辛い時にはいつも本があった

辛い時にはいつも本があった

辛い時、苦しい時、悲しい時に書店に行くといつもその時の気持ちにぴったりの本との出会いがありました。

【おすすめ本69】『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』薄井シンシア

 

『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』

薄井シンシア

2017年7月 株式会社KADOKAWA発行

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 今専業主婦をしていて世間から切り離されていると感じている人
  • 専業主婦をしていることに不安を持つ人
  • 復職に不安を持っている専業主婦の方

 

作者紹介

薄井シンシア

 

1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。

日本国籍

国費留学生として20歳で来日。

東京外国語大学卒業後、日本人と結婚。

貿易会社に2年間勤務。

外務省勤務の夫を支え、30歳で出産した娘を育てるために専業主婦の道を選ぶ。5カ国で20年間暮らす。

娘のハーバード大学入学と同時に就職活動を開始。

47歳で”給食のおばちゃん”からカフェテリアマネージャー(タイ)、会員制クラブの電話受付アルバイト(日本)を経て、ANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。

勤続3年で営業開発担当副支配人になる。

現在、5つ星+のラグジュアリーホテルに勤務。

 

 

この本のおすすめポイント

  • 50代専業主婦でも働く希望が持てる
  • 専業主婦をしている人も、専業主婦をキャリアと捉える事ができる
  • 専業主婦に罪悪感が少なくなる
  • 専業主婦が持つ不安感を考えることができる

 

 

心に残った点・役に立った点

 

遅れてきたワーキングウーマン

10年前まで専業主婦だった私の生活は、がらりと変わった。今の私は、朝6時半に起きるとすぐテレビをつけ、ニュースを聞きながらメールをチェックし、今日会社に着いたらすぐ

やらなければならないことを確認する。作り置きのスープの朝食をさっとすませて家を出る。電車での15分間でできるだけメールに返信をし、最寄り駅より1つ手前の駅で電車を降りて会社まで、有酸素運動のつもりで30分歩く。そして9時半、会社に到着するや待ち受けている電話やメールの嵐をさばく。一方、10年前、私が同じ時間帯にやっていたのは、夫と娘を起こして朝ごはんを食べさせ、送り出したら、掃除機をかけ洗濯機を回し夕食の下準備をすることだったのだ。

 

『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』第一章 五十代専業主婦からの挑戦 より引用

 

この本はこんな文で始まる。

 

筆者はこのギャップを感じてはいないそうだ。

 

毎日の家事育児を一生懸命にやってきて、その積み重ねが、実務的な仕事を効率的にこなす能力を育ててきた。

夫や子供に提供してきたホスピタリティが、サービスがより求められる時代にあって役に立っているとの事。

 

だが、子育てを終えた50代、60代の女性は女性活用の対象からすっぽりと抜け落ちているかに見えると作者は言う。

 

そして、作者はこういう。

 あなた自身の可能性を家庭の中に閉じ込めてないで。人生後半のびのび自分らしく働いて、もう一度夢を見ませんか、と。

 

(中略)

私と同年代の女性は、学校を卒業したあと就職し、数年間勤めたのち、結婚や出産で離職し専業主婦になるのが”当たり”と言われた世代だった。しかし、20年経って子育てを終えたとき、これほどまでに「女性よ働け」と言われる社会になっているとは、1980年代当時、いったい私たちの誰が予測しえただろう。子育てが終わって就活中の女性がぽろりと漏らした言葉が耳に残る。

「私は勝ち組と思っていたのに、いまでは専業主婦では肩身が狭い。負け組になっちゃったのかな・・・・・。」

 

 

『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』第一章 五十代専業主婦からの挑戦 より引用

 

最後の女性の言葉に、私も同じ経験をしているからちくっと胸の痛みを感じる。

だが、”勝ち組””負け組”という外との比較では、きっと辛いし不毛だろうなとも思う。

 

”勝ち組”とか”負け組”とかいう余計な感情は、きっとその女性の就職活動をも阻んでしまうだろうなとも感じる。

 

とは言え、私も専業主婦という立場から就職活動をし、今働いているので彼女の痛みもわかる。

彼女だけではなく、専業主婦が感じる焦燥感もよーくわかる。

そして、ただただ歳をとっていく言いようのない怖さも。

 

 

 

専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと

会社で仕事をするように、家事をする

 

スケージュールどおりに決められた家事仕事をするということ。

 

具体的には、ジョブ・ディスクリプションを書いてみる。

一日朝からこなした仕事の数々を時間を追って細かく書き出してみると、項目数は50を上回った(新聞の結束や公共料金の振り込みなど細かい仕事も含めて)

 

そして、仕事量を把握し、手順、無駄な仕事をやっていないか、手間がかかりすぎていないかなど、非効率を発見したそうだ。

 

外に出て仕事をしたいと思うなら、”なんとなく主婦をやること”をやめることが第一歩。

 

そして、筆者が徹底しているのは、一ヶ月の夕食の献立スケジュールを立ててしまうという点。

 

曜日ごとにメイン食材を割振って、それをもとに主菜、副菜を決める。

月曜日のメイン食材は豚肉、火曜日は魚、水曜日は牛肉というように基本献立を決めてしまうとあとが本当に楽だったそうだ。

 

確かに、スーパーで献立を考えながらうろうろするのは時間の無駄かもしれない。

でも、旬のものを取り入れたり、その日に入ってきた新鮮な食材を夫に食べさせてあげたいとも思ったりするのだ。

 

だから、この1ヶ月献立は私には難しいかもしれないし、抵抗があるなぁ。

 

きっと、作者のこのやり方がぴったり合う人もいると思うので、そういう人にとってはヒントになるかも。

 

私も判断力や決断力を磨いて、食材を買う時の時間を短くしてみようとも思う。

 

いまでも、どうすればパソコンを効率よく操作できるか、打ち合わせの時間を短くできるかなど、終始考えながらやっているとの事。

 

主婦はとても忙しいが、だらだらやろうと思えばいくらでもやれる。

それを効率化を念頭にするということは、仕事に復帰する際に役に立つだろうと思う。

 

 

ネットワークが次の可能性を拓く

作者はPTAやご主人仕事(外交官)、赤十字のバザーなどでボランティアに関わる機会が多かったそうだ。

 

バンコクでのPTA活動がカフェテリアの仕事に。

それだけではなく日本での会員制クラブのパート仕事をしている時に、今のホテルをやらないかと声をかけてくれたのが、カフェテリア時代を知るP総支配人だったとの事。

 

ネットワーク作りのチャンスが限られている専業主婦にとっては、ボランティア活動は有効。

 

専業主婦時代の私に圧倒的に足りなかったのは、

こういう視野を広げるような外との関わりだった。

 

ホームレスに関するボランティアをしていた事はあったが、

それは自由参加で終わったら各自帰るみたいな感じで楽ではあったが、

他の人との関わりはほとんど無かったなぁ。

やはり、私の心がオープンでは無かったのかもしれないと今ならわかるが。

 

「見た目」を維持する

50代専業主婦が、就職を目指すのであれば、なおのこと「人は見た目」を心に留めておいたほうがいい。それが、私の実感である。

 たとえば、採用面接の場面を想像してみよう。面接官の前に同じ50歳の専業主婦2人が並んでいる。化粧をしなれている人とそうでない人、背筋の伸びている人とそうでない人、清潔感のあるこざっぱりとした人とそうでない人。さて、面接官が採用したいと思うのはどちらだろうか?

見た目の印象を分けるのはだいたいこのようなことがポイントで、クリアした人は「この人なら明日からでも仕事ができそうだ」と評価され、クリアできなかった人は「主婦臭い」と言われてしまう。一見大きな差はないように見えて、それが第一印象で判断される。本人はどこが違うのかと思うかもしれないが、これが50歳専業主婦が直面する現実だ。

 

『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』第三章  専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと より引用

 

 

作者は、「見た目」で一番わかりやすいのは、化粧である。

と断言している。

 

化粧から本人の生活意識が透けて見えるのだそうだ。

 

これは、わかる。

 

女性だったら、化粧をする事で意識が”家モード”から”外出モード”に変わるという人も多いのではないだろうか。

 

私は化粧をしていないと、家事もなんとなくだらだらやってしまう事が多くて、やはり化粧をすることで、いつ人が来てもいいように体にスイッチが入るような気がしていた。

 

他に筆者は20代の頃ヨーロッパのホテルのレストランで差別された経験から、東洋人は身長や顔立ちで差別されやすい、カバーするために身なりも化粧もきちんとして初めて、まともに扱ってもらえると言っている。

 

差別は悪い。

だが、外国では純然と見た目で判断するし、それが当然になっている。

(日本でも外国ほどでは無いが、対応に違いはある事も多い。折角高級なお店に行ったのにあまり相手にされないとか)

私も経験した事がある。

特にカジュアルな格好だとそういう傾向があったように思う。

やはり、化粧をして見た目を整えるというのは、相手に尊重してもらうのにも大事だと実感。

 

著者は合理化が徹底している。

カラーアドバイスで黒が似合うと言われて、以来洋服は黒と決め黒ばかりになったそうだ。

洋服の組み合わせを考えなくても済むし、アクセサリーで変化を付ければファッションとして十分。

これが、彼女のブランディングになっているとのこと。

 

黒のワンピースにイヤリング、ショートカットで黒縁メガネ、黒のヒール靴。

 

頻繁に香水を変える女性より、同じ香水を使い続けている女性の方が、○○の香りの人という事で印象が残ると昔読んだことがあったが、これも同じような事だろう。

 

私は、ファッションを楽しむのが好きなので、クローゼットに黒しかないという状況はどうにも耐えられない。

(おまけに、年をとってきたら黒が似合わなくなったのだ!なので黒の代わりに紺を選ぶようになった)

 

合理化という点からなら、ベーシックな色を決めてアクセントカラーを組み合わせるとかならおしゃれが好きで色々な色を着たい人でもOKかも。

涼しい時期なら、スカーフやストールを楽しむといつも巻物をしている人というブランディングになったりして楽しそう。

パールのアクセサリーをいつもしていてよく似合うとか。

 

そのあたりは、個人個人で程よくこの本のアドバイスを取り入れていけば良いと思う。

 

就職した50代専業主婦に贈る「4つの鉄速」

 

少ないチャンスをものにして、希望の会社に入ったのに、1年も経たないうちに辞めていく人が少なくないと女性の再就職を後押しする会社の人から聞いたそうだ。

 

著者が52歳でスタートした時給1,300円のフルタイムの電話受付。

 

初日から、電話は1つ鳴ったらすぐ出ることを心がけた。

暇なときは率先して事務所を片付けた。

わからない事はしつこい奴だと迷惑がられても聞いた。

悔しいからマニュアルを自分で作った。

数ヶ月で仕事が完璧にできるようになったので、周りに何かお手伝いすることありますかと聞いて回った。

部署が忙しくなり人手が足りなくなった時、チャンスだと手を挙げて多忙な担当者にかわりイベントの仕事を引き受けた。

 

こうして、与えられた仕事プラスアルファの仕事をやって、初めてチャンスが与えられる。

仕事をする以上、このプラスアルファにこそ、おもしろさも自分の可能性もあると思っている。

50代専業主婦は、相当に遅れてきたワーキングウーマン。

先へ、早く行きたいと思うなら、人並みになっていてもダメなのだ。

 

・・・・この部分は、胸に沁みる。

本当にそうだ。

 

質問して迷惑がられることを恐れる、与えられた仕事しかしないではきっと、

自分の成長も無いし、可能性も広がらない。

 

著者の働き方4つの鉄則はシンプルだ。

だけど、そこがキモだと思う。

 

あとは覚悟があるか、無いか。

 

 

 本当に、あなたは、あなたの可能性を知らないままでいいのですか?考えてみてほしい。

 

『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』第五章  子育てを終えた専業主婦が、就職していきいきと輝ける社会の実現へ より引用

 

 

今日から、新しい人になる

いま、あなたの心に「仕事をしてみよう」「就職をしてみたい」という気持ちがひとかけらでも芽生え始めているのだとしたら、今日がそのスタートである。

(中略)

では今日、あなたは何をすべきなのか?

 変わることである。変えることである。

 まず、専業主婦はキャリアであると、今日から意識を変える。キャリアと思って、今日から真剣に専業主婦という仕事に取り組めば、夫からお金をもらうことの意味が変わる。プライドが持てる。

(中略)

 さあ、夢を持って、一歩前へ。

 

『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』第五章  子育てを終えた専業主婦が、就職していきいきと輝ける社会の実現へ より引用

 

私は子供を育てた経験は無いが、専業主婦であることに罪悪感を持っていた時期がある。

でも、働いたら案外自分もやれるなぁと自分を認めることができた。

 

夢を持って、一歩前へかー。

夢を持っていいんだなぁー。

 

働くことで叶う夢もある。

自分に自身を持てる事がベースになるから。

 

専業主婦でいつか働きたいと思っている人、

これから働こうと思っている専業主婦の方、おすすめです。