【おすすめ本91】『チャレンジング・トム』トム・ホーバス 日本女子バスケ元監督
『チャレンジング・トム 日本女子バスケを東京五輪銀メダルに導いた魔法の言葉』
トム・ホーバス
2022年2月 株式会社ワニブックス発行
仕事でなかなか見られなかった(というか見る余裕がなかった)東京五輪。
それでも、心に残ったのが日本女子バスケ。
フィジカルで叶わなそうに見える日本女子バスケが次々勝つのが、
素人ながらも見ていて、ワクワクするような経験だった。
なんだか、可能性と未来を感じたチーム。
そのヘッドコーチの本が出ていたので読んでみた。
この本をおすすめしたい人
- 東京五輪で日本女子バスケにワクワクした人
- 自分も何かチャレンジしたい人
- 自分にかけている言葉がネガティブな人
- 日本女子バスケを見てヘッドコーチ、トム・ホーバスに興味を持った人
作者紹介
トム・ホーバス
1967年1月31日生まれ。
5歳のときにバスケットボールを始める。
ワイドフィールド・はい・スクール、ペンシルベニア州立大学卒業。
大学卒業後、ポルトガルリーグのスポルディングを経て、1990年に日本リーグのトヨタ自動車ペイサーズ(現:アルバルク東京)に入団。5度の得点王や、2年連続の3ポイント王を獲得。その後、日本リーグに復帰し、2000年に引退。
以後、一般企業を経て、日本のバスケ界発展のために力を尽くす。
2017年には女子日本代表ヘッドコーチに就任。東京2020オリンピックバスケットボール女子日本代表ヘッドコーチとして、日本史上初のオリンピック銀メダル獲得に導いた。現在は男子日本代表ヘッドコーチとして活躍。
『チャレンジング・トム』より引用
この本のおすすめポイント
- 日本女子バスケがなぜ銀メダルを取れたかが理解できる
- 日本女子バスケがオリンピックで結果を出すまでの経過を知れる
- 指導者としてのポイントが参考になる
- 自分もチャレンジしていこうという気になる
心に残った点・役に立った点
「生きていればチャンスはある」
この言葉は、ポジティブな発想というよりも、トムさん自信の経験から来る信念だそうだ。
さまざまな状況をよく見て、何をすることが最善なのかを考える。それにアジャストしていく。これは人生においても同じことが言えるのではないでしょうか。自分を捨てるのではありません。自分の心を自分の中に置きつつアジャストしていく。それが変化していく情勢の中で生き残る道だと思います。
生きていればチャンスはあります。
第2章 日本女子バスケを世界一美しく、強く、面白くした魔法の言葉①より引用
逆境などヘッドダウンしがちなときでも、前向きな答えが必要。
状況に応じて、アジャストできる答えを考え出すしかない。
これが、東京2020オリンピックでの結果につながった一因とのこと。
バスケの試合だとしても人生につながるヒントがたくさん。
限界を自分で決めない
トムさんは、5歳のときにバスケットに出会い、NBA選手になる夢を思い描いたそうだが、「無理だよ。他にはないの?プランBは?」と言われたそうだ。
大学生の時にコーチから「トムはこれと、これができるだろう?やりなさい」と言われたときも、「無理だ」と思ったそうだ。
自分で自分の限界を作っていた。
でも実際にやってみると「あれ、できるじゃないか」「ああ、できたぞ」ということが重なっていったそうだ。
その経験から、コーチになってから選手の「無理」が実は本当の無理ではなく、単に自分で自分の限界を決めているだけと見えてきた。
徐々に、トムさんのほうが選手たちの「天井」、つまり限界が見えるようになってきた。
「私にはあなたの天井が見えるんです。今のあなたのプレーはその天井に全然近くないです。どうして私はあなた自信よりあなたのことを信じているの?」
と、トムさんはよく選手に行っていたそうだ。
これは、言われた選手はハッとするだろうし、
頑張ろうと思うだろうし、自分を信じる気になるだろうなぁ。
こんな風に言われたら、
選手として前向きな気持になるだろう。
私が部活をしている時にこんな風に言われていたら、とふと考えた。
きっとすごく嬉しいだろうなぁ。
自分で自分のことを信じるのは、たいていとても難しいものだから。
これは、仕事の場面で上司に言われたとしても、
あとひと頑張りできる言葉かもしれない。
スポーツのコーチと仕事の上司の有能さは共通点がたくさんあるのだとわかった。
やはりどちらも、どう人を活かすか。
そういう意味でも、この本は勉強になった。
そして、自分を振り返ってみると、
本当に自分で限界を作っていることが多いことにも気がついた。
チームの雰囲気はリーダーで決まる
「チームの雰囲気はリーダーで決まる」
言われてみればそうだ。
だが、この点を意識しているリーダーは思ったよりも少ないかもしれない。
トムさんはチームはファミリーだという。
そして、家族といえども、人にはそれぞれの性格があり、
リーダーシップも人それのスタイルがある。
リーダーシップを発揮しようとする人は「父親」の考え方に触れて、少しずつそれを理解していく必要がある。
その一方で自分のスタイルを見失うことなく、兄弟姉妹をまとめていけば、その家族はより強い絆で結ばれるのではないでしょうか?と。
東京2020オリンピックのバスケットボール女子日本代表は素晴らしいファミリーでしたし、「長女」の高田を筆頭に自慢の娘達でした。
第4章 日本女子バスケを世界一美しく、強く、面白くした魔法の言葉②より引用
トムさんは、みんなの前で誰かを注意するとき、注意した選手のリアクションを見ることはもちろん、周りの選手たちの反応も見るそうだ。
この辺に、ファミリーを作り上げていく秘訣がありそうだ。
こういう細かい部分が、選手たちを一つのファミリーにしていったんだと感じた。
その後、トム・ホーバスさんは日本代表の男子バスケットチームのコーチになられたそうだ。
八村塁選手などNBAでプレーする選手が出てきた日本男子バスケット。
今後のトムさんのあたらしいチャレンジに期待。
これからのバスケットボール男子日本代表の新しい冒険が始まります!
とてもワクワクします。
おすすめ本です。