【おすすめ本36】「やる気が出ない」が一瞬で消える方法 大嶋信頼 【他者からの嫉妬で無気力に】
『「やる気が出ない」が一瞬で消える方法』 大嶋信頼 幻冬舎新書 2018年
休みの日、やる事・やりたい事が沢山あるのに、
「やる気が出ない」で、気が付いたら夕方。
「あー、一日無駄にした。私ってなんでこうなんだろう。」
と、自分にダメ出しで終わる休日。
休日だけではなく、
やらなきゃいけない事がたくさんあればあるほど、やる気が出なくなってしまう事が多い。
それはなんだろう?と思い手に取った本。
この本をおすすめしたい人
- しなければいけない事を後回しにしてしまう人
- 勉強、資格取得の勉強になかなか手が付かない人
- 上司にキツイ事を言われたりするとやる気が無くなる人
- 憂鬱な予定があると、動けなくなるような気がする人
- 仕事の締め切りがあるのに、ぎりぎりまで手を付けられない人
作者紹介
大嶋信頼(おおしまのぶより)
心理カウンセラー、株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。
ブリーフ・セラピーのFAP療法を開発し、トラウマのみならず多くの症状を治療している。
アルコール依存症専門病院・周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研修生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。
12万部を突破した『「いつも誰かに振り回される」が一瞬んで変わる方法』(すばる舎)など著者多数。
『「やる気が出ない」が一瞬で消える方法』より引用
この本のおすすめポイント
- いま感じている無気力状態を放置するとどんな問題と結びついてしまうのかがわかる
- 無気力を作る大きな要因(万能感)(他社から受ける嫉妬)の説明が書いてある
- 脳のネットワーク内のトラブルについて書いてある
- 具体的なバグ(無気力)がおこるメカニズムについて知ることができる
心に残った点・役に立った点
うつ病の増加
ここ十数年の日本では、うつ病患者の数が増えているそうだ。
厚生労働省の調査によると、2014年のうつ病(躁うつ病なども含む)の全国推計患者数は、111万6000人。
軽度のうつ病も含まれていると思われる「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」というカテゴリーでは72万4000人の患者がいると推計。
うつ病に類する病気で医療機関にかかっている患者の数は、おおざっぱに見積もっても180万人を超えている。(実際の患者数は、さらに多くなっていると思われる)
1996年が、43.3万人、1999年が44.1万人なので、
著しい増加が見て取れるとの事。
欧米に比べれば、うつ病になる人の割合が低いということだが、
これはちょっと意外だった(日本の方が多いような気がしたので)
(欧米では、過去12か月にうつ病を経験したものの割合は1~8%、うつ病を経験した者の割合は3~16%、日本では、過去12か月にうつ病を経験した者の割合が1~2%、うつ病を経験した者の割合が3~7%)
うつ病は一般的に女性、若年者に多いとされているが、
日本では中高年でも頻度が高く、うつ病にたいする社会経済的影響が大きいのが日本の特徴。
この事は、実感としてわかるような気がする。
外材化
この著者の大切な考え方は、「外材化」
「直面化」=「あなたがだらしないからこういう問題をおこすんですよ」「あなたに根性がないから、〇〇をやめられないのです」
「外材化」=「あなたが苦しんでいる原因は、あなた自身の問題とは別のところにある」
問題は自分の中にないことを確認することで、発作のループから抜け出すことが目的。
万能感が生む「無気力」
「万能感」=自分主体の考え方になっていて、すべてを自分の思い通りにさせようとする感覚。
万能感を持っている人は物事を自分基準で「ジャッジ」する癖がついている。
「快か不快か」という基準で物事をとらえるのではなく、
「快だけど周囲から反感を買うと判断して諦める」「不快だけどいまやめたら努力が無駄になると思って我慢して続ける」など、自分のジャッジで「快・不快」を捻じ曲げてしまい、バグが起きているということだそうだ。
うーん、これは当てはまるなぁ。
大抵の人は当てはまるのではないだろうか?
「快・不快」で物事を決めるのに抵抗がある人も多いと思う(私も含め)
自分が万能感を持っている事はなかなか気が付かないということだが、
私も気が付かなった。
この万能感を持っていると無気力を引き起こしやすいという事。
(理想形を思い浮かべるほど動けなくなるなど)
子ども時代から万能感が支配するような環境に置かれた場合、夢が持てなくなっていくそうだ。
(固定された価値観に影響されて、自分の世界の限界が狭まるから)
人から見捨てられるかもしれないという不安を持っている人ほど、
自分でなんとかしなければという事で万能感を持ちやすくなり、余計に動けなくなるということもあるそうだ。
気が付くと、「ジャッジ」っていつもしているような気がする。
「ジャッジ」を優先して、自分の「快・不快」をずっと無視してきた部分もあるような。
まさか、その「ジャッジ」や「理想」が夢を持てなくし、動けなくしていたとは。
バグ撃退法
この脳のバグを撃退するには、
1日1回、必ず自分の好きなことをすることだそうだ。
え?それだけ?
と思ってしまったが、そうなのだそうだ。
(例えば漫画を読む事などでも自分が「快」と感じるならOKとの事。ただし、「これで大丈夫かな?」といううしろめたさが湧いたら、それは「快」ではないそうだ)
「運が良かった」「運が悪かった」というのも、ジャッジということだそうだ。
えーっ!と思ったが、言われてみれば納得。
(自分で判断して決めつけている事になるから)
こうして自分で判断することを続けていくと、バイナリコードがずれて歪んでいくのだそうだ。
嫉妬攻撃による無気力
この場合の嫉妬とは、自分が他社にいだく嫉妬ではなく、
他社が自分に対していだく嫉妬。
自分が他社に嫉妬を受けている(という自覚が無い場合も多い)と、無気力の原因になるのだそうだ。
これにはちょっと驚き。
遊んでいる子供に対して親が「宿題をしなさい」と怒ると、
子どもは宿題をやらなくなったりというのも、嫉妬が原因ということなのだそうだ。
(この場合嫉妬しているのは親)
子どもが自由に遊んでいることに対して親が嫉妬してしまっている状態。
これは気づきにくいよなぁーと思う。
だから、緊張の高い家庭で子供が動けなくなり、結果的に勉強をしなくなるのは、親の嫉妬の発作が大きいからだそうなのだ。
うちは、とても支配的な親だったので、これは思い当たる(だけど、子どもの頃はその自分の無気力は、自分がぐうたらでだらしがないからだと思っていた)
友人に相談しない
相手からの嫉妬から離れる方法として、
友人に相談しないという事があげられていた。
これは、世の中の価値観と正反対なのでびっくりする人も多いかも(特に女性は友人に相談する人も多いと思うし)
結婚や転職の相談など、相談される相手にとって
悩むことができる状況にあること自体が嫉妬の対象になっていたりする場合があるから、相談しないと気が済まない人は注意が必要だそうだ。
相手は親身になってアドバイスしてくれるように思えても、
嫉妬が介在してくるので、後でかえって動けなくなったりするのだそうだ。
愚痴をごぼせばこぼすほど、
相手の執着(嫉妬)を誘うので、愚痴=その人自身のバグになってしまう。
動けなくなった経験のある人は、自分の事をわかってくれているという思える友人に対してこそ、相談するのをやめた方がいい、相談をやめる事で間違いなく動きやすくなる。
いやぁ、これは(特に女性にとっては)逆説のように感じる事だが、
つらつら考えると思い当たることがある。
わたしの友人で、悩みがあると電話をいろんな人に電話して長時間話し続ける人がいるが、やっぱり精神的に不安定だ。
その友人は、相手に話をふったりして気遣いもできる人だが、
体調が悪かったり不安定だったりする。
相談をやめた方がいいよとはなかなか言えないけど、
もしかして私の友人にもあてはまるのかも知れない。
(その事以外にも色々要因はあるのかもしれないけど)
私にも無自覚の嫉妬などあるかもしれないなぁ。
おそらく、友人に相談しない限り、愚痴そのものが消えていくはずです。「あふれるほどあって言わずにいられない」と思っていた愚痴も、相談をやめることで、実は生まれてこないものだと気づくはずです。
『「やる気が出ない」が一瞬で消える方法』 第3章 嫉妬攻撃による「無気力」より引用
相談しない限り、愚痴そのものが消えていき、
相談をやめることで、実は生まれてこないもの、、、。
これは、とても役にたった。
この本は、新書版で薄いのですぐ読めるが、
人によっては物足りない部分もあるかもしれない。
それでも、興味を持った方は是非どうぞ。
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