。

ミュージカルのみならず、ストレートプレイ、オペラ等、現在最も注目される演出家として、国内外に活動の場を広げている。

2004年に、ニューヨークのオンブロードウェイにて「太平洋序曲」を東洋人初の演出家として手がけ、2005年同作はトニー賞の4部門でノミネートされる。

 

宮本亜門のバタアシ人生』より引用

 

 この本のおすすめポイント

  • 11人の対談相手から人生のヒントを得られる
  • 宮本亜門氏の人生体験から生きる勇気が生まれる
  • ”見えないこと”について語られている内容を様々な視点から語られている
  • 科学者も対談相手にいるので、科学者目線での”目に見えない事”が語らている点が興味深い
  • 壮絶な体験が語られているので、自分の生に感謝を感じることができる

 

 

心に残った点・役に立った点

 

宮本亜門氏のこれまでの人生がすごい

 

この本は、11人の対談者が登場する。

 

第一章 自分の居場所が見つけられない人へ

第二章 自分の殻に閉じこもり、抜け出せない人へ

第三章 やってもやってもうまくいかないと思っている人へ

第四章 何かを変えたいのに、変えられない人へ

第五章 生きている意味がわからなくなった人へ

 

それぞれの章にタイトルがつけられ、

それに沿った内容になっている。

 

対談の前に、

”亜門STORY”として、宮本亜門氏のこれまでの人生が語られている。

 

それがすごい。

 

表紙に、

自殺未遂・引きこもり・対人恐怖症・・・・・・すべて経験済み

とあるが、その表現に偽りなし。

 

自殺未遂も、引きこもり、その他にも沢山の挫折も体験されてきた宮本亜門氏。

 

だが、俯瞰してみると

その全てが演出家になるために必要だったのだと思えるほど。

 

今の宮本亜門氏になるためのストーリーになっている。

 

以前、”全ては最善”という言葉を聞いたことがあるが、

その時は「それは偽善ではないのか。つらい経験が結果としてそう思えることもあるが、選択を間違っただけのことも多いのではないか。」と思った。

 

だが、この”亜門STORY”を読むと、

”全ては最善であり必要だった”となんだか思えてくるのだ。

 

その時その時は、とても辛かったはずだ(読んでいてもこちらの胸が痛くなる部分も多い)。

だが、そのひとつひとつが、地となり肉となって演出家宮本亜門を作っているパーツになっているように思えた。

 

この部分に気付き、

自分の人生も少しは肯定してもいいのかなと思うことができた。

 

今、辛いことも多い。

だが、後でみてこれも私の人生の必要な経験であったと思える日が来るような気がして勇気が出た。

 

若いときの失敗や苦い思い出を公開している人は、

読んでみると良いかも。

 

 

 

 

 
 
生まれたこと・生きていること
この本で印象的だったのは、
遺伝子学研究者の村上和雄さんと、ヨットマンの佐野三治さん、医師の船戸崇史さん。
 
村上和雄さんのご著書は何年か前に何冊か読んだことがあるが、
今回改めて、”32億分の1の奇跡”について思うところがあった。
 
世界中の学者が集まっても、60兆の細胞は作れない。
人間は奇跡。奇跡があまりに大きいから感じない。
 
そして、人間の命は尊い、素晴らしい。
それを実感するのが遺伝子のオンオフに大事とのこと。
(DNAのうち働いているのは2,3%であとは何をしているのかわからないそうなのだ。何かの拍子に眠っている遺伝子のスイッチがオンになって働き出すことがあるそう)
 
体は元素からできていて、
地球の元素は宇宙から来ているから、私達は宇宙のひとかけら。
 
このコトを読んだ時、
自分の意識がふわっとなるような気がした。
137億年の結晶の私達の命。
 
なんだか、じーんとくる。
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

10人目の佐野さん。
初めての本格的な外洋ヨットレースで遭難事故にあわれた。
27日間漂流したあと、たった一人だけ助かった。
その過程で周りの人達が、ひとりまたひとりと亡くなっていく。
 
すさまじい経験。
 
読みながら生きるという事、死ぬと言う事を
考えずにはいられない。
 
11人めの医師 船戸さんの話は死や死に様というものを考えることによって、
どう生きるかだけでなく、どう逝かせてあげるかを初めて考えることができた。
 
この方は、
対談後にガンの告知をうけ、手術したことを記した
”私の手術体験”も載っていた。
この部分も是非読んで欲しい。
 
他にも、アーティストの横尾忠則さんや、
作家で科学者の天外伺朗さん、作家の荒俣宏さんも印象深かった。
 
自分の居場所が無いと思っている方、
今もがいている方、おすすめです。