辛い時にはいつも本があった

辛い時にはいつも本があった

辛い時、苦しい時、悲しい時に書店に行くといつもその時の気持ちにぴったりの本との出会いがありました。

【おすすめ本25】スゴ母列伝 堀越英美 【岡本太郎 養老孟司 小池百合子の母たち】

スゴ母列伝 いい母は天国に行ける ワルい母はどこへでも行ける

堀越英美 大和書房 2020年3月発行

 

スゴ母たちは、母親を監視する世間の目に追い立てられ、

「少しでも育児を間違えたら取り返しのつかないことになる」

という思い込みにハマりがちな現代の母親に希望を与えてくれる、

実にありがたい存在なのである。

 

『スゴ母列伝』より引用 

 

この本をおすすめしたい人

  • 育児に自信が無い人
  • 母親との確執があった人・今ある人
  • 自分は自分のままでいいと思えない人
  • この本に載っている人たちの人生に興味がある人

 

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作者紹介

堀越英美(ほりこし・ひでみ)

 

1973年生まれ。

早稲田大学第一文学部卒業。

著書に、『女の子は本当にピンクが好きなのか』『不道徳お母さん講座』(河出書房新社)など。

翻訳書に、『ギークマム 21世紀のママと家族のための実験、工作、冒険アイデア』(共訳、オライリージャパン)、『世界と科学を変えた52人の女性たち』(青土社)、『ガール・コード プログラミングで世界を変えた女子高校生二人のほんとうのお話』(Pヴァイン)がある。二女の母。

 

『スゴ母列伝』より引用 

 

 

この本のおすすめポイント

  • スゴ母がすごすぎて、読むのが面白い
  • 母はこうであらねばならぬという思い込みを外すことができる
  • うちの母はまだましな方かも、、、と自分の母を許せる(かも)
  • キュリー夫人岡本かの子など教科書に出てくる人も、実はびっくりするような母だった事がわかる
  • 人それぞれ、人生色々だなぁーなんて人に対する許容範囲が広がる
  • 自分の子育てに自己嫌悪を感じている人は少し楽になる(かも?)

 

 

 

 

 

 

心に残った点・役に立った点

私の母は、この本に出てくるような”スゴ母”ではない。

良い時もどん底の時もあったようだが、一般的に見て普通の母。

だが、勉強出来(難関の某資格取得者)、なんでもできる人だったので、

体裁をものすごく気にし、私にダメ出しばかりするとても厳しい親だった。

 

ずーっとずっと許せなくて、傷ついたままの心を抱えて表面では普通の親子を演じてきたから、心の中にいつも煮えたぎるような怒りや恨みを抱えて生きてきた。

それが、数年前ある事をきっかけに怒りも恨みもあまり無くなった。

本当にそれだけで、人生ずいぶん変わるものだ。

 

この本のような”スゴ母”を親に持った人ではなくても、

母との確執を持った人は多い。

 

この本に出てくる人は、故人ばかりだが(だから本にかけるのかも)

本当にぶっ飛んだという表現がぴったりの人ばかり。

 

私にはとてもじゃないけど、そんな人生送れない。

 

子どもにとっても理想的な母ではない”スゴ母”たち。

 

でもなんかちょっと羨ましく感じる部分もある。

こんな風に思ったように生きられたらなぁーという風に思う。

 

”スゴ母”に育てられた子供たちはきっと、母に振り回される大変な人生だったと思うが、みな母の人生に肯定的。

 

私の子供はいないから、子どもの立場からしか言えないが、

子どもに同化して子供を支配しようとする母よりも、

世間の常識から外れていてもしたいように生きている母の方が、

子どもは苦しくないかもしれない、、、なんて思う。

 

”スゴ母”達はみなエネルギッシュ。

名を残している人ばかりなのだから当たり前かもしれないが。

 

長文ではないが、本書の中にコラム的に書かれている「まだまだいるスゴ母たち」という部分に小池百合子の母、小池恵美子さんが載っている。

 

その内容を読んだ時、小池百合子の中にはしっかりと母の影響があるのがなんとなくわかるような気がした。

エジプト人に本物のすき焼きを提供したいと日本料理店「なにわ」をオープン、事業に失敗した夫とともに、日本に帰ってきた娘を置いてカイロで「なにわ」の営業を20年続けた母だそうだ)

 

樹木希林も、とても彼女らしい逸話がたくさん載っていた。

娘の也哉子さんは、キャラクター文具を許さない母を恨んだこともあるという。

服も大人のおさがりばかりで、サイズの合う服がなかったようだ。

だが、中学入学祝いのとき、通りすがったヨウジ・ヤマモトでほしがった服をすべて購入して娘を驚かせたという。

 

この本に載っている”スゴ母”たちは、

SNS上に自分の子育てなどを載せたら炎上しそうな逸話ばかり。

 

それでもきちんと子供は育ち、母の思いもちゃんと受け止めている。

 

自分の子育てなどに自己嫌悪したりした時は、

この本を読むとちょっとホッとするかも。

 

個人的にはミステリーの女王 山村美紗さんの完璧主義ゆえに苦悩する姿を知って印象に残った。

彼女の本に著者近影として載っていた写真はいつもとても華やかだった。

その影で、たくさんの苦悩があったのだなぁと。

 

娘の山村紅葉には99点を取っても厳しくしかる母、ダメ出しばかりする母は、娘であることもきつい部分が多かったかもしれない。

 

山村紅葉さんは、

今思うと、私たち母娘は、密着しすぎて遠い存在、言い換えれば、すごく距離があるのに近い存在でした。

(中略)

逆に私も、小さいころから訴えたいことはいっぱいあったのに、母の気持ちがわかりすぎるために、何も言えなかったのかもしれません。

 

山村紅葉「解けない謎を残していったひと トリックの女王・山村美紗の素顔」『婦人公論』2001年3月22日号)

『スゴ母列伝』より引用

 

何だか、この気持ちがほんの少しわかるような気がするのだ。

(私はその当時、母の気持ちがわかりすぎもせず、何も言えないわけでは無く、ものすごい反抗という形であらわしたが)

 

この本の中に出てくる母たちは、「正しい母」ではないかもしれない。

それでも、自分をそこまで生きられる母たちには、やっぱり驚きながらもある種の尊敬すら覚えるなぁ。

人生を思いっきり満喫した人として。

 

 

【おすすめ本24】和田式「営業」クリニック 和田裕美 【営業のお作法本】

和田式「営業」クリニック 和田裕美 明日香出版社

 

「本当の営業マナー(作法)について書いた」と著者がいうこの本。

軽く読めながらも参考になる部分があるので、ご紹介。

 

 

この本をおすすめめしたい人

  • 営業の仕事についたばかりの人
  • 営業をしてみたい人
  • 仕事で「相手を不快にさせない事」とは?を知りたい人
  • 和田裕美さんのファン
  • 堅苦しくない営業マナー本を読みたい人

作者紹介

和田裕美(わだ ひろみ)

 

 京都府生まれ。光華女子大学英文学科卒。

英会話学校の事務職をへて91年12月に英語教育プログラムを販売する日本ブリタニカ株式会社に入社。

営業で世界142社中2位、年収3800万円の個人記録を達成、渋谷区の長者番付にも名を連ねる。

同社で正社員となった後に最年少の営業部長に就任、全国の20支店、100名のスタッフの管理と教育にあたる。

2001年6月に有限会社ペリエ設立、大手から中小企業まで営業コンサルタントとして実績をあげている。企業研修や一般向けのセミナーなどの和田式営業クリニックも実施している。

 

和田式「営業」クリニックより引用

 

 

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この本のおすすめポイント

  • 語り口調なので、堅苦しくない
  • 難しいことは書いていないので理解しやすい
  • 基本的な営業マナーをマスターできる
  • 営業マナーのおさらいになる
  • 自分ではできているつもりになっていたけど、できていない事をチェックできる
  • 営業に対するハードルが下がりやってみようという気になる

 

 

 

 

 

心に残った点・役に立った点

 

この本の要点は、

「相手を不快にさせないこと」

そして、

出会って「こうでなきゃいけない」という形にこだわることではないということ。

 

堅苦しくない「営業のお作法」レクチャーがこの本。

 

売れる営業作法 4つの基本は、、、。

[時間管理]

[健康管理]

[金銭管理]

[感情管理]

 

この4つの基本をふまえた上で、

1章 身だしなみ編

2章 売れる営業の売れる身のこなし

3章 とっておきの組織論

4章 愛される作法

5章 すごい好感度アップでモテモテになれる方法

6章 見えない相手に自分を伝える 和田テク

7章 相手を敬う言葉で話す

8章 和田式 究極の接待マニュアル

9章 相手を思いやるのが究極のマナー

10章 感情のマナー

巻末付録 いまさら聞けない営業マナー 基本の基本

という流れで語られる。

 

 

 

 

 

活気のある会社と思われるための基本の電話応対

 

セミナーでは、

「言い方は自己流になってしまうので、統一された方がいいですよ」

とアドバイスするそう。

 

第一声は重要。

会社名が長いとか短いとか、社名の中で母音が重なる場合などでは、

できる限り統一して聞き取りやすくするべき、との事。

 

会社で、かけてきた人が聞き取りやすいように統一したり見直ししたりするという事は有効だろうなーと思う。

 

営業の人が出る前に、電話の第一声でお客さんに接する人も営業意識が必要という点は、本当にそうだなぁと。

 

 
ちょっとその電話1本いくら?(インバウンス編)

この項目に、

某企業の現場調査として、その会社が出している新聞折り込みのちらしにお客さんとして電話した時の例が載っている。

 

これが、本当に「あるある、こういう対応」という感じ。

だんだん電話をかけた時の意気込みがなえてくるというか。

 

 

最初の対応は、大抵の事務の人がする場合が多いわけだが、

それがちょっともったいない。

営業は、組織で売り上げるもので、オフィスにいるすべての人が、営業マンとしての意識が必要、とのこと。

 

この部分は、本当にためになった。

確かに、そうだ。

 

早速心がけようと思った。

 

ちなみに、この応対の模範解答もその章の最後に載っている。

 

その部分、3回は読んだものね。

そして、私もこのようにやってみようと思った。

 

電話に出るという事だけでも、

その会社で売るものに対して「共通のイメージ」を持っていることが大事というのもわかった。

 

他は、本当に基本的な部分だったが、

正直、「その位、もう知ってるよ」と思う人は多いと思う。

 

だから、この本は営業の基本マナーがきっちりできている人には物足りないかも。

だが、その基本的な「人に不快感を与えない」という部分をおさらいしたい人にはおすすめできる本。

 

 

仕事はチームでやるのです

そして、、、。

職場の付き合いは必要ないというアドバイスの本も多い。

(私も基本的にはそう思っている)

 

だがこの本には、

営業の世界は実力主義です。

だから中には

一匹狼で自分の数字にしか興味がなく

人付き合いの悪い人も当然います。

(お客さんとはなぜかうまくやっている)

残念なことに、そんな人は新年会も忘年会も

そそくさと帰ってしまうので

組織の空気を乱したり、

雰囲気まで壊したりします。

(中略)

もちろんそれでもいいのです。そう思ってもいいのです。

(中略)

ただし、だからといってそのような

あからさまな態度は、絶対によくないのです。

それにこういう態度はやはり損です。

組織の中では絶対にNGです。

こういう人は重宝がられますが

数字をいくら出しても上にに(昇進)できないですよ。

こういう人はあまり上司にも好かれないですよ。

 

『和田式「営業」クリニック』3章とっておきの組織論 より引用 

 

この部分を読んで、

うーむ、とうなってしまった。

 

作者は、人付き合いの悪い人を否定はしていない(もちろんそれでもいいのです。そう思ってもいいのです。)、と書いている。

だけど、重宝がられるけど昇進しないし上司にも好かれないと断言している。

 

結局、仕事もその人と付き合いやすいか、好きかどうかで決まっている部分も多いという事。

 

人付き合いが悪いのも否定はしないけど、損ですよという事。

 

仕事の場を見渡すと、確かに思い当たるふしもある。

 

仕事はチームでやるもの。

 

営業は、一人でやるものと思いがちでもあるよね。

(それもすごくわかる)

 

最近、職場でもチームでやるものと思っている人と、

個人でやるものと思っている人のいざこざを見たばかり。

 

だからこの部分は、この本を読んで考えさせられた。

 

著者のこの考えは、

昔風で人付き合いについて押しつけがましく感じる人もいるかもしれないけど、

現代でも人ってそんなにドライに変わらないから、

やっぱり大事なのかもしれないなぁと思った。

 

2004年発行で古いので、

本屋さんには並んではいない。

でも、興味を持って読んでみたい方は手に取ってみるのも良いかも。

 

 

 


 

【おすすめ本23】魅せる力 ブライアン・トレーシー+ロン・アーデン【和田裕美 監訳 本】

『魅せる力』 ブライアン・トレーシー+ロン・アーデン 

和田裕美 監訳 ダイアモンド社

 

2007年発行なのでちょっと古めの本。

 

ブライアン・トレーシーさんは、世界でも指折りのトレーナー、コンサルタント

高校を中退後、自分なりのアイディア、テクニックで大企業の重役までのぼりつめた人ということと、和田裕美さんがこの本にかかわっているという事で手に取った本。

 

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この本をおすすめしたい人

  • アイコンタクト、ボディランゲージなどを学びたい人
  • 人の話を聞く時の態度をもう一度見直したい人
  • ビジネスの場面での振る舞いを見直したい人
  • ”魅せる力”をシンプルに学びたい人
  • ビジネスの場で人に多く会う人

 

作者紹介

ブライアン・トレーシー(Brian Tracy)

 

アメリカでトップクラスのビジネス関連講演者であり、世界でも指折りのトレーナー、コンサルタント

高校を中退後、数年間の肉体労働を経てセールスマンの職を得、ビジネス界でその才能を発揮。

自分なりのアイデア、方法、テクニックを生かし、大企業の重役まで上りつめる。

30代で大学に入学し経営学修士を習得。22の会社と業界で働いた経験から、成功の秘訣を教えるセミナーを世界中で開催している。

(以下略)

 

 

ロン・アーデン(Ron Arden)

 

イギリスで生まれ育ったロン・アーデンは、スピーチのコーチの先駆者的存在として世界で広く認められている。

俳優/監督として長年にわたって素晴らしいキャリアを築き、アメリカと海外の両方で舞台芸術の教授としても活躍。

その後、演劇での豊富な経験をプレゼンテーションスキル向上のトレーニングに応用し、独特のコーチング法で”スピーチ・コーチの師”と呼ばれるようになる。

(以下略)

 

[監訳者]

和田裕美(わだ・ひろみ)

 

外資系教育会社日本ブリタニカでのフルコミッション営業時代、プレゼン後の成約率95%という圧倒的な営業力で日本でトップ、世界142社中2位の成績を収める。

女性初史上最年少の代理店支店長となった後、代理店制度廃止に伴いブリタニカ本社で企画室長、マーケティング部長を経て営業部長となり、全国100名の営業組織を統括する。

2001年のブリタニカ日本撤退に伴い独立し、株式会社ペリエを設立。営業コンサルタントとして多業種での営業組織作りに携わる。

(以下略

 

『魅せる力』より引用

 

 

この本のおすすめポイント

 

 「魅せる力」とは

 

「・・・・・彼は出会った人ひとりひとりに対して”まさにこの瞬間こそが大切なのだ”といわんばかりに自分の集中力のすべてを傾けていました。そんな彼からは、あたたかさがにじみ出ていました。

彼は自分の話し相手を心の底から好きになりたいと思っているように見えましたし、しかも、相手が自分を好きになってくれるかどうかなど、まったく気にかけていませんでした。(中略)

 ただ私に言えるのは、彼と対面したあのわずかな瞬間に、私は完全に彼の虜になってしまった、ということですーしかも元々私は彼の意見にはまったく賛同していませんでしたし、好きになるとも思っていなかったのに、です!」

 

これはプロの講演者であるマーク・サンボーンの言葉です。そして彼が出会った有名な人物とは、当時のアメリカ大統領、ビル・クリントンだったのです。

 

『魅せる力』Lesson1”魅せる力”って何? より引用

 

 

これを読んで、びっくり。

 

ビル・クリントンと言えば残念ながらその後の不倫などで失態を演じた人のイメージが強くて、そういう部分には注意をはらってはいなかったから。

 

だが、好きでもなく意見も異なる人を魅了するいう事は間違いなく人を引き付けるチャームを持っていたのだなぁと。

 

要するに、この本での”魅せる力”とは、マナーやルックスなどの事ではなく、共感関係を生み出し、その場にいる人を特別な気持ちにさせる能力の事。

 

  • 女性を魅了するには、男性を魅了するには、と相手の性別によってアドバイスが載っている
  • アイコンタクト、ボディランゲージなど、どちらかというと日本人は不得手というか、控え目な部分にもアドバイスがあること

 

このあたりがこの本ならではの特質かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

心に残った点・役に立った点

ボディランゲージや視線の話など、

「そんな事は既に知っている」という感想を持つ人も多いかもしれない。

 

私も、読んだ当初思った。

 

だが、疲れている時や相手によって(!)そのあたりがおざなりになっていたかもしれないと気が付いた。

 

それだけではなく、早口かもしれないとも気が付いた。

(Lesson26 ゆっくり話す技術)

 

早口が問題になるのは、それが必然的にネガティブな印象を作り出してしまうことです。そこにポジティブな要素はなにひとつ生まれないのです。

 早口の人は、話し相手に考える余裕をまったくと言っていいほどあたえていません。

 

『魅せる力』Lesson26 ゆっくり話す技術 より引用

 

これはちょっとガーンとなった。

私は営業トークの時などは、勢いで話すことが多く、

きっと早口になっていると思う。

 

会話の速度を落とす、会話の中に無言の瞬間を作る事。

 

なるほど。

これにはゆっくり話す練習を重ねる事も大切だということだ。

やはり練習が必要ということ。

 

この本は海外の方が書いた本だが、

特に日本人は”間”を大事にするから、この心がけは私にとって必要という事がわかった。

 

相手に”自分は重要だ”と思わせる事。

これを心がけると、ビジネス(だけではなく普段の人間関係も)うまくいくということ。

 

それは、ヘコヘコすることではなく、話し方やボディランゲージなどで表現できるという事。

 

内容は、とてもシンプル。

もしかして物足りない人もいるかも。

しかし、興味を持った方は機会があれば読んでみると良いかも。

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

【おすすめ本22】京都ミステリーの現場にご一緒しましょ 山村紅葉 【母 山村美紗との思い出】

コロナ過の今、なかなか京都に行くこともできないが、

一時この本を読んで頭の中で京都めぐりをする事ができた。

 

それほど厚くない本なので、あっさり読める。

ミステリー作家の故山村美紗氏との思い出もふんだんで、

彼女のミステリーのファンだった方はこの本でまた作品を紐解いたりできると思う。

 

コロナがおさまり、また美しく洗練された京都へ行ける世の中になるよう願って、

この本をご紹介。

 

『京都ミステリーの現場んびご一緒しましょ』 山村紅葉 PHP研究所

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 山村美紗のミステリーのファン
  • 山村紅葉のファン
  • 京都に育った山村紅葉から見た京都および京都のおすすめに興味がある人
  • 山村紅葉のエッセイを読みたい方
  • 観光地やお店から山村美紗のミステリーを紐解きたい方
  • 一風変わった京都案内を読みたい方
  • 2時間ドラマがお好きな人

 

 

 

 

 

作者紹介

山村紅葉(やまむら もみじ)

 

京都生まれ。

ミステリーの女王・故山村美紗の長女。

早稲田大学政治経済学部在学中より、テレビ「2時間サスペンス」に出演。

大学4年生のときに、国税庁国税専門官試験に合格。卒業後は国税調査の仕事に就いたが、大蔵省(現財務省)官僚との結婚を機に退職。

その後、ふたたび、「2時間サスペンス」に女優として復帰し、2時間サスペンスドラマ主演の年間最多は31本。

現在は、テレビドラマ以外に、舞台、バラエティ番組等でも活躍中

著書に、『おきばりやすー京女は今日も一生懸命』(双葉社)、『山村紅葉が厳選!ほんまもんの京都みやげ100』(学習研究社)などがある。

 

『京都ミステリーの現場にご一緒しましょ』より引用

 

 

この本のおすすめポイント

  • 娘 山村紅葉からみた山村美紗の姿が書かれている
  • 山村美紗のミステリーに出てきた箇所が載っているので、ミステリーを思い描きながら観光ができる
  • そんなに厚くない本なのでさらっと読め読みやすい
  • 新書版なので携帯しやすい(京都にも持っていきやすい) 
  • 巻末に簡単な地図とリストが載っているので、この本を持って京都をまわることができる

 

 

心に残った点・役に立った点

山村美紗のミステリーを読んでいたのは、10代の終わりから20代位だろうか。

新刊が出るたびに、必ず購入していた。

殺人シーンが苦手でミステリーも読むのを避けていたが、山村美紗のミステリーは毒々しくなく読みやすく、ミステリーに親しむきっかけをくれた作家。

 

この著書に出てくる山村美紗のタイトルも読んだ覚えがあるものばかりで、

何だか懐かしい。

 

女性が書いたミステリーだからか、出てくる女性が華やかで女性らしい(その当時流行っていた綺麗な色のスーツやワンピースを着て帽子をかぶっているイメージ)。

グループ交際も度々出てきたような印象。

 

綺麗な恰好をして、京都で美味しいものを男女で食べて、という日本の景気がまだ良かった頃の名残がある。

 

哲学の小径を知ったのも、山村美紗のミステリー。

 

私のような方は、他に沢山いるのではないでしょうか?

 

【おすすめ本16】『女優の箪笥』を以前このブログでご紹介したが、

その中にも山村紅葉さんが出ておられ、母と着物の事を語っていらっしゃったが、

着物って、母と娘の関係に深くかかわっていたりして興味深かった。

 

この本でも、山村紅葉さんから見た 母 山村美紗さんの事が書かれている。

 

女王 山村美紗さんが母というのは、色々プレッシャーもおありだったろうし、山村美紗さんはほとんど褒めなかったという事だったので、娘であることはなかなか大変な部分もあったかもしれないと想像する。

 

だが、山村紅葉さんはとても賢い女性なのですね。

この本を読むと、ちゃんとお母さまの思いを理解なさっている事がわかる。

そんな事が伝わってくる本。

 

そんなふうにして、母の想い出を整理できたといういう意味でも、この本を書いてほんとうによかったと思っています。

 その過程で、私自身がいかに京都を愛しているかということにも、あらためて気づくことができました。その京都愛は、間違いなく、母から受け継いだもの。母はお祭りや季節のイベントに家族や親戚中で繰り出すのが大好きで、子どもの頃の私は、そのたびごとに人込みで迷子になっていました。私もお祭りは好きでしたが、正直、「なぜそこまでして?」と不思議でした。

 今ならわかります。母は娘の私に、深い愛情をもって、ことあるごとに、京都のよさを教えてくれていたのだと。

 

『京都ミステリーの現場にご一緒しましょ』おわりに より引用 

 

生前は、とても華やかだった山村美紗さんだが、山村紅葉さんが2時間ドラマに出続けられるように、ミステリーを書き続けていたという話は有名だ。

 

母と娘の関係。

どこの家にも、それぞれにドラマがあるものですよね。

 

コロナ過がおさまった折には、この本を片手に母と娘で京都を旅するのも良いかもしれないですね。

 

 

 

 


  

【おすすめ本21】お母さん、年末、実家に帰らなければダメですか? 心屋仁之助 ※ブログ卒業との事

『お母さん、年末、実家に帰らなければダメですか?』心屋仁之助 廣済堂出版

 

お正月があけて数日経ちましたね。

 

みなさん、タイトルにドキッとした人も多いのでは?(私もです)

 

娘とお母さん。

近くて遠い存在。

 

以前、実家に帰るのが憂鬱だった。

「お母さんの友達はみんな孫がいるのにお母さんだけいない」

とか、

「いつまでも一人だと老後孤独だよ」

とか、いつも自分の体裁や周りとの比較、良かれと思って言っているのだけどこちらにはプレッシャーにしか感じない言葉。

 

そういう言葉が辛いのと親に対する罪悪感。

 

実家に帰りたくないけど、帰ってみると案外楽しい。

実家から帰る時に見送る両親に

「実家に帰りたくないなんて思ってごめんね」

と感じる罪悪感。

 

なんだか、辛かったなぁー。

思い出すと今でもちょっと胸が痛む。

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 実家に帰省するのが憂鬱な人
  • お母さんとの関係に悩む人
  • もっと楽に生きたい人
  • お母さんと仲が良くても息苦しく感じている人
  • お母さんといるのが辛いのに仲良くしなくちゃいけないと思っている人
  • お母さんにもっと優しくしたいのにできない人

 

 

 

 

作者紹介

心屋仁之助 こころやじんのすけ

 

心理カウンセラー。兵庫県生まれ。

大手企業の管理職として働いていたが家族や自分の問題をきっかけに心理療法を学び始める。

それが原点となり、心理カウンセラーとして「自分の性格を変えることで問題を解決する」という「自分の性格を変えることで問題を解決する」という「性格リフォーム」心理カウンセラーとして活動。

現在は京都を拠点として、全国各地でセミナーや講演活動、カウンセリングスクールを運営。

その独自の「言ってみる」カウンセリングスタイルは、テレビ番組を通じて全国に知られることとなり、たったお数分で心が楽になり、現実まで変わると評判。現在、個人カウンセリングは行っていないが、スクール卒業生により全国各地で心屋流心理学のセミナーやボランティアでのグループカウンセリングが広く展開されている。(以下略)

 

『お母さん、年末、実家に帰らなければダメですか?』より引用

 

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • 「親孝行しなければ」という呪縛から解放される
  • 自分の「感謝」が本物か?を考えるきっかけになる
  • 避けてきたお母さん問題と向き合う事ができる
  • 自分の気持ちが「常識から来ているものか」考える事ができる

 

 

 

 

心に残った点・役に立った点

 

本に書いてあることに抵抗がある部分を考える

 

実家に帰りたいか、帰りたくないか。実家に帰るのがイヤか、イヤじゃないか。

すごくシンプルな話だよ。

 

 

 

まず、大抵の人は既にこの部分に抵抗を感じるのでは?と思う(もちろん私も)

 

親の事を嫌だと思うこと自体、親不孝とか、罪悪感を感じるから。

だから、実家に帰らないという選択も無かった。

 

一度、帰省しなかった時は、母が何度も電話してきてその度に申し訳なく思う一方、私の事可愛がっていないのに、なんで帰省しろっていうんだろ?って思っていた。

 

その時は、母はしぶしぶ帰省しないのを了承したが、

私の罪悪感はのちのちまで残った。

 

嫌われることに罪はないように、嫌うことにも罪はないの。

だから、「嫌いだから、嫌い」でいいのよ。

人のことは嫌っていいんだよ。

 

嫌いだから、嫌いでいいって、なかなかねー。

他人を嫌うのはまだわかる。

でも肉親を嫌うっていうのは、ダメだってずっと思ってきた。

いやぁ、嫌っていいって抵抗あるよねー。

 

でも、この本に感じる「自分が抵抗を感じる部分」に鍵があるのかもしれない。

 

 

 

相手は、あなたの鏡。

「私を理解して」と思うなら、相手もそう思っているということ

 

これにはハッ!とさせられた。

 

中学・高校の時、

「両親はなんでわかってくれないんだろう?」

と、苦しんで悩んだ。

 

だけど、私も理解しようとしていなかった!

 

こんなことに、何十年もたってから気が付いたー。

いやぁ、驚き。

 

その時は、両親は大人で自分はまだ10代。

だから、両親が私を理解するべき!と思っていた。

大人は子供を守るもの、だから理解しようとするのは当たり前。

なんで、親は一方的に怒ってしかるばかりで、世間体ばかり気にしてこんなに私を苦しめるのだろう?と思っていた。

そして、理解してくれない両親(特に母親)を恨んだ。

 

そして、いつの間にか愛されない理由を自分で拾い集めて、決めつけてさらに思い込んでますます母を恨んでいった。

 

 

自分はどうせ愛されない存在、人の役に立てない存在、親の期待に応えられない存在、大切にされない存在、迷惑な存在、だから私はダメなんだ・・・。そういう気持ちを抱えて、お母さんはおばあちゃんを見て生きてきたの。

(中略)

「愛されない私」という前提を持っている人は「ほら、やっぱり私は愛されていないのね!」って証明するものがほしいわけ。

 

『お母さん、年末、実家に帰らなければダメですか?』第3章 もしかして私、愛されてない? より引用

 

 

いやぁ、こうして書いていても胸が痛む。

 

色んな課程を経て、今では母親に対する恨みはなくなった。

でも、「親の期待に応えられない存在」という言葉には胸がうずく。

 

まだ、私はそこに罪悪感が残っているという事。

 

 

 

だってさっきから、さんざんお母さんの文句を言っていたよね~。「産んでくれてありがとう、育ててくれてありがとう」って言いながら、文句ばかり言っていよね~?

 

「文句が出るってことは、感謝してないってことなの。」

 

 

 

感謝には「Do感謝」と「Be感謝」があるそうだ。

 

ありがとうと言っていたほうがいい、言わなければという感謝は「Do感謝」

感謝せずにはいられない、心からわいてくる感謝は「Be感謝」

 

「Be感謝」ができる自分になるためには、自分を認める事が先。

 

この本は、母親を嫌いって思う事でも実家に帰省しなくてもいいという事が主題ではなく、まず自分を認める。

その事により、お母さんや他人を認められるようになるということ。

 

びっくりするような本のタイトル、抵抗ある本の一部分だけを切り取るのではなく、最終的にはそこを正確に理解することが大事。

 

逆に、そこを理解できなければこの本はただの「トンデモ本」に感じてしまうかもしれない。

 

ただ、お母さんに対し何か感じる人は読んでみると良いかも。

 

自分を認め、大事にする。

もう若くは無い私でも、この部分は未だに難しい。

でも、まずはそこから!

 

 

 

 
  

 

 

 

【おすすめ本20】脳を最適化すれば能力は2倍になる 樺沢紫苑 【仕事の精度と速度をあげる】

『脳を最適化すれば能力は2倍になる』 樺沢紫苑  文響社

 

 

メラトニンを出して熟睡し、午前中からセロトニンを活性化する。

昼はアドレナリン全開でバリバリ働き、夜はアドレナリンをオフにしてリラックス。仕事も頑張り、休みもしっかりとって、さらに明日も100%頑張れる健康な生活習慣です。

 

『脳を最適化すれば能力は2倍になる』さいごに より引用

 

 こんな生活がしたくて手に取った本。

 

以前、樺沢先生の本を読んで、

午前中は「論理的」で「決断力」を要する仕事

という事を知り、「セロトニン」や「ドーパミン」などの「アミン」が優位となる午前中に、後に回しがちな「ちょっとめんどくさい」と思える仕事を、うむを言わさず手を付けたらはかどったという経験がある。

 

それで、より詳しく書かれているこちらの本をご紹介!

 

 

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この本をおすすめしたい人

 

  • 午前と午後でどんな仕事を割り振ったほうが効率が良いのか知りたい人
  • 脳の機能を引き出すことにより仕事を変えたい人
  • 従来の精神論では仕事のやり方が変わらなかった人
  • メラトニン」「ドーパミン」「アセチルコリン」などの脳内物質がどうかかわっているのかを知りたい人
  • 論理的・科学的な根拠を基にした仕事術が知りたい人

 

 

 

作者紹介

樺沢紫苑 (かばさわしおん)

 

精神科医、作家。

1965年札幌生まれ。札幌医科大学医学部卒業。

2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。

帰国後、(株)樺沢心理学研究所を設立。

Facebook、メルマガ、YouTubeなど40万人のインターネットメディアで精神医学、心理学をわかりやすく伝えている。

毎日更新しているYouTube精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」は、再生回数400万回を越える人気チャンネルになっている。

2015年に発売した『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)は、年間ビジネス書ランキング第10位、15万部のベストセラーとなった。

仕事術の勉強会「樺沢塾 精神科医の仕事術」(会員数600名)を主宰。

もっと楽に、効率的に働ける仕事術を教えている。

 

『脳を最適化すれば能力は2倍になる』より引用

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • 同氏の本、 『脳内物質仕事術』を詳しくした内容
  • エンドルフィン仕事術がより具体的で面白い
  • この本に書いてある事を実行すると結果的に鬱の予防、健康につながる
  • 時間で追い込む「ウルトラマン仕事術」、ゲーム感覚で楽しむ「ドラクエ仕事術」など、わかりやすく説明しようとする作者の努力で、すんなりイメージできる

 

 

フロントエンドエンジニアになりたい人の Webプログラミング入門

 

心に残った点・役に立った点

 

ドーパミン仕事術

 

ドーパミンが分泌している状態=「わくわく」「どきどき」

 

宝くじを買うという行為を例にすると、ドーパミンが分泌されるのは2回。

「宝くじを買った時」「宝くじが当たった時」

 

これを仕事に活かすなら、

「しっかりと目標を設定しそれに向かって努力・工夫」

「目標そのものを達成」

 

このサイクルをまわすためには、「目標を立てる習慣」を作る事。

ただし、目標が大きすぎるのは×(将来の大きな夢、10年後の自分の姿等)

 

目標を達成した自分をイメージする。

 

意識的に、できるだけ明確にイメージ。

目標達成した自分をイメージしている時に、どれだけわくわく、どきどきできるのかによってドーパミンの分泌量が変わる。

それに合わせて、目標の成功確率も変わる。

 

 

よく、自己啓発やスピリチュアル系の本にもイメージが大事とか、イメージをして引き寄せみたいな事が書いてあるが、それを読んでもいまひとつピンとこなかった(何となくご都合主義に感じられた)

 

だが、この本を読んでドーパミンが分泌されるという根拠を知り、なるほど!と目から鱗が落ちる思い。

 

 

楽しみながら実行する

 

楽しみながらやることによって、ドーパミンが出る。

資格試験なども楽しみながらやることによって「明日も勉強しよう!」という気持ちになる。

 

何となく、「楽しみながらやる」のは、甘いとか、駄目だと思っていたことに気が付いた。

辛くてもきちんとやらなければいけない、勉強や仕事は辛いけどそれをやることによって成長する、、、といった思い込みがあった。

修行のように考えていたけど、楽しむ事によって成果も出るのか!

 

 

アセチルコリン仕事術

時間帯によって向いている仕事は異なっている

 

【午前中】

「論理的」で「決断力」を要する仕事

 

【午後と夜】

「想像力」と「創造力」を求められる仕事

 

午前中に、集中力を要する仕事をするようになってから、仕事の効率が上がった経験をしたことは最初に書いたが、午後は想像力と創造力を使う仕事に向いている事は知らなかった。

 

みなさんも、夜は想像力と創造力が増す事に思い当たるのでは?

(好きな人にメールやLINEを送る時、夜の方が感情豊かというか大げさな事を書いたりして次の日の朝、あちゃーと思う事など)

 

これには理由があって、夜や深夜は「論理思考の縛り」が弱まるとともに、アセチルコリンが出やすくなるので「創造的な活動」に向いた状態になるそうなのだ。

 

午後や夜は、クリエイティブな作業にあてると良いとのこと。

映画を見るというのもそうなのだそうだ。

 

確かに映画は午前中に見るよりも、夜に観た方が共感力があがり印象深く観られるような気もする。

 

この本を読んで、私も午前と午後で仕事の仕方を変えてみようという気になった。

 

 

エンドルフィン休息術

 

癒し物質、エンドルフィンはアルファ波を出せば分泌を促す事ができる。

 

アルファ波は、

  • クラシック音楽を聴いているとき
  • 好きな音楽を聴いているとき
  • 川のせせらぎを耳にするとき
  • 海や紅葉といったキレイな風景を見たとき
  • 大好きなおいしい物を食べた時
  • 風が心地よいとき
  • キンモクセイなどのアロマのいい香りをかいだとき

(以下略)

などに出るとの事。

 

アルファ波というと音楽のイメージだったので、

この事を知ったのはためになった。

 

風が心地よい時、綺麗な風景を見た時、せせらぎを耳にするときなどという事は、家の中にいるだけではなく、積極的に外に出て自然の中に身を置く事でエンドルフィン分泌につながるという事。

 

家の中にずっといると、何となく息がつまりストレスを感じてくるのは、こういうわけがあったのかー。

そういえば、海の波音を聴くと気持ちが解放されるのは、エンドルフィンが分泌されていたのかも。

 

やはり、仕事の効率を上げたり脳を最適化するには、メリハリが大事なんだなぁ。

そしてバランスも大事。

 

それぞれの脳内物質を促す食べ物が本書に書いてあったが、サプリメントで取るのは効果が実証されていないと書いてあった。

こちらも私には役に立った。

やはり食事も大事。

 

能力を上げるという事は、食事も改善され、生活の質も上がり、うつの予防にもなるという事。

 

「仕事をバリバリこなし」「心と身体の健康」を手に入れたい人に、是非お勧め本です!

 

 

 


  

 

 

 

 

【おすすめ本19】わたしが正義について語るなら やなせたかし 【アンパンマンの勇気 弟】

年末年始は新しい年が始まりにふさわしい、心に残る本を読みたかったのでこの本を選んだ。

 

年末、年始とゆっくり少しずつ味わいながら読んだ。

途中、何度か胸に刺さったり、以前だったら何とも思わない箇所で涙ぐんだりした。

 

私の読書が、この本で2020年を終え、新しい年をこの本 で迎えられて良かった。

 

私のように、アンパンマンの事をそれほど知らない人にも(にこそ!)読んで欲しいなと思ったので、2021年最初にご紹介する本はこちらを!

 

 

『わたしが正義について語るなら』やなせたかし ポプラ社

 

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この本をおすすめしたい人

 

作者紹介

やなせたかし

 

1919年高知生まれ。

東京高等工芸学校(現千葉大学)工芸図案化卒業。

漫画家をめざしながら、三越宣伝部にグラフィックデザイナーとして勤務し、その後、舞台美術、作詞、放送作家など多方面で活躍する。

1973年、月刊誌「詩とメルヘン」(サンリオ)を創刊、責任編集を担当。

また同年、「キンダーブック」に「あんぱんまん」を初めて掲載、以後アンパンマンとその他多数の絵本を出版。

1988年、「それいけ!アンパンマン」の放映が日本テレビ系列で開始されると、爆発的な人気を得、現在に至る。

「やさしいライオン」をはじめ著書も多数。

また、作詞家としての代表作には「手のひらを太陽に」があり、アンパンマンの主題歌や挿入歌の作詞・作曲も手がけた。

2013年10月死去。

 

ポプラ新書 『私が正義について語るなら』より引用

 

 

この本のおすすめポイント

  • やなせたかしさんの生い立ち、その後の人生が作品に深く影響を与えていることがわかる
  • 母の再婚で孤独を感じていたという経験、第二の父母に育てらたという辛い時期(自殺しようとした事もあるという)があったという事を知り、より作品やアンパンマンの持つ意味が理解できるようになる
  • 巻末にある「著者からのメッセージ 僕はこんな本に影響を受けてきた」が載っている
  • アンパンマンに込められた意味、他のキャラクターに込められた意味、ばいきんまんの誕生の秘密などを通して、作者の思いを知ることができる
  • アンパンマンのマーチにある「愛と勇気だけが友達さ」は闘う時は友達を巻き込んではいけない、自分ひとりだと思わなくてはいけない、などやなせたかしさんの深い意図をしる事ができる
  • 正義とは、幸せとはを深く考える事ができる
  • 158ページの新書版なので、持ち運びしやすく気軽に読める

 

 

 

心に残った点・役に立った点

 

最初にアンパンマンを認めたのは3歳~5歳の子供達

 

 

 私は、東北大震災の被災者だ。

震災の後に、アンパンマンのマーチが震災後の応援歌のようにネット上でいろんなところで取り上げられていた。

その時に初めて、アンパンマンのマーチの歌詞を読んだが、

子供を持つ親では無かったので、子供や子供を持つ人用なんだろうなぁなんて思ってそれほどピンと来なかった(なんていうか、被災でそこまで余裕が無かったのかもしれない)

 

だが、今は本当に大尊敬している方。

 

最初に、やなせたかしさんの事をすごいなぁ!と思ったのは、

アンパンマンが自分の顔を食べさせるという事を知った時。

 

人を助けるという事は、自己犠牲も伴うということをきちんと、それも子供の世界で教えていたからだ。

 

この顔を食べさせるという事は、最初はとても不評だったとの事。

 

やなせたかしさんが54歳の時に絵本『やさしいライオン』を書いたら好評で、2冊目を書いて欲しいといわれて書いたのが『あんぱんまん』。

 

 

 

 

砂漠で疲れて動けなくなった人のところへアンパンマンがやってきて、自分の顔を食べさせる。

主人公はあまりかわいらしくなく、マントもボロボロ。

 

結果、本は大悪評。

大人には特にだめで、出版社の人に「やなせさん、こんな本はこれ一冊にしてください」と言われたそうだ。

幼稚園の先生からは「顔を食べさせるなんて残酷」と苦情が来たそう。

絵本の評論家にも、こんなくだらない絵本は図書館に置くべきではないと酷評された。

 

だけど、顔を食べさせてしまって顔がないアンパンマンが空を飛ぶところを書きたかったのだそうだ。

 

顔が無い=無名

 

顔パスという言葉があるけれど、普通の人は無名。顔は知られていない。

顔を失ってしまったアンパンマンは、エネルギーを失って失速するが、その部分を書きたかったと。

 

その五年後、近所のカメラ屋にフィルムを出しにいったやなせたかしさんが、店の主人に自分の子供がアンパンマンが好きだと教えられる。

 

それが最初の予兆になり、次第に似たような話を聞くようになって行ったとの事(幼稚園や保育園で人気が出ていつも貸し出し中になるとか)

 

アンパンマンを最初に認めたのは、まだ文字もあまり読めない3歳~5歳の子供達。

 

子供だから、権威ある人の意見も関係なく、先入観なしにアンパンマンを認めた。

 

この事でより

「正義とは何か。傷つくことなしに正義は行えない」

というメッセージをしっかり込めるようにしたそうだ。

 

自分の子供の頃の事を考えると、大人は、子供をなめているのではないか?と思う。

子供にはこういうのでしょ!っていう決めつけを感じるというか。

 

子供は子供なりの感性で色んなものを受け入れていく力がある。

そして、子供は案外残酷なのである(虫の羽をむしったり)

 

子供には、綺麗なものや物事の良い面だけを見せておけばよいという感じで作られたものも多い(と子供の頃感じていたし、そういうものは退屈で大人はこういうのを与えておけばよいと思っているんだなーと子供の頃、思ったことがある)

 

 まっすぐ、子供に伝えようと思って作ったものなら、子供は子供なりに受け止められるものなのかもしれない。

 

やなせたかしという生き方

80歳からは作曲を初めて、84歳でCDを発売して歌手デビュー。年に数回はコンサートをやっていましたから、どうも我ながらヘンですね。奇妙な事になりました。

(中略)

人生の楽しみの中で最大最高のものは、やはり人を喜ばせることでしょう。

すべての芸術、すべての文化は人を喜ばせたいということが原点で、喜ばせごっこをしながら原則的には愛別離苦、さよならだけの寂しげな人生をごまかしながら生きているんですね。

 ぼくの本を読む人、テレビを見たりコンサートに来る人には、心の底から楽しんでほしい。この世の惨苦、終わらない戦争、血まみれの惨劇、嘘つきの政治家、金権体質、すべてをぼくは憎悪するけれども、怒るよりも笑いたい。ひとときすべてを忘れていたい。

人生なんて夢だけど、夢の中にも夢はある。

悪夢より楽しい夢がいい。すべての人に優しくして、最後は焼き場の薄けむり。誰でもみんな同じだから焦ってみても仕方がない。そう思っています。

 

『わたしが正義について語るなら』第4章 ぼくが考える未来のこと より引用

 

この文に、やなせたかしさんの真髄があると思う。

 

以前、何かでやなせたかしさんのエッセーを読んだことがあるが、

本当に色んなご病気を抱えていたようだ。

 

そんな事をおくびに出さず、人を喜ばせるために色んな事をなさっていたという事だ。

 

この本にある、生い立ちを書いたところに、

なぜ頼まれていたのか、自分では分かりません。小さい頃から相変わらずの生意気でルックスが悪く、人見知りで不器用、才能も薄くて絵が下手だったぼくですが、なぜかいつもどこからともなく不思議な人物が現れて、仕事の注文をしてはぼくを助けてくれました。

 

『わたしが正義について語るなら』 どうして正義をこう考えるようになったのか より引用

 

ご自分のルックス や才能について、本の中には何回か書いてあり、読んでいてちょっと胸が痛くなった。

でも、それがやなせたかしさんの優しさにもなったのかも知れない。

 

 
正義の味方

戦争が終わって、アメリカのスーパーマンスパイダーマン、いろんなヒーローがいっぱい出てきました。正義の味方だといって、どんどん人気が出た。ところが彼らは、飢えた人を助けに行くとか、そういうことは全然やらないのですね。

(中略)

それからスーパーマンはやたら派手派手しい服を着てニューヨークを飛び回っています。その姿が変に思えたんだよね。餓えた子どもには何もやらないで自分のことだけアピールするコマーシャルみたい。

 

『わたしが正義について語るなら』 正義の味方って本当にかっこいい?より引用

 

やなせたかしさんは、兵隊として戦争に行って泥の中を這いずり回ったり、野戦銃砲隊という部隊で大砲に一番大きな弾丸を込めて持って歩いていたから大変な重労働だったけど、耐えられなかったのは食べるものがないという事だったと、本の中で語っている。

 

そんな体験をしたからこそ、スーパーマンに違和感を感じるのかもしれない。

アメリカは戦争中でも餓えたりしていないし、戦争を体験した世代でも日本とはヒーロー像が違うのかも。

 

正義はある日突然逆転する。

逆転しない正義は献身と愛です。

それは言葉としては難しいかもしれないけれど、例えばもしも目の前で餓えている人がいれば一切れのパンを差し出すこと。それは戦争から戻った後、ぼくの基本的な考えの中心になりました。

 

『わたしが正義について語るなら』正義の味方って本当にかっこいい? より引用

 

正義は、時代と価値観によっても変わる。

普段の生活の中で人を殺したら犯罪だが、戦争の中ではヒーローになったりするよね。

 

 

やなせたかしさんは、こう続ける。

戦争だって、両方とも光と陰があって絶対的な悪があるのではない。

アラブにはアラブの正義、イスラエルにはイスラエルの正義がある。

相手をやっつければいいかというとそうはいかない。

そんな簡単なものじゃない。

 

と。

本当にそうだ。

すぱっと分けられるものでは無いよね。

絶対的な悪があるのではないと考える事、光と陰が両方にあると考える事は大事だなぁと思う。

これは俯瞰した視点を持つことでもあるなぁと思った。

 

アンパンマンをテレビで子供と見たり、絵本を読んだりした子供が大きくなって一緒にこういう事を話せる親は素敵だなぁと思う。

 

だから、色んな人に読んで欲しい本。

とてもおすすめです。