気持ちが沈んでるけど、本を読む気力もそんなにない時ってありませんか?
読みながら心がふわっとなる本(マンガエッセイ)をご紹介。
さあ、ちょっと手を止めて寝転んで読んでみませんか?
この本をお勧めしたい人
- 身も心も疲れて長文や難しい本を読む気力が無い人
- 本のタイトルは知っていたけど(話題になりましたよね!)、読んだことが無かった人
- 矢部太郎のファン
- ちょっとの時間現実逃避したい気分の時
- 気軽に読めるものが欲しい時
- 外国の映画やドラマのように、同世代以外の人と友人になったり交流を持ちたいなぁという人
- 戦争中の生活を知りたい方
- 日本のお笑いはちょっと苦手な人
大家さんと僕が出会う前も、僕はしあわせでした。でも大家さんと出会って、僕はしあわせになりました。
2019年7月24日 矢部太郎
引用:新潮社ホームページから
人物紹介
大家さん
東京生まれ東京育ち。
矢部太郎の大家さん。
とても上品な物腰で、
挨拶は「ごきげんよう」。
矢部との「二人暮らし」が楽しくて寿命が延びたそう。
好きなものは
矢部太郎
東京生まれ東京育ち。
お笑いコンビ「カラテカ」のボケ担当。
8年前から大家さんの家の2階に間借りしている。
テレビのバラエティでうまく喋れないのがなやみ。
同世代の女性より、
大家さんの方が話が合う。
引用:『大家さんと僕』から
この本のおすすめポイント
- 漫画なので気楽・気軽
- 絵が単純なので読んでいて疲れない
- どこから読んでもOK
- 4コマ漫画ではなく、8コマ漫画なのでエッセイ+オチという感じなので、「ふふっ。」という柔らかい笑いで気持ちが柔らかくなる
- でも、大家さんがご高齢なのでペーソスも
- 矢部太郎の新たな才能に感心
漫画形式ですが絵が単純で塗りつぶしも少なく、背景の書き込みなどがあるわけでは無いので、読んでいて疲れないんですよね。
(要するに絵がごちゃごちゃしておらず、細かい書き込みも無いので目に優しい)
心に残った点
大家さんがご高齢なので、ところどころに「死」を感じさせるセリフなどがありますが、それが淡々としており悲しいというより、不思議な余韻を残してくれるのです。
大家さんの年齢は終戦時17歳という事なので、私の祖母と母のちょうど間ぐらいでしょうか。
祖母から戦争の事は聞いたことはありますが、戦争時結婚しており自分の夫も戦争に行ったりしていたからか、あまり多くを語った事はありませんでした。
両親のどちらの祖父・祖母も戦争体験者だったけど、詳しく話そうとはしなかったし、私も無理に聞く事も無かった(話したくないことを話さなくても良いよなぁと思っていたので)
今になってみると、聞いておけば良かったなとも思いますが。
でもねぇ。みんなその話したがらなかったところに、戦争という事をそれぞれどういう風に受け止めていたのかがわかる気がしていたので。
祖父は戦友のところを訪ねたりしていたようです。
やはり同じ体験した人同士しか共有できない事でもあったのでしょう。
ですが、この本の大家さんは戦争中10代の思春期だったからか、
戦争中は英語が禁止だったから、誕生日の歌を歌ったのが初めて…とか
おやつが、炒った豆だったり塩だったり…とか
戦時中の思い出がリアルだし、大家さんの日常生活の中で自然に話題に出てくるのですよ。
そういった辛かった思い出も、大家さんのセリフとして書かれているので、さらりとしている。
大家さんの淡い恋心の話や、自分が亡くなった後に遺品を渡す相手を決めているところなど、しんみりする話も。
中でも、昔結婚していた人の絵の逸話は、心の中に切ない余韻を残します。
その切ない話や、ほんわかとさせる矢部さんとのやりとり、
思わずふふっと笑わせてくれるところ(決してアッハッハッ!という笑いではない)
などが絶妙に入り混じった事による、読後の余韻。
プラス発想とか、勝ち組負け組とか、そういった事を超越してしまう本。
何というか…、人それぞれの人生があるんだなぁと。
人それぞれの人生をしっかり肯定できる感じというか。
これは、孫とお祖母ちゃんの話ではなく、
「大家さんと僕」の話だからこそ良いのだ。
血のつながりが無いからこそ、通い合うものもあると教えてくれた本です。