辛い時にはいつも本があった

辛い時にはいつも本があった

辛い時、苦しい時、悲しい時に書店に行くといつもその時の気持ちにぴったりの本との出会いがありました。

【おすすめ本77】『地図でスッと頭に入る戦国時代』武将トーナメント付き

『地図でスッと頭に入る戦国時代』

監修 大和田哲男

2020年 昭文社発行

 

豊富な絵(地図や戦国武将のイラスト)で、

手にとったら読みたくなるのがこの本。

 

 

f:id:nonko-h:20211110185851j:plain



この本をおすすめしたい人

  • 戦国時代を違う視点からみてみたい人
  • 戦国時代の戦略を地図で確認したい人
  • 戦国時代に詳しくない人
  • 戦国武将について気軽に知りたい人

 

監修者紹介

小和田哲男(おわだてつお)

 

1944年、静岡生まれ。

早稲田大学大学院文学部研究科博士課程終了。

文学博士。

現在、静岡大学名誉教授。

公益大残法人日本城郭協会理事長。

専門は日本中世史。

著書に『家訓で読む戦国 組織論から人生哲学まで』(NHK出版)、『戦国武将の生き方死にざま』(新人物往来社)、『明智光秀・秀満 ときハあめが下しる五月哉』(ミネルヴァ書房)など多数。

 

『地図でスッと頭に入る戦国時代』

 

この本のおすすめポイント

  • ひとつの戦略が見開き1ページにまとまっている
  • 地図が豊富で目で楽しめる
  • 武将ごとの戦略地図になっている
  • 地図上での各戦国武将の動きを目で追える
  • 説明が簡潔で戦国時代に疎い人もとっつきやすい
  • 武将トーナメント表がとにかく面白い

 

心に残った点・役に立った点

武将トーナメント表

この本を開いて最初に目にするのは、

戦国大名 天下取りトーナメント!」

 

まず、これに目を引かれる。

 

戦国時代の武将を高校野球のように、

トーナメント表にしてあるのだ。

 

それぞれの武将に誰もが自分なりのイメージを持っている(と思う)

(強いとか弱いとかも含め)

 

戦国時代の武将はキャラクターで捉えがちだが、

このトーナメント表をみると、誰が強かったのかが一目瞭然。

 

そして、戦いの流れもわかる。

 

これはとてもおもしろい企画。

 

「勝ち抜きレースでわかる戦国時代」

というサブタイトルがついている通り、とてもわかりやすい。

 

うはぁ!

すごい!さすが!

 

と、思わず声をあげてしまった戦国武将がいたが、

これから読む人のためにそれは伏せておきます。

(でも大体わかるだろうけど。何がすごいって戦いの期間が短くてまたたく間にトーナメントをかけあがっているように見えるのだ)

 

トーナメント表をみると、

自分の記憶の中にあるイメージとちょっと違う部分もあって、

それも面白かった。

 

群雄割拠の時代

戦国時代というと、

織田信長などのスターが出てきてからの事を目にすることが多い。

 

だから、この第一章 群雄割拠の時代は興味深く読めた。

 

太田道灌の活躍、朝倉孝景の自立、北条早雲駿河入り。

 

斎藤道三の戦略地図も載っているが、

斎藤道三というと信長に娘を嫁がせたイメージの方が大きかったので、

信長の父、信秀とも2度ほど戦っており勝利している事、

美濃の土岐頼武、頼純、頼芸を一網打尽にせず、策略で勝利するなど

戦い方を知れたのはためになった。

 

今川義元織田信長との桶狭間の戦いで有名だが、

武田・北条との戦いに終止符を打ち、

駿府を中心に今川文化が花開いたこともあり

”海道一の弓取り”と称えられたことも知り、まさに全盛期を築いた事も知った。

 

 

第二章 織田信長の時代

 

以前、笠原真樹氏のマンガ『群青戦記』を読んだ。

面白いが、悲しい場面も多いし、ヒリヒリするマンガ。

 

その『群青戦記』に出てくる織田信長たるや。

 

もう、覇王という言葉がぴったり。

そして、グロテスクなまでに恐ろしく書かれている。

 

この本では第二章がほぼ織田信長関連。

 

やはり、織田信長は戦国時代のスターなのだなぁ。

 

第二章を読みすすめていくと、

戦いを通して、信長の人生が浮かび上がってくる。

 

信長に滅ぼされた戦国大名たちも

素晴らしい戦国大名なのだとわかる。

(戦国時代なのだから領土を保って生き残っているだけですごい)、

だからこそ、ほろ苦い。

 

織田信長は時代を駆け抜けていったのだなぁ。

 

歴史のタラレバは禁物というが、

織田信長が天下統一した後の日本をみてみたかった。

 

第三章 天下人の時代

第三章は、本能寺の変の後から始まる。

 

第三章のはじめのページに、

本能寺の変勃発直後の情勢」の地図が載っている。

 

これをみると、その時の勢力がひと目で分かる。

 

中部~畿内織田信長の勢力、

四国は長宗我部、

中国は毛利、

九州は島津なのがひとめでわかる。

 

面白いのは、今の栃木あたりから青森はまだ群雄割拠で、

大きな勢力に制圧されていないのがわかる。

 

伊達政宗は山形の米沢出身なので、米沢あたりも伊達家になっている。

 

関が原の戦いは天下分け目といわれるだけあって、

地図で戦略をみるととてもわかりやすい。

 

この三章で興味深いのは、

豊臣秀吉朝鮮出兵の戦略地図が載っていること。

 

ここには、

この文禄・慶長の役には別の意味があったのではないかと書かれている。

(その内容はどうぞ本を手にとってみてください)

 

加藤清正の進路、小西行長の進路も地図に書かれている。

 

全126ページと薄めの本だが、なかなかおもしろい。

 

おすすめです。