【おすすめ本37】MODERN LOVE モダンラブ ニューヨークタイムズ掲載本当にあった21の物語
『MODERN LOVE モダンラブ いつくもの出会い、とっておきの恋 ニューヨーク・タイムズ掲載の本当にあった21の物語』
ダニエル・ジョーンズ編 桑原洋子訳 河出書房新社 2020年発行
「編者まえがき」によると、
ニューヨーク・タイムズのコラム「モダンラブ」に送られてくるエッセイは年間8千編以上。
2004年に「モダンラブ」の連載が始まった時、コラムの創設メンバーの編集者(スタイルエディターのトリップ・ゲイブリエル、ダニエル・ジョーンズ、ダニエル・ジョーンズ氏の妻キャシー・ハナワ)は、「愛」を広義に解釈しようと決めたそうだ。
ページをめくってみてほしい。衝撃的なものもあれば、なにかの導きになってくれるものもある。笑わされてしまうものもあれば、胸が痛くなるようなもの、涙を誘うものもある。時には、あまりモダンでもないストーリーもある(これは本当だ)。それでもどれもが、牡蠣の殻をこじあけるようにして、人間の愛の中にある、暗く美しいものを見せてくれるのだ。
『モダンラブ』まえがきより引用
この本をおすすめしたい人
- アメリカのコラムの文体が好きな人
- 色々な「愛」についてのコラムを読みたい人
- 海外の文学が好きな方
- 洒落たコラムを読みたい人
作者紹介
編者略歴
ダニエル・ジョーンズ Daniel Jones
2004年に「ニューヨーク・タイムズ」で始まったコラム「モダンラブ」の創設時からの編集者である。
著書としては『Love Illuminated:Exploring Lif's Most Mystifying Subject(with the Help of 5,000 Stragers)』『The Bastrd on the Couch』そして小説『After Lucy』などがある。ジョーンズは毎週配信される「モダンラブ」のポッドキャストにも登場し、アマゾン・スタジオ製作のドラマ「モダン・ラブ~今日もNYの街角で~」では小紋プロデューサーを務める。
マサチューセッツ州ノーサンプトンとニューヨークシティで暮らしている。
訳者略歴
桑原洋子(くわはら・ようこ)
翻訳家。慶応義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻修士課程修了。訳書に『ティアリングの女王』『煙と骨の魔法少女』(以上早川書房)、『空の上には、何があるの?』『化学ってなに?』『くさい!』(以上河出書房新社)『人生なんて、そんなもおさ~カート・ヴォネガットの生涯』(柏書房・共訳)、『わたしの美しい娘』(ポプラ社・共訳)などがある。
『モダンラブ』より
この本のおすすめポイント
- 字も小さくなく、1つ1つの物語がちょうど良い長さなので、1日1つ寝る前などに読むのも楽しい
- 文体がアメリカのコラムという感じで、独特の味がある
- 「モダンラブ」というだけあって、モダンなものやこれも?というラブの有りようが書いてある
- 不思議な余韻が残る
- アパートメントのドアマンとのやりとり、プロファイラーのように彼氏を見定めるママ、障害者など色んなかたちの愛が載っていて人生もそんなに悪くないなぁと思わせてくれる
心に残った点・役に立った点
『モダンラブ』は今の多様性を求める風潮にぴったりとあてはまっていて、それが心地よい。
年齢も若者から70代と80代の恋も(それもきっかけはランニングクラブ!)
失恋したもの同士の男性の友情物語あり、ドアマンと親になりたがっていない男性の子供を産む決心をした若い女性とのやりとり、思春期に差し掛かった自閉症の息子と母親、娘の付き合う男の事をプロファイラー並みに分析する母親、、、などなど。
色んな物語。
あくまでもコラムなので、さらっと読め、そしてもほろ苦い内容だったとしても後味は悪くない。
シニカルな文でも、どこか温かい。
このあたりが、いかにもニューヨーク・タイムズに掲載されるコラムという感じ。
めちゃくちゃ感動するとか、ワーワー泣いてしまうとかではないが、
心がふわっとしたり、ちょっとほろ苦くなったり。
寝る前に読むのは、それぐらいがちょうど良い。
内容が、恋人同士に限らないのが良い。
色んな人が色んな人生を生きているんだなぁという実感。
ちょっとノスタルジックな気分にもなる。
この本を読むときにぴったりな音楽なども、
人によって違いそうでそういうことを考えるのも楽しい。
(私は、イメージ的にニューヨークのバーの片隅で歌うピアノマンが奏でる歌なのでビリージョエルとかかな)
興味を持たれた方是非どうぞ。