辛い時にはいつも本があった

辛い時にはいつも本があった

辛い時、苦しい時、悲しい時に書店に行くといつもその時の気持ちにぴったりの本との出会いがありました。

【おすすめ本45】京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男 花房観音

『京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男』

花房観音 西日本出版社 2020年7月発行

 

子供の頃から血が嫌いで、テレビの時代劇も殺陣のシーンが見られないほどだった(特に座頭市は苦手だった)

ミステリーも、人が死ぬシーンが嫌で読めないほどだった。

だが突如10代の後半からミステリーを読むようになった。

 

それが、この本で書かれている山村美紗氏。

 

ミステリーは常々読んでみたいと思っていたが抵抗があったので、”まずは”という感じで山村美紗氏のミステリーを試しに読んでみたのだった。

 

女性が主人公のものが多く、その女性たちが華やかでちゃんとおしゃれをして美味しいものを食べて恋人は社会的に地位の高い人が多く。

10代だった私はそういう”大人の女性”に憧れた部分があったのも大きい。

でも、いつも犯人が毒死するのがワンパターンに思えたが、刑務所に入るよりは死をという美学かなぁなんてその頃は思っていた。

 

この本をおすすめしたい人

  • 山村美紗氏のファンの方
  • 西村京太郎氏のファンの方
  • 山村美紗氏と西村京太郎の関係が気になっていた人
  • 山村美紗氏の事がもっと知りたい人
  • 作者花房観音さんの本をよく読まれている人

 

作者紹介

花房観音(はなふさ かんのん)

 

1971(昭和46)年、兵庫県富岡市生まれ。

京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『紅色入道』『偽りの森』『花びらめくり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』など多数。現在も京都でバスガイドを務める。

 

『京都に女王と呼ばれた作家がいた』より引用

 

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この本のおすすめポイント

  • この本を書いたのが花房観音さんなので、女性作家目線で書かれているところが共感できる部分が沢山ある
  • 山村美紗氏と夫、西村京太郎氏との関係が書かれていてとても興味深い
  • 出版社のタブー(西村京太郎氏がまだ作家活動しているので触れられない部分が多く山村美紗氏との関係は業界では触れてはいけない事)を破って書かれた本なので、今まで表に出ていない部分が沢山書かれている
  • 山村美紗氏の苦悩や苦労が書かれていて、著作で知ることができない部分を知ることができる
  • 作家の業のようなものを感じ入る事ができる

 

 

 

 

心に残った点・役に立った点

 

夫は妻の肖像画を描き始める

この本を手にとってまず驚くのが、

表紙をめくって目に飛び込んでくる表紙カバーにある

山村美紗氏を描いた絵。

 

これは山村美紗氏の夫、山村巍(たかし)氏が描いたもの。

この絵にまずちょっと度肝を抜かれる。

 

毎日、明け方の夢に亡くなった妻が現れ、「私の絵を描いて」と。

そして、夫は妻の肖像画を描き始めた。

 

西村京太郎氏と夫。

二人の男性にこんなに執着を残す山村美紗という女性という生き方にここで興味を惹かれる人も多いだろう。

 

西村京太郎氏との関係

まだ売れていない時代の西村京太郎氏に届いた京都からのファンレター。

「西村さんの本を買って読みました。素敵な内容でした。これからも、がんばってください。」という簡単なもの。

 

このファンレターだけで、

西村京太郎氏はいてもたってもいられず、京都まで会いに行ってしまう。

どうやら「学校の夏休みには、レンタカーを借りて北海道を一周して来ました」と追伸にあったので、女子大生だと思い込み、字が綺麗だから美人に違いないと心を弾ませたようなのだ。

 

昔は今のようにメールなどもない時代。

だから、手紙というものはロマンチックな要素もたくさんあったのかもしれない。

でも、この行動は女性にとっては戸惑うだろう。今だったらちょっと怖いと思われるかもしれない。

 

この頃、山村美紗氏は31歳か32歳の人妻。

のちにパーティーなどで顔を合わす機会なども増えたようで、西村京太郎氏はいっきにプロポーズまでする。

パーティで振り袖を着ているから独身だと思っていたとの事。

人妻だともっと早く言ってくれないのかと追求する西村京太郎氏に山村美紗氏は「そういうのは察するものでしょ。」とかわされてしまうが、人妻と知っても想いが続いたようだ。

 

「そういうのは察するものでしょ」という言葉は、さすがだなぁと思った。

男性はこのやりとりをひどいと思うかもしれないが、女性はなんとなくわかる部分があるのではと思う。

(こういう部分は男性の方が純情で思い込みがあるのかもしれないなぁと。女性はもっと感じや感覚で察する鋭さがあるし)

 

戦死、ふたりの男という章。

1996年(平成10)12月の『婦人公論』で西村京太郎氏は、

既婚者だった彼女とずっとつき合っていたのは、この状態がいちばんいいと思っていたからです。話したいときは話せるし、喧嘩をしたら会わなければいい。作家同士だから、出版社や編集者との打ち合わせも一緒にできる。(中略)

僕は娘さんの紅葉ちゃんや真冬ちゃんとも仲良しで、ある意味では家族公認のような仲でしたが、それだけに辛いこともありました。入学式のときは家族だけで出かけてしまうでしょ。娘さんたちの結婚式のときも、僕は来賓席に座るわけです。彼女は『それが普通なのよ』という態度だったから、『おかしいなぁ男のほうが日陰の身とはどういうわけか』と思ってね(笑)

(中略)露骨に言えば、男と女の関係があったときには、あの人の弱さには気づきませんでした。彼女も見せなかった。

(以下略)

こう答えている。

 

この部分を読んである意味のけぞってしまった。

「亡くなった後、こんな事言うなよ~!」

と思ったからだ。

 

”日陰の身”と自分の事をいうなら、

男と女の関係だったことは墓場までもっていけばいいのに、娘たちとも仲が良かったというならなおさらだ、と思う。

娘たちの結婚式で西村京太郎氏が親族席ではなく、来賓席に座るのも本人はそう思っていなくても傍から見たら当然のことに思うし。

 

そして西村京太郎氏は、山村美紗氏が亡くなって二年半後に週刊朝日で、山村美紗氏と自分の関係をモデルにした『女流作家』を連載し始める。

 

ちなみに、この本を夫・巍氏は読んでいないそうだ。

 

そういえば、私が山村美紗氏の本をよく読んでいた時に、

とうに西村京太郎氏の小説のファンだった父から、

山村美紗氏と西村京太郎氏の関係を聞いたときは、びっくり。

 

なんだかその時は10代だったから生々しく感じたけど、作家なんだから別に普通の常識の中で生きなくても良いという風にも思っていたので、ある意味とても作家らしいと感じたのを思い出す。

 

女王・山村美紗

山村美紗氏は西村京太郎氏に常々、

「可愛い女と呼ばれたい」と言っていたそうだ。

 

可愛い女になりたいと願っていたと。

 

これにはちょっと驚いた。

あれだけの仕事量、出版社のおえらいさんや編集者を傅かせていた(ホテルで開催されるパーティーでは、一段高くなった上座に座り一社ずつ代表者が挨拶、その際には「今度の表紙は何!」と激昂する場面もあったという)のに、”可愛い女になりたい”。

 

 

パーティーは「山村美紗・西村京太郎先生」と必ず山村美紗氏の名前が先。

雑誌の表紙では、他のミステリー作家の名前と同列に扱うことも、

タイトルが入っていないことも許さなかったそうだ。

文芸誌に書く時は、特別扱いが鉄則。

編集者だけでなく、出版社の役員たちもひれ伏す「女王」

 

だが、激昂した後に編集者に

「本心で怒っているわけじゃないからね。これは京都のやり方よ」と優しく声をかける(彼女は京都のやり方と言っているが、私は京都の人ではないからよくわからないが、そうなんだろうか)

そして、年賀状はすべて手書き、祇園でもてなし、相手を喜ばせようとする。

 

京都の人間は裏表があるとはよく言われるが、美紗にはそういうところはなかった。だからストレートに怒り、笑い、泣く。感情が豊かな人だった。

 

『京都に女王と呼ばれた作家がいた』 第五章 京都組 より引用

 

「この世界は宣伝よ」と言っていたそうだが、それを十分感じる逸話も沢山載っていた。

 

夫は彼女のことを、

「フェアリー的な存在でした。佇まい、しぐさみ、他の女性とは違う。かよわい感じで、男性の征服欲を刺激する。男の人には好かれますね。真面目でいじらしく思えました。」

と、言っている。

 

女王ぜんとした山村美紗氏は、一方で男性には儚いフェアリーのように見えた。

 

このあたりが”可愛い女と呼ばれたい”という彼女の思いをあわせて考えると、そのアンビバレントな部分がとても魅力的な女性だった事がわかる。

 

 

 

影に徹した夫・山村巍氏

 

 この本の貴重な部分は、

今まで影に徹してきた夫・山村巍氏に作者がインタビューした内容が載っているところでもある。

 

再婚した今の妻、祥さんとの出会いのことも書いてあった。

 

今は、山村美紗氏の肖像画は描いていないそうだ。

妻の祥さんとともに、猫の絵を中心に描いているそうだ。

 

作家である西村京太郎氏の山村美紗氏の死の受け止め方と表現の仕方、

影に徹してきた夫の死の受け止め方と表現の仕方、

それぞれ小説と絵と違うが、どちらも山村美紗氏に対する強い想いが感じられる。

 

そして、二人共再婚して、どこかふっきれたように見えるのも共通している。

 

作者・花房観音さんの覚悟と恐怖

西村京太郎氏が今でも多くの出版社から本を出版し、作品がドラマ化されていることから、山村美紗氏の事を書くのは今でもタブーなのだそうだ。

 

西村京太郎氏が書くのはオーケーでも、他の人がそのことに触れることはできないということ。

 

この本を出すことは、作者 花房観音さんが作家であり、出版社から本を出版しているからなおさら難しい事だったようだ。

 

「書きたい」という気持ちと葛藤。

 

その彼女が、作家の友人が沢山のプロットを残しながらも50代の若さで酒でなくなることをきっかけに、紙の本が売れないこと、紙の本は終わりだと言われるが、多くの人たちの共同作業で生まれる紙の本の世界が好きで執着があること、未来が見えない自分にこのままでいいのだろうかという葛藤、書きたいものを書けずに死んでしまいたくないと強く思い、西日本出版社から本を出すことになった経緯が描いてある。

 

 

 

山村美紗氏が亡くなったのは、出版物がピークである年。

つまり本が一番売れていた年。

 

今は紙の本が売れない。

 

その辺りのことを読むと、山村美紗氏は本当にいい時期に書いていたんだなぁとも思う。

 

ほんの売れ行きは、昔と今では全く違うが、

いつの時代も作家というものはそれぞれの業のようなものをかかえているんだなぁということも、この本を読むと作者を通して感じる。

 

西村京太郎氏が現役で活躍している間は、

山村美紗氏に触れることは許されないことだそうだ。

作者は、書き始めて恐怖や後悔で眠れなくなったりしている。

 

この本は、作者花房観音さんの作家としての生き方を記している本でもあるのだ。

 

 

 この本を読むと、

実際に山村美紗氏の本を読んでいた時には感じられなかった彼女の一面を知ることができるが、それでがっかりしたり幻滅したりすることはまったくなかった。

 

それどころか、やはり作家になりたくてなりたくてなった方だからこその、作家らしい業を感じる。

いいとか悪いとかそういう問題ではないのだ。

山村美紗という生き方だったのだ、と。

 

久しぶりに、彼女の本を読みたくなった。

 

おすすめしたい本です!

【おすすめ本44】こんなに簡単!鈴木亮平の中学英語で世界一周!スティーブ・ソレイシィ an・an連載

 『こんなに簡単!鈴木亮平の中学英語で世界一周!』

鈴木亮平 スティーブ・ソレイシィ

マガジンハウス 2018年4月発行

 

NHKラジオ第2でやっている、

英会話タイムトライアル”という10分間の英会話番組が好きで、

番組が始まったばかりの頃から聴いていた。

 

その番組の講師がこちらの本のスティーブ・ソレイシィ氏。

 

ということで、スティーブ・ソレイシィ氏のファンの私は早速こちらもトライ。

 

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この本をおすすめしたい人

  • 海外旅行が好きで旅行先で簡単な会話を楽しみたい人
  • 気遣いある会話を英会話でもしたい人
  • 基本的な中学英語で英会話ができる事に興味がある人

 

作者紹介

鈴木亮平(Ryouhei Suzuki)

 

1983年3月29日生まれ。兵庫県出身。東京外国語大学卒。

2006年俳優デビュー。2014年、連続テレビ小説花子とアン』でヒロインの夫役を演じ注目を集める。これまでの出演作は、映画『俺物語!!』『海賊と呼ばれた男』『忍びの国』、ドラマ『天皇の料理番』『銭形警部』『宮沢賢治の食卓』、舞台『ライ王のテラス』『トロイ戦争は起こらない』など。2018年のNHK大河ドラマ西郷どん』では、主人公の西郷隆盛を演じている。

 

ティーブ・ソレイシィ(Steve Soresi)

 

英会話コーチ、英語教育研究機関「ソレイシィ研究所」代表。アメリカ、ワシントンD.C生まれ。アメリカン大学、早稲田大学大学院(修士)、青山学院大学大学院(博士)卒。1990年にAETとして初来日して以来、おもにスピーキングを中心とした英語教育に携わる。2012年よりNHKラジオ『英会話タイムトライアル』メイン講師を務める。『英会話なるほどフレーズ100』(アルク)、『難しいことはわかりませんが、英語が話せる方法を教えてください』(文響社)など著者多数。

 

鈴木亮平の中学英語で世界一周!』より引用

 

 

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • 鈴木亮平さんとスティーブ・ソレイシィさんの会話が載っているので、楽しく学べる
  • 実際の体験や、こういうシチュエーションの時はこうしたらいいよ的なアドバイスも載っている
  • 中学英語をベースにしているので、すでに持っている知識で英会話ができる
  • ティーブ・ソレイシィさんが、日本人がしたい英会話を教えてくれている(ちゃんとした受け答えがしたい、気遣いのある会話がしたいなど)
  • つい言いがちな表現を言い換えた表現が載っているので、なるほどと思う点が多い

 

 

 

 

心に残った点・役に立った点

 

楽しく読める

 

とにかく、楽しく読める本。

鈴木亮平さんは、留学経験もありそれなりに英語は話せる方とのことで、

海外での体験なども語られており、参考になる。

 

ひとつのチャプターが見開きページに収まっているので、

一日ひとつとか決めて読みすすめることもできそう。

 

イラストにプラスした鈴木亮平さんの写真も入っていて、

親しみを感じながら読むこともできる。

 

 

 

 

丁寧に失礼が無いように話したい

 

ティーブ・ソレイシィさんは、

日本人が「こんな英会話がしたい」という点をとても汲んでくれているので、そうそう!そういう風に話したいんだよね!と嬉しくなる。

 

旅先でも丁寧な印象で高感度を上げることは本当に大事。”sir”"ma'm"というひと事をつけるだけで、いろいろスムーズになるはずです。

 

鈴木亮平の中学英語で世界一周!』より引用

 

ソフトに断る表現だと日本人でも言いやすいよね。あとは"Thanks,anyway(せっかくですが、結構です)というのも、断るときにおすすめ。

 

 『鈴木亮平の中学英語で世界一周!』より引用

 

こんな風に、丁寧に感じよく話すヒントがところどころにあって、なるほど!となる。

 

海外の人はフレンドリーな人も多いが、アメリカ人はフレンドリー=感じが良い、日本人は丁寧=感じが良いという違いをよく知っており、その上で英会話のアドバイスをしてくれている。

 

やっぱり、日本人って英会話でも相手に失礼がないように話したい人が多いと思う。だから間違うのが怖くてよけい話せないというか。

そのあたりを氷解させてくれる本でも有ると思う。

 

 

国際化する今、避けたい表現、使いたい表現

この本の中でとても良い!と思ったのは、

ソレイシィの考える、おすすめ表現

①国際化する今、避けたい表現、使いたい表現

というコラム。

 

これは相手に対して思いやりのある表現を使えれば、英語を話すことへの抵抗が少なくなるかもしれないということで、自分らしい英語を話すためにソレイシィさんが紹介している表現についてのページ。

 

”foreigner”"foreign"という言葉は「よそ者」「異質なもの」を意味するし、日本在住の外国人にとっては嬉しくない言葉なのだそうだ。

 

学校で習った単語だけど、相手を思いやる事、

国際化した今の感覚をちゃんと身につけることも大事だし、

それによって相手との英会話、コミュニケーションもうまくいくということなんだろうなぁととても勉強になった。

 

このあたりの言葉の感覚は、日本語では当然のように気遣いをしていると思っても英語だとなかなか知らない部分も多いので、とてもありがたいページだった。

 

考えてみれば、日本で会う外国人の方は必ずしも旅行者ではなくて、

日本に住んで長い方もいるのに、そういう人にたいしても「どこの国から日本に来たの?」と聞くことはあまり良くないと聞くが本当にそうだと思う。

 

日本人かどうかで線引するような言葉は、やはり気持ちが良くないということで、こちらも気をつけていこうと思った。

 

英会話の事も勉強になったが、

こういった思いやり有る英会話の部分がとても役に立った。

その辺りを身につけられると、話した相手も喜んで会話してくれるし、

楽しいコミュニケーションができるので、この本はとてもおすすめ!

 

 

 


 

 

【おすすめ本43】『母を捨てるということ』 おおたわ史絵 ※大学病院勤務等を経てプリズンドクターへ

『母を捨てるということ』 おおたわ史絵 朝日新聞出版 2020年9月発行

 

この本の作者、おおたわ史絵さんはTVで拝見して存じ上げていた。

 

そのTV番組では、歯医者である夫がゴミ出しやらなにやらまでして、

おおたわさんは犬の事ばかりしているという作りの番組だった。

 

テレビの制作側が、

「女医ってこうやって旦那のことを尻にしくんですよ~」

みたいな方向に持っていきたいのかなぁーと薄っすら感じるような作り。

 

おおたわさんは、とても表情豊かという感じの方ではないので、

余計にそういう印象を持ってしまう人もいるんだろうなぁと。

 

そんな方は、この本を是非読んでみてほしい。

 

この本の大体の内容は知っていて読んだが、それでも衝撃を受けたし、

母という存在について共感する部分も多く、依存症という事に対して考えることも多かったとともに、おおたわさんの志も感じて本当に読んで良かったと思った本なので。

 

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この本をおすすめしたい人

  • 依存症の事をもっと深く知り理解したい人
  • 母との関係に葛藤を抱えている人、抱えていた人
  • 親の事をもう一度考えてみたい人
  • 自分のアイディンティティを親を通して考えてみたい人
  • 処方箋薬の依存症についてもっと知りたい人

 

作者紹介

おおたわ史絵(おおたわ・ふみえ)

 

総合内科専門医。

法務省矯正局医師。

東京女子医科大学卒業。大学病院、救命救急センター、地域開業医を経て現職。刑務所受刑者の診療に携わる、数少ない日本のプリズンドクターである。

ラジオ、テレビ、雑誌など各メディアでも活躍中。

 

『母を捨てるということ』より引用

 

 

 

 

心に残った点・役に立った点

 

鎮痛剤の依存症

 

読み始めたらページをめくる手が止まらなかった。

 

ヘビーな内容なので、思い出すと辛かった部分もあっただろうに、とても抑制が効いており、冷静に書かれている。

おおたわさんは、素晴らしく頭の良い方なんだなぁと。

 

読んでいてこちらまで辛くなる部分もあったが、

それでも休憩すらせずに読みすすめることができたのは、文章も知的で簡潔で、女性として母との関係・葛藤に共感を感じる部分があったからだ。

 

依存症の知識が乏しい人にもわかりやすい本となっている。

 

依存症というとアルコールや買い物、覚醒剤などを思い浮かべる方が多いだろうけど、この本に出てくるのは、オピオイドという鎮痛薬の依存症。

 

麻薬によく似た化合物なので鎮痛効果が高く、そのぶん習慣性も強い。

ナースやドクターの中にもこっそり自分で打つ人もいるそうで、だから厳しく管理されている薬品。

 

よく海外ドラマなどを観る人は、

戦争や紛争地から帰ってきたアメリカ兵が怪我をきっかけに、

鎮痛剤の依存症になっているという場面を見たことがあるかもしれない。

 

でもこれは、海外のテレビドラマの中ではなく、

実際に身近なところでも起きているかもしれない依存症の話なのだ。

 

 

代理ミュンヒハウゼン症候群

おおたわさんが小学生だった時、

お母さんがミルクセーキを作ってくれた。

彼女の家では家政婦さんがいて、お母さんが家事をすることが殆どなかったため、そのミルクセーキはとても美味しく感じられたとの事だが、なんとそこに下剤が入っていたそうなのだ。

 

ミュンヒハウゼン症候群詐病の事だそうだ。要するに仮病の事。

だが、お腹が痛いと嘘を付くレベルではなく、

自分の尿に自分の指先を切って出した血を混ぜ、血尿が出たと大騒ぎしたりする一種の精神的な病なのだそうだ。

 

そして、ミルクセーキに下剤を入れた母は、どうやら代理ミュンヒハウゼン症候群

 

自分ではなく、代理となる誰かを病気に仕立てあげ(自分の子供や幼く抵抗しない無力な存在が対象になることが多い)、心配したりして病院に連れて行って看病したりするのが代理ミュンヒハウゼン症候群との事。

 

こういう母は、そういえばアメリカのドラマなどにもごくたまに出てきたりすることがあるなぁと思い当たった。

 

 翌日、当然ながらわたしはトイレにこもりっきりになるほど下痢をした。お腹を押さえて痛みに唸る幼いわたしを見ても、母はなにひとつ心配するでもなかった。

 ただ腹痛の合間に視野をよぎった母の顔は、一瞬だがちょっとだけ口元を歪めて、うっすら笑っていた気がした。

 

『母を捨てるということ』 代理ミュンヒハウゼン症候群 より引用

 

理解し難い精神の疾患だが、原因はわからないし劇的に完治するというものでもないそうだ。

 

大人になって、そういった知識を得ると多少は理解できるかもしれないが、

子供には理解の外なはずだ。

傷つき、辛かっただろうことを思うと胸が痛む。

 

 

 

自傷行為と優しい手

自傷行為と優しい手」という章に、子供の自傷行為について書かれている。

 

爪噛み、チック、抜毛症(はつもうしょう=トリコチロマニア)。

これが学童期の子供に見られやすい自傷行為だそうだ。

精神的な要因と発達期の不安定性の関与が大きいとの事。

 

この部分を読んで驚いた。

私も小学生から中学卒業するあたりまで、爪噛みがあったから。

そして爪を噛んでいると、よく母に怒られた。

今考えると、母との関係が原因の癖を母に怒られていたわけだ。

 

私の両親は、体裁をとても気にする人で同時にとても支配的だった。

特に母の事は大人になってもずっと苦しんだが、

爪噛みは、高校に入る頃に自然とやらなくなっていた。

 

爪を噛む癖がある子供は、周りに結構いたので全然気にしていなかったが、

みんなただの癖だという位の認識で、自傷行為だとは思っていなかった。

 

ということは、子供の悩みや問題は見過ごされていることが多いということでもある。

 

外国では、爪を噛む癖を治すために爪に塗るものもあったりするので(爪を噛むと嫌な味がするので爪を噛まなくなるという商品)、爪噛みという自傷行為はとても多いのかもしれない。

 

 

イネイブラー

 

イネイブラーとは支え手の事だそうだ。

アルコール依存症の夫のお酒を買いに行ったり、夫が二日酔いで会社に行けない時に会社に電話を入れたりするのもイネイブリングだそうだ。

はたらか見ると被害者でもあるが、支え手になっているのも事実ということ。

それが優しさや愛情からでも。

 

そして、家族など周りが依存症の家族にお酒を飲まないでなど反対しても、それがストレスとなって依存が悪化するものなのだそうである。

 

こうした事は今まで、精神論(根性でやめられるというような)ばかりで語られてきた依存症にも、きちんとした知識が必要という事をわからせてくれる。

 

良かれと思ってやっていることが逆効果だなんて、皮肉なことではあるが。

 

 

依存症はセルフメディケーションという事

 

おおたわさんのお父さんとお母さんがどうなった等は、

ここで書くよりも実際に読んでいただいた方が良いかと思う。

 

 

なぜならこの本の主題は、そこでは無いように感じたから。

 

辛く悲しく、そして後悔することもあっただろう事を客観的な視点をもって書かれているところに、おおたわさんの伝えたいという意思を感じた。

 

本書に出てくる、日本の依存症治療の中心を担っているという松本先生は、以前高知東生さんが薬物依存から立ち直った時の治療にあたった方として存じ上げていたので、ここでも名前が出てきてなるほどと思った。

 

松本医師から言われた、依存症は病気と事を高知東生さんは最初はなかなか受け入れ難かったという事をおっしゃられていた。

自分はそんな病気じゃないと思いたいという抵抗感があったとのこと。

でも病気と自分で認識する事で治療が効果的にすすんでいったようなのだった。

 

松本医師がおっしゃる、

”依存症はセルフメディケーションである”

という考え方になるほどと思った。

 

これは「依存症は脳が刺激を欲しがるからだ、快楽に溺れてしまうからだ」という考え方に一石を投じる考え方だと思う。

 

「気持ちがよくなるから使うんじゃない。つらさや苦しさを軽くするために仕方なく使うんだ」と依存症患者はいうのだそうだ。

 

これは、言われてみればとてもわかる。

私も過去に食べることに依存した事があるからだ。

過食症は拒食症の女性は母との関係に葛藤がある人が多いということも読んだことがあり、本当にそうだなーと自分でも思っていたけどなかなかやめられなかった)

 

依存症はセルフメディケーション

 

だから、依存性物質を無理やり奪い取るのではなく、頼る必要をなくしていくこと。

 

ここを知るのと知らないのでは、まったく違うような気がする。

 

依存症は、精神論で語られてきた部分も多いので、

きちんとした知識と治療を行うことに抵抗を持つ人もまだまだ多いかもしれない。

 

だが、家族もとても苦しむのだ。

 

この本の最後の方には、八方塞がりを感じている依存症家族のために書籍などが紹介されている。

 

まず、依存症の治療は家族からとも書かれている。

 

依存症の方を抱えている家族の方はこの本は大きな助けになるかもしれない。

 

 

終わりのない旅

医師として、依存症家族として、

できるだけヒントとなるようなことを書いたとおっしゃるこの本は、

依存症と向き合う人・家族に前に進む勇気をくれる本だと思う。

 

そして、依存症とは関係なくても、

母との関係に苦しんだ女性にとっても何かしら感じるものがあるかもしれない。

 

読みながら、とても胸が痛むシーンがたくさんあり、

私の中の、”傷ついた昔の私”が、

心の奥にしまったところからまた顔を出すような気がした部分もあった。

 

でも、おおたわさんが刑務所の受刑者や医療少年院の診療にあたるようになったことを考えると、辛かったであろうおおたわさんのこれまでの事が、彼女の聡明さと経験と意思よってしっかりと一本の道を作っているような気がしてとても感動してしまった。

 

矯正施設で「笑い」も教えているとのこと。

 

この本を読んだことにより、

おおたわ史絵さんという生き方を知り、ほんとうに良かったと思っている。

 

機会があれば、この本の続編のようなものを出していただけたらと思っている人は私だけではないだろう。

 

心より応援しています。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

【おすすめ本42】『仕事の魔法 営業の次はこの魔法』 中村信仁 ※ラジオパーソナリティもされてます

ついに極意を明かす!営業の次はこの魔法『仕事の魔法』

中村信仁 株式会社ビーコミュニケーションズ 2008年発行

 

この中村信仁さんと言う方を存じ上げなかったのだが、

ふとしたきっかけで彼の本を知り、ネットで検索してみたところ評判が良いので読んでみた本。

 

順番としては、先に出版された

『営業の魔法』を最初に読んだほうが良かったのかもしれないが

知らなかったので。

(個人的にはこちらが最初でも特に違和感は感じなかったが)

 



 

 

 

20210320204804

 

この本をおすすめしたい人

  • 挨拶、言葉、時間など、営業以前の心構えを学びたい人
  • 営業のしごとをしている人、これから新卒で営業の仕事をする人、営業の仕事をしたい人
  • 取引先の人と付き合う時の姿勢を学びたい人 

 

 

作者紹介

中村信仁(なかむら しんじ)

 

昭和41年2月16日生

 

高校卒業と同時に外資系フルコミッションの営業会社に入社。そこで初めて渡米。日本と海外を行ったり来たりする二重生活が続く。

世界142ヶ国に支店をもち200年以上の歴史を持つ外資系営業会社で、幾度もの挫折を経験しながらも、入社初年度から2年間連続世界トップ・テンに名を連ねたプロセールスマン。

退職後、東京にて大手書店とのコラボレーションによる英会話学校の立ち上げを任され関東有数の有名スクールに育て上げる。

その後22才で起業。現在、各社の営業戦略顧問や人材教育、人材育成、人材採用プランナーとして活躍中。

(以下略)

 

『仕事の魔法』より引用

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • 営業の仕事に対してポジティブに考えられる
  • 営業の仕事を通して、人間として成長できるという事を知ることができる
  • 営業以前の挨拶、人に対する姿勢などを学べる
  • ストーリー仕立てなので2時間ほどで読めてしまう

 

 

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心に残った点・役に立った店

 

この本は、小笠原という営業マンが主任になって、

水口という新入社員と同行しながら営業に大事なことをレクチャーするというスタイル。

 

時は大きく、それほどボリュームがあるわけではないので、

大体2時間くらいで読める。

 

 
人としての基本

 

最初は、

新入社員三原則

1.朝、必ず上司や先輩にすすんで挨拶をすること

2.上司や先輩(人)に呼ばれたら「ハイ」とハッキリ返事をすること

3.履物を脱いだら必ずそろえ、席を立つときは必ず椅子を入れること

などと、営業というより、人としての基本にあたる部分が熱く書かれていて

いささか拍子抜け。

 

でも、よくよく振り返って見るrと、

「ハイ」と返事はするが、いつも明るく明朗に返事をしていたわけではないなぁー、「ハイ」とは返事をするがちょっとテンション低めの「ハイ」だったりすることもあるなぁーと反省。

 

いつも同じように明朗に「ハイ!」と返事をしようと、今更ながら決意。

年をとってくると、こういう基本的なことがおざなりになるのだなぁと気がつくこともできた。

 

顧客ノート

「魔法その7 ~時間~」の章に出てくる営業ノート。

 

これは、ひとつの顧客に1冊のノートを作って、

どんな話をしたか、話題に上がった話、よその会社の情報(取引業者の名前や会社の社長の名前など)等をなんでも書いていくという手法。

びっくりするのは、誰がお茶を出してくれたかまで書くという点。

 

すると、時間が経っても鮮明に思い出せる、

どんな提案をしたらいいのかハッキリみえてくるという事だ。

 

これは良いかもしれないので、早速やってみよう!

(でも、ひとつの顧客に1冊のノートということで、10の顧客がいたら10のノートを使うことになる。これはちょっと不便ではないのだろうかという疑問も正直あるなぁ、やってみないとわからないけど)

 

即動力

提案にはすぐ返事をする。

 

やれるかやれないかではなく、まずやってみようとすることという事。

 

自分を振り返ってみると、

即答の部分では甘かったなぁと。

 

返事をするまでに、

「えっ!?」っと固まってしまい、即答では無くなることがある。

 

「やります!」とすぐ返事すればよかったなぁと後から思う事もある。

 

この点はすぐレスポンスするのを心がけようと思った。

 

夢を語るとか「えっ?今更これを言うの?」と思ってしまう部分もあったけど、

最後まで読んでみて、営業という仕事に今まで以上にワクワクしてきた部分もあった。

 

営業で自分を成長させるという点で書かれた本だからだろうか。

私は自分を成長させるということは、あまり考えてこなかったなぁということもわかった。

 

その点では、新しい視点を得た。

 

ただ、昔の体育会系の仕事の仕方の名残なのだろうか、

水口という新入社員の頭をたたいたりする場面が何回か出てきたのはちょっと違和感。

 

相手を尊重する人は、たとえ後輩でも叩いたりしないでちゃんと名前にさん付けする人が多いので(それが多少デキの悪い後輩であっても)、、、。

 

とはいえなかなか面白かったので、営業で自分を成長させたい方おすすめです。

 

※この本に興味を持った方は、最初に出た『営業の魔法』を先に読んだほうが良いかも

 

 


 

 

【おすすめ本41】『幸せをつかむ!時間の使い方』 和田裕美 ※営業手帳の使い方のヒント

『幸せをつかむ!時間の使い方』 和田裕美

ダイヤモンド社 2006年第2刷発行

 

今年の手帳を探しに書店に行った時に手にとって気に入ったのが、

この作者の営業手帳。

 

その手帳を使うようになって、和田裕美さんの著書を読むようになった。

 

この本を読めば、営業手帳のうまい使い方やタイムマネジメントの方法が載っているかもと思い読んでみた。

 

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この本をおすすめしたい人

  • エッセイ感覚で時間の使い方のヒントを読みたい人
  • 和田裕美さんのファン
  • 和田裕美さんの営業手帳を使っている人
  • 時間の使い方のノウハウというよりは、時間の使い方の気構えが知りた人

 

作者紹介

和田裕美(わだ・ひろみ)

 

京都府生まれ。英会話学校やアパレルメーカーの事務職をへて日本ブリタニカ株式会社に入社。営業で世界142支社中2位、年収3800万円の個人記録を達成、渋谷区の長者番付にも名を連ねる。

代理店制度廃止後、同社で正社員となり、後に最年少の営業部長に就任、全国の20支店、100名のスタッフの管理と教育にあたる。2001年6月に独立、株式会社ペリエを設立。大手から中小企業まであらゆる業界の営業マン育成、コンサルティングに携わり、実績を上げている。公演・セミナーともに、依頼者からのリピート率98%というインキを誇る。

(以下略)

 

『幸せをつかむ!時間の使い方』より引用

 

 

 

とくとくガスAPプランでアマゾンプライム永年無料+ギフト券4500円

 

 

この本のおすすめポイント

  • 和田裕美さんの営業手帳の使いかたのヒントが載っている
  • 不器用な人のためのタイムマネジメントというテーマで書かれているので、不器用な人にはヒントになるかも
  • エッセイのような感覚で軽く読める

 

 

 

 

心に残った点・役に立った点

 

この本は、効率的な時間の使い方というより、

”仕事時間が楽しくなれば人生も楽しくなる”ということを主題にした本かもしれない。

 

だから、時間の使い方のテクニックを学びたい人には向かない内容とも言える。

 

和田裕美さんが提唱している、

「陽転思考」をベースにした時間の使い方の本。

 

なので、

・気持ちの切り替えを早くする

・「どうしたらいい?」ではなく「どちらを選ぶ?」

・プライベートと仕事は分けて考えない

・「これになら時間を捧げられる:と思えるとき

といった内容が最初の方にテーマとして載っている。

 

具体的な方法は、

・早くできそうなことから手をつける

・優先順位を横に並べて考えない

・「聞かなくていい話」に時間をとられない

・嫌と言えなくて忙しい人にならない

・お金で時間を買う

など。

 

 

留守電にはメッセージを

 

個人的に役に立ったのは、

「留守電にはメッセージを入れよう」

ということ。

 

仕事で相手の携帯電話にかけたとき、

留守電に切り替わったときはメッセージを入れていなかった。

メッセージを残すより、ちゃんと伝えなきゃという思い込みがあったのだ。

それと、緊急の用事ではない場合は、留守電に入れないほうがいいかなという思い込みも。

 

これを読んで、

要件が明確で返事が欲しい場合は「いつまで」メッセージを残すと良いことがわかった。

「いつまで」をメッセージに残すと、相手が優先度を判断できるのだそうだ。

 

留守電に入れるのって、苦手な人も多いハズ(私もそうだ)

だが、ちゃんと「いつまで」返事がほしいと連絡するのは大事なんだと、改めて思った。(これはメールでもそうですよね)

 

 

いま、この時間の気持ち

 その未来が幸せになるか、不幸せになるかというのは、いま、この時間をどんな気持ちで過ごせているかがどうしても関係してしまうから、落ち込んでもできるだけ早く陽転思考して切り替えて、この瞬間、この瞬間に「わくわくボタン」を押し続けることができると、きっと未来も「わくわく」になっていて、この瞬間に「不安ボタン」を押すと、きっと未来も不安が来ると思うんです。

 時間はいまらか未来へとつながっているから。

 

『幸せをつかむ!時間の使い方』 

6章「大切な時間」を「大切な人」に使うために より引用

 

この部分を読んで、なるほどと思った。

「わくわくボタン」とかの表現は、正直に言って「?」と思ったが、

”いま、この時間を大事にすること”はやはり心しなければならないと思った。

 

私は、過去を悔やんでばかり、

未来に不安を感じてばかり。

 

そのことを反省することができた。

 

いま、この時の気持ちに気をつけていこうと思った。

 

 

手帳を使って時間管理

 

商談では必ずメモを取りながら話を聞く。

細かく書くとの事。

 

 

話を聞くポーズでメモを取るのではなく、本当に言われたことを記憶するために手帳にメモを取る。

これは、やはりやってみると後から役に立った。

 

週の前半で目標を設定するということも書いてあったが、

そちらはなかなか難しくて課題になっている。

 

営業手帳のヒントは書いてあるが、

正直数ページのみだった。

 

営業手帳の詳しい使い方を期待するとちょっと違うかもしれない。

 

 


 

【おすすめ本40】学びを結果に変えるアウトプット大全 樺沢紫苑 todoリストなど

『学びを結果に変える アウトプット大全』 樺沢紫苑 

サンクチュアリ出版 2018年発行

 

この本はとても売れたわけわけだが、

樺沢先生はyoutubeで5年くらい前からよく動画を見ていたので、

この本がよく売れているのを本屋で見ておーー!、なんて思っていた。

 

朝散歩なども(週末だけだけど)したりして一定の効果を感じているし、

樺沢先生の”メンタル疾患と自殺者を減らしたい”というビジョンを感じる動画などもあったりして、たまに見ている。

 

YouTubeも毎日配信しているし、

メルマガも毎日発行など、樺沢先生のアウトプットの量と継続の力を考えると、

この本はとても説得力があると考え、手に取った。

 

この本をおすすめしたい人

  • そもそもアウトプットとは?という人
  • SNS等でアウトプットしたいが、なかなかできない人
  • 映画を見たり、本を読むなどインプットのみで終わってしまう人
  • アウトプットが苦痛に感じる人
  • アウトプットするのに二の足を踏んでしまう人

 

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作者紹介

樺沢紫苑(かばさわ しおん)

 

精神科医、作家

1965年、札幌生まれ。

1991年、札幌医科大学医学部卒。

2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。

帰国後、樺沢心理学研究所を設立。

SNS、メールマガジンYouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。

(以下略)

 

『学びを結果に変えるアウトプット大全』より引用

 

 

 

国内最大級の治験情報サイト Qlife

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • アウトプットで人生を変えられるかもと意欲がわく
  • ひとつのチャプターが見開き1ページと決まっているのがとても良い
  • イラストも簡易でわかりやすく内容の邪魔をしていないので読みやすい
  • 簡単な内容もたくさん載っているので自分でもできるかもと思う
  • ボールペンや情報カードの使い方など、文具や文具の使い方なども載っているので取り入れたくなる
  • 書くことやSNSでの情報発信などのアウトプットだけではなく、悪口はネガティブ人生の始まりなど話し方などの分野も載っている

 

 

 

 

銀座血液検査ラボ

 

 

心に残った点・役に立った点

 

読みやすく工夫されている本

 

読み始めてまず最初に感じたのは、読みやすさ!

 

チャプター1つで見開きなのが、とても良い!

 

毎日チャプター5つ分とか決めて読み進める事も出来る。

電車などで読んでも、どこまで読んだっけ?とわからなくなることも無さそう。

イラストも簡潔でいい感じ。

 

アウトプットのハウツーだけではなくメンタル面にも

精神科医の樺沢氏だけあって、

アウトプットも「科学に裏付けられた伝わる話し方」などの項目では、

・ポジティブな言葉を増やすだけで幸せになれる

・悪口はネガティブ人生の始まり

・気持ちを誰かに話すだけで、心は軽くなる

などのメンタル面の改善になるようなチャプターが載っている。

 

このように、世間で考えられているアウトプットだけでなく、

心にフォーカスを当てた部分も載っているのが良かった。

 

 
書くという行為

TODOはスマートフォンではなく、手書きの方が良いとの事。

 

これは私自身も実感している部分なので納得。

 

本書の中にもTODOリストが載っていて、これがなかなか使いやすそう。

 

ポイントは手書きすること。

 

私も、ビジネスの場ではスマートフォンではなくて、手帳の方が断然使いやすいと感じている。

 

書く事によるメリットは多い(詳しくは本書でどうぞ)

 

情報カードに、思った事などをどんどん書いていくというのが載っていたが、これも良さそう。

海外の映画やドラマを見ていると、カードを結構使っていたりしますよね?

なるほどーと。

カードは、移動させて階層に分けたりできるのがとても良さそう。

 

そしてノート術にあった事で、ハッ!とした事。

 

それは、

「レジュメや配布資料にメモをとるのは最悪」

 

そうなんだ?へぇー、なるほどと思った。

 

配布資料を探したり取り出すのは不可能か、時間がかかるからだそうだ。

要するに、二度と見る事はないということ。

それなら、ノートに時系列に書けば良いというのは、参考になった。

 

朝イチのメールチェックは5分以内

これがなかなかできない。

家でも会社でもずいぶん時間をかけてしまっている。

さらに、15分おきのメールチェックは時間の無駄との事。

 

会社では、メールが来るたびにチェックしている、、、。

うーん。

このあたりは、自分の改善ポイント。

 

日記を書くのもアウトプット

日記を書くのは、簡単で最高のアウトプット・トレーニング法とのこと。

 

・アウトプット、書く能力が高まる

・自己洞察力、内省能力、レジリエンスが高まる

・「楽しい」を発見する能力が高まる

・ストレスが発散される

・幸せになる

 

日記を書くというのは、樺沢先生のメンタル関係の本でもよく出てくること。

 

驚いたのは、アメリカのガムヤング大学の心理学研究で、

4週間日記をつけるように指示(一方はポジティブな出来事のみ、一方はその日にあった出来事について)、ポジティブな内容の日記を書いた方は幸福度と生活に対する満足度が高いという結果になったそうだ。

 

これは、ちょっとした驚きであった。

 

日記というと、子供の頃のイメージがあったが、

こんなふうに有効なんだなぁと(ポジティブな内容を探して書くという手法は必要だが)

 

というわけで、分厚い本だが体感的にはすぐ読めたような印象(読みやすいので)

 

一通り読んで、できることややってみたいチャプターから気軽に行動してみるのが良いかもしれない。

 

そして、アウトプットに対するハードルが低くなるので、

行動に移しやすいと感じる人もたくさんいるだろうと思う。

 

とてもおすすめの本です!

 

 

 

 

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【おすすめ本39】運命の仕事に出会う本 人生のわくわくステージに立とう 和田裕美

和田裕美の 運命の仕事に出会う本 人生のわくわくステージに立とう』

和田裕美 大和書房 2006年発行

 

仕事は修行と考えていたときは、仕事をするのがとても辛かった。

 

今考えると、なぜあんなに頑張れたのかと思うけど、

もっと心構えで楽しく、顧客の事も考えて頑張りすぎず仕事ができた事に気が付く。

(当時は全くわからなかった)

修行と思うと、なぜか修行でしかなくなる状況になっていった。

いつか、仕事という事にわくわくなんて期待しないようにもなっていったように思う。

 

そもそも、運命の仕事ってあるんだろうか?

 

わくわくステージ?

 

そんな疑問を持ちつつも興味深く思い手に取った本。

 

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この本をおすすめしたい人

  • 仕事のモチベーションが湧かない人
  • 仕事が嫌いな人
  • 過去に仕事で挫折して仕事が嫌になった人
  • 仕事についての本が読みたいけど、軽く読める本の方がいいなぁという人

 

作者紹介

和田裕美

 

京都府生まれ。

光華女子大学英文科卒。

英会話学校やアパレルメーカーの事務職をへて91年に日本ブリタニカ株式会社に入社。

「売る」というより「お客様の背中を押す」ことを意識した営業スタイルで、世界142支社中2位の営業成績を収める。

2001年6月に独立、株式会社ペリエを設立。

大手から中小企業まであらゆる業界の営業マン育成、コンサルティングに携わり、実績を上げている。

講演・セミナーともに、依頼者からのリピート率98%という人気を誇る。

 

和田裕美の運命の仕事に出会う本』より引用

 

 この本のおすすめポイント

  • 本人の分も含めエピソードが色々載っているので飽きずに読める
  • 方法論などではなく、モチベーションを高めたい人に
  • エッセイ風なので、気軽に読める

 

 

 

 

 

 

心に残った点・役に立った点

 
つまらない雑用が将来の成功を運んでくる

著者のアパレル関係のOL時代、

 倉庫で在庫管理の仕事をしていたとの事。

 

半年くらい経ったら、品番を覚えたり、

どれがどの位売れて、何がよくへんぴんされているかなどを大まかに把握できるようになっていた。

 

ある日、常務が在庫室に来た時に、

ベージュのあるコートがどれだけあるか常務に聞かれた時に、

黒はシーズン後にまとめて戻ってきているから、

ベージュを追加生産したほうが良いと、さっと答えられた。

 

その結果、常務が在庫室に日に一度区量になり、売れ残りの状況を把握していくようになった。

そして、商品の事をわかっているようだからと、

ショールームの担当になったという。

 

つまり、自分のステージには、小さいステージも、

大きいステージもある、人が立っているステージに行くと脇役になってしまいそうなら、今のステージで真ん中に立てるように前向きにいると、次のステージが用意されており、そうのステージはもっと大きいと。

 

 

この話は、とても興味深く読んだ。

今の仕事を無駄にならないと思うかどうか。

不満をぶつけるのではなく、動機が違うと結果も違うと。

 

これはなるほど、と思った。

 

固定給とフルコミッションの違い

フルコミッションの場合は、

契約を取らないとお金が入ってこないばかりか、

交通費もパンフレット代も、電話代も自己負担。

保険は自分で国民健康保険に入る。

その代わり、月1000万円稼ごうとしても、不可能な数字では無かった。

自分のお客さんを持つという意識も高くなり、評価もわかりやすく、

活気があって楽しい。

 

その頃は、値札も見ないで買いものをし、

マンションを買ったりとそんな20代をおくったそうだ。

 

要するに個人事業主ということですよね。

 

固定給だと、フルコミッションのような収入は、

なかなか不可能。

頭打ち、天井がある。

 

だけど、固定給なら会社を休んでも有給休暇を使える。

お客さんとお茶するときは、

固定給なら会社の経費。

 

ようするに、固定給は会社がその人を信頼しているという証拠。

 

それぞれに利点も欠点もあり、

固定給は保証だけど、ゼロはないが天井がある。

 

著者は3800万円の年収を稼いだのは、

安定を捨てる勇気があったから。

 

だから、もっとお金を稼ぎたい人は、

フルコミッションに挑戦しても良いし、固定給+歩合を選択枠に入れてもいいと著者は言う。

 

会社経営とかも言わばフルコミッションと同じだし、

自由と責任を取るか、安定と束縛をとるかは、選択するのは自分。

 

これを読んで、そうかと目から鱗だった。

固定給という事は、会社から信頼されているという事。

そういう視点を持ったことが無かったので、ある意味反省。

 

ただ、これからの時代は個人事業主を選ぶ人も増えるだろうし、

会社というものがどんどん縮小していく可能性もあるので、

チャレンジしたい人、実力がある人などが有利な時代になっていくと思う。

 

この本は、2006年発行で15年前の本だし、

内容はエッセイ風だし、運命の仕事に出会うハウツー本ではなく、

仕事の心構えを書いた本。

だから、色んな人におすすめと言えるわけではないが、

仕事をもう一度考えたい人にはいいのかもしれない。