『ルックバック』
ジャンプ+ 史上最多閲覧 読み切り作品
実家に行った時、
弟が差し出してきたのがこのマンガ。
貸すから読んでみてということ。
チェンソーマンの名前は知っているが、この作者の作品は読んだことが無かった。
パラパラと中身をみたら、
これは読んで悲しい思いをするかも、とすぐには読めなかった。
で、すぐ読んだ主人は、
「(義理の)弟は、京アニの事件の事、心に残っているんだねー。」
と言った。
そう言えば、私の弟は京アニが好きだ。
(日常系のものが好きなんだそうだ)
私は『聲の形』しか見たことがないが、この映画は大好き。
(でも個人的には結末とか過程とかを考えるとマンガの方が好きでおすすめだけど)
弟は絵を書くのが好きでインスタなどに載せていたりするので、
京アニの事というよりも
創造すること、描くことについての共感を強く感じて私におすすめしたのかなぁと今は思う。
この本をおすすめしたい人
- マンガ、絵、イラスト、デザインなど何らかの創作活動をしている人
- 心に残るマンガを読みたい人
- 今中学生や高校生の真っ只中の人
- ひきこもりの人
- 喪失感を感じている人
この本のおすすめポイント
- 心に何か残る(何かの内容は人それぞれだと思う)
- 描くということ、何かを創るという事の熱量を感じる
- 自分の中にある、気が付かなかった小さなエゴや喪失感が浮上したりするのでそれを感じることができた(私は)
心に残った点・役に立った点
引っかき傷
最初は、このマンガの絵にウェットなものを感じてちょっと怯んだ。
悲しい思いはしたくない。
だから、子供の頃から悲しいアニメなどは嫌いだった。
『フランダースの犬』とかね。
(何故か小説などは平気)
このマンガは弟から手渡されたので、返す前に読まなくちゃとギリギリになって読んだ。
そしたら、
すごく心に残った。
今でも何だか考えてしまう。
でもいいのだ。
本やマンガや映画には、何か心に残るものを期待する。
それが、心に引っかき傷を残すものでも。
後に何も残らないものも多いから。
そしてこのマンガは私の心のなかに、しっかりと引っかき傷を残してくれた。
しばらくは残りそう。
こんな私の心に消えないものを残してくれる作品が好きだ。
ルックバック
マンガのタイトルは、最初に表紙を見た時は、
漫画を書いている後ろ姿の事なんだなぁと思った。
だが、最後まで読んでみると、
いくつかの意味が込められていることがわかる。
(読んだ後に「そっかー、そっかー。」と思う)
そういや、むかーし読んだ森瑤子のエッセイに、
小説家になりたかったお父様が(小説の賞の佳作だかには入ったことがあるような事を書かれていたが失念)、小説を書いている後ろ姿に壮絶なものを感じたことを書いていた。
その時に、創作する事は内側をえぐるような事で、
孤独な事なんだという事を感じた。
このマンガの表紙の後ろ姿は小学生の主人公。
マンガの中にも、後ろ姿が嫌というほど描かれている。
それで季節がすぎたのとかがわかったりもする。
このマンガに出てくる2人は、
マンガや絵を描くことがもはや好きなことを超えて、自分になっている。
描くことが自分という感じで同化している。
それほどの事に出会えるなんて、
私のようにその時々で流されてきたものはうらやましくもある。
もくもくとした後ろ姿にエネルギーを感じる。
何という熱量。
お互いがお互いの後ろ姿をみながら歩んできたのだなぁとも思う。
可愛そうだと思う。
喪失感も感じる。
だが、可愛そう、悲しい、そんな気持ちの中に、
温かいものも心に流れる(それが何かはわからない)
96ページから123ページまでの内容は、
最初に読んだ時は悲しさしか感じなかったが、
2回目からは「そうかー」と束の間ふわっとした気分にもなった。
1回目に読むときと、
2回めに読む時では感じ方が違う人もいるかもしれない。
(だんだん色んな事を感じられるようになるというか)
このマンガは、
小説でも、映画でも表現できない内容ではないかと思う。
マンガでこそ表現できたものだと思う。
だから、これがマンガで良かった!
おすすめです!
10月23日追記
この本を貸してくれた弟と、
この本の内容についてLINEでやりとりした。
私が、京アニとこの本の事などを問いかけたあとの、
その中の弟の一文。
(ネタバレ含むので、ここから先は読んだ人だけ)
「頑張ってきた人が頑張ってない人に殺されるのが辛いと思った。
京アニの事件と全く一緒」