辛い時にはいつも本があった

辛い時にはいつも本があった

辛い時、苦しい時、悲しい時に書店に行くといつもその時の気持ちにぴったりの本との出会いがありました。

【おすすめ本79】『洋服で得する人損する人の服の着方』霜鳥まき子 40歳からの正しいおしゃれ

『40歳からの正しいおしゃれ 洋服で得する人損する人の服の着方』

霜鳥まき子

2017年 大和書房 発行

 

電車に乗っていると、

同じような服でも着こなしによって素敵に見えたり、そうでなかったりするのがよく分かる。

サイズがあっていない人も多い。

 

そういえば、新卒で会社に入った時の同期がお金持ちの娘で、スーツを買う時に必ずお直ししてフィットするようにしていた。

新卒でも5万円くらいのスーツをお直しして自分にあうラインで着るのだから、いつもスーツを誉められていたなぁ、その彼女。

 

だから、洋服はフィット感がとても大事。

 

そんな事を思い出させてくれる本なので、ご紹介。

 

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この本をおすすめしたい人

  • 服の着方だけでなく服のお手入れ方法が知りたい人
  • スカートやパンツ、ジャケットなどの試着する際のポイントが知りたい人
  • 40歳を超えて、洋服の着方がわからなくなってきた人
  • アイテムを選ぶときのコツが知りたい人
  • ジャケットやパンツなどのベーシックアイテムの着こなし方法が知りたい人

 

作者紹介

霜鳥まき子(しもとりまきこ)

 

パーソナルスタイリスト。

株式会社シモトリパーソナルスタイリングオフィス代表。

青山学院大学英文科卒業後、日本航空国際線CAとして10年間勤める。

海外で経験したパーソナルショッパーという職業を通し、もっと人の人生に携わることができる仕事に就きたいと、政近準子氏に師事。

2013年独立。約1万人のパーソナルスタイリングを通して、クライアントの人生そのものに寄り添ってきた。コーディネイトだけにとどまらず、クローゼットチェックからショッピング同行、美容院同行でトータルプロデュースを行っている。品格がありながらもいきいきとした大人の女性に生まれ変わるスタイルングが定評で、テレビ、雑誌などでも活躍。(以下略)

 

『洋服で得する人損する人の服の着方』より引用

 

 

この本のおすすめポイント

  • カーディガンならば「肩幅が広い人」「肩幅が狭い人」などの選び方がわかる
  • 試着の際のチェックポイントがわかる
  • ストールやベルトのアレンジ術が載っている
  • 服の手入れのポイントがわかる
  • 40歳以上にターゲットをしぼっているのでその年代の人の服の選び方がわかる

 

心に残った点・役に立った点

ジャケット

ジャケットの袖からのシャツ袖の見せ方など意識していない部分。

男性は、スーツの袖からワイシャツの袖が1~1.5cm見えるのが良しとされているそうだが、女性の場合はインナーの袖が見えないほうが美しいそうだ。

 

これはたしかに!

 

男性のスーツは、シャツの袖が出ていないとかっこ悪く見えるし、

袖を出すのは知っていたが、女性の場合は見えないほうが良いのねぇ。

 

私は寒い時期に薄手のタートルをスーツの下に着たりするが、

その袖が覗いたりしていた。これって美しくない事だったのね。

勉強になるなあ。

 

ジャケットに合うシャツ選びなども参考になった。

 

「ジャケットはサイズ感で決まる」の項目では、

肩幅、ラペル、後ろ身頃などのサイズ感が載っているし、

脇のシワやたすきジワなどシワのでき方で、どの部分がサイズが合わないかも書いてあるので、試着する際の参考になる。

 

ジャケットのポケットデザインによって、どういう印象に見えるか、

袖口の切り込みあり、切り込みなしできちんと感はどうなのかなど、

普段はあまり気にしていないディティールの説明もなるほどーと思った。

 

この本のこのあたりは、仕事でスーツを着る女性におすすめポイント。

 

スニーカー選びでおしゃれ度がわかる

40歳以上になると、スニーカー選びも難しくなるかも。

 

この本では、エレガント、スポーティーで例が載っている。

 

特にスポーツ系のスニーカーは注意しないと足元だけにボリュームが出たりしてなかなか難しい。

だから、スポーツ系のスニーカーはスリムパンツや筒型のワンピース、ロングスカートと合わせてとの事。

 

ベルト(ひとまず着けてみる、乗せてみる!)

ベルト、最近使っていなかったなぁー。

クローゼットに沢山下がっているベルト。

 

この本にもベルトが苦手な人が本当に多いと書かれているが、

苦手というより持っていても使わない、コーディネートを考える時にベルトをつけるという意識が無い。

 

だが、この本のベルトのページをみると、

ベルトの効果を改めて感じた。

 

ベルトを付けるだけで、ウエストマークされスッキリ見えている(載っている写真が)

 

ジャケットの上に細めのベルトを巻いている例も、

実際にしたことが無いのでやってみたいと思うコーディネート。

カットソーにもベルトをしていいんだーという意識の変化もあったしなかなかためになった。

 

大人女性のたしなみ、万能パール

この本の良いところは、

パールなどの定番で普遍的なアイテムの選び方、購入の仕方が載っているところ。

(肌によって色選びが違うなども)

 

パールは黒真珠と白を両親からのプレゼントで持っているけど、

ケースに入れっぱなしで使っていない。

 

おおよその目安は10万~20万との事。

この価格帯でピンとくるものを持てばよいのだそう。

 

パールのお手入れ法も載っていて、乾いた布で拭くのは知っていたが、

汚れがひどくなった場合は宝飾店やデパートの貴金属売り場でクリーニングしてもらえることは知らなかった。

この情報はありがたかった。(そうそう汚れないけど、知っているだけで安心)

 

40歳を過ぎたらお直しでセミオーダー

この本を読んで「なるほど!」と思ったのが、

女性もスーツをオーダーという点。

 

主人はそう高価なスーツでも無いが、

デパートでセミオーダーしているので体に合うサイズ感だからか、

上司などにスーツを誉められることがあるようだ。

 

なんとなくスーツのオーダーって、男性のものと思っているが

たしかに女性もオーダーってありだなぁと。

 

女性スーツブランドは激減しているそうで、

量販店かハイブランドが多く、中間のショップがないそうだ。

それならむしろ、オーダーのスーツということらしい。

 

自分の体にフィットしたものをつくるだけで、

着ていて軽く、肩や腰、膝周りに負担を感じないのがオーダースーツ。

 

最近は店も増えて、リーズナブルになったそう。

 

これは良いかも。

 

今後、選択肢の一つにしていこうと思う。

(スーツの肩周りの堅苦しさが無くなりそう)

 

試着の大事さ、着こなしの大事さがわかる本。

おすすめです。

 

 

 

 

【おすすめ本78】『ORIGNALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』アダム・グラント

『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』

アダム・グラント著 シェリル・サンドバーグ解説 楠木建監訳

2016年 三笠書房

 

 

『「与える人」こそ成功する時代』が24カ国以上で翻訳・ベストセラーになったアダム・グラント氏の本。

 

『「与える人」こそ成功する時代』がとても良かったので、

ワクワクしながら読み始めた。

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 「オリジナルな人」になりたいがどうしていいかわからない人
  • 自分の人生に変化を与えたい人
  • まわりを巻き込む説得力が欲しい人
  • チャンスを最大化するタイミングが知りたい人
  • 「オリジナルな人」の例を知りたい人

 

作者紹介

アダム・グラント(Adam Grant)

ペンシルベニア大学ウォートン校教授。組織心理学者。

1981年生まれ。

同大学史上最年少の終身教授。

『世界でもっとも優秀な40歳以下の教授40人』、世界でもっとも重要なビジネス思想家50人(「THINKERS50」)のうち一人に選ばれるなど、受賞歴多数。

「グーグル」「ディズニー・ピクサー」「ゴールドマンサックス」「国際連合」などの一流企業や組織で、コンサルティングおよび講演活動も精力的に行う。

デビュー作『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代』(三笠書房)は31カ国語で翻訳され、全世界で大ベストセラーに。

続く本作も『ニューヨーク・タイムズ』誌でビジネス書の売上第1位、アマゾンUSでも第1位(企業文化)を獲得している。

 

楠木 建(くすのき・けん)

一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)教授。経営学者。

1964年東京生まれ。専門は競争とイノベーション。著書に本格的な経営書として異例の大ヒットとなった『ストーリーとしての競争戦略』のほか、『「好き嫌い」と経営『好き嫌い』と才能』(以上、東洋経済新報社)、『戦略読書日記』(プレジデント社)、『経営センスの論理』(新潮新書)、『好きなようにしてください』(ダイヤモンド社)など、ベストセラー多数。

 

『ORIGNALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』より引用

 

この本のおすすめポイント

  • 「オリジナルな人」は特別ではなく誰でも「オリジナルな人」になれる事が書いてある
  • 起業の成功体験が書いてあり学術的な説明がなされている
  • 生まれながらの天才も努力によって成功した事例が載っているので興味深く読める
  • 「賢者は時を待ち、愚者は先を急ぐ」驚くことに先延ばしの効果が書かれている
  • あくまでも研究者の視点で書かれているので説得力がある

 

 

心に残った点・役に立った点

「今、使っているネットブラウザ」からわかること

経済学者のマイケル・ハウスマンが、顧客サービス係の勤務が長く続く人とそうでない人がいるのはなぜか解明するプロジェクトを指揮。

 

銀行や航空会社、携帯電話会社で、顧客に電話対応をする3万人以上の従業員のデータを入手、雇用履歴を見れば仕事への取り組み方がわかるのではないかと考えた。

 

今まで職を転々としてきた人はすぐやめてしまうのではないかと思ったが、実際はそうではなかった。

(過去5年に5つの職についた従業員と、同じ職を5年間続けている従業員を比較しても、離職率に差はみられなかった)

 

ハウスマンは、従業員が職に応募するときにどのブラウザでログインしたかという情報を入手していたことに気が付き、思いついて解析。

 

ファイアフォックスまたはクロームを使っていた従業員は、インターネットエクスプローラーまたはサファリを使っていた従業員よりも15%長く勤務していた。

 

ハウスマンは偶然だろうと、同じ方法で欠勤率を分析してみると、同様のパターン。

 

研究チームは、売上、顧客満足度、平均通話に関して300万件近いユーザーは売上が高く、通話時間が短かく、顧客満足度も高かった。

 

食についてから90日のうちに、インターネットエクスプローラーまたはサファリのユーザーが120日かかった顧客満足度に到達していた。

 

職に定着し、欠勤が少なく、業績も高かったのはブラウザそのものが原因ではなく、ブラウザの好みからうかがい知れる、習慣が要因との事。

 

重要なのは、ブラウザを「どのように」入手したか。

パソコンの場合、ウィンドウズにはインターネットエクスプローラーがあらかじめインストールされている。

マックならばインストールされている。

顧客サービス係のおよそ3分の2があらかじめ組み込まれたブラウザを使っており、もっとよいものがあるかという疑問をもたなかった。

ファイアフォックス、クロームを入手するには、少しだけ頭を使い別のブラウザをダウンロードしなけらばならない。

みずから行動を起こして、よりよい選択肢がないかを探し求めるという自発的な行為が、どれほど小さいとしても職場での行動を決定づけるヒントになるとの事。

 

 

これを読んでとてもおもしろく感じた。

そしてかなり納得。

 

マニュアル通りに会話を進め、苦情に対しても決まった手順で対応していた。

業務内容を固定したものととらえるため、仕事に不満を感じると欠勤するようになり、離職する。

 

ファイアフォックスまたはクロームにブラウザを変更した従業員は、商品を売ったり顧客の疑問点に対応したりする新しい方法を常に探し、気に入らない状況があればそれを修正していたそうだ。

 

要するに、自発的に環境を改善していくので、離職する理由が無い。

だが、こういう人たちは例外なのだそうだ。

 

これを読み、自分のことを振り返ってみた。

 

職場で新しい方法を常に探し、自発的に環境を改善していっていただろうか?

 

・・・・教えられた事をそのままやっているだけだなぁと。

 

人間関係が良好なら職場環境は良いと思えるが、それ以外の工夫は全くしていないと気がついた。

 

因みに私が使っているブラウザはクロームと、フェンリルsleipnir(すごく好きで長年使っている)。

 

 

「起業家」=「リスクを負う人」?

 

「起業家」を意味する「アントレプレナー(Entrepreneu)」という言葉は、経済思想家のリチャード・カンティロンによる造語だそうだが、原義は「リスクを負う人」との事。

 

この本で取り上げられているワービー・パーカー(メガネのオンライン販売会社)への投資を作者は断ったそうだが、その後大成功。

 

投資を断った理由

  1. 4人共学生(生活の全ての時間を投入していない)
  2. 4人の焦点が噛み合っていないため、ウェブサイトも準備されていない。4人が納得する社名をつけるだけでも6ヶ月もかかっている
  3. 卒業後も全時間を投入して会社に専念する気はなく、卒業後の就職先の内定をもらっている(選択肢を残している)

 

「真剣さがなく、入れ込みようが足りないんじゃないか?全力投入せずに無難なところを狙いすぎて、失敗する運命にあるのでは?」

と疑問をいだき、投資の話は断ったのだそうだ。

 

確かにこの状況をみると、中途半端に思えてほとんどの人が投資を断っただろうと思う。

 

だが、実際はそういう姿勢で望んだからこそ成功したのだそうだ。

 

この本は「オリジナル」ということに焦点をあてているが、

オリジナリティには徹底的にリスクを冒すことが必要だという通説をくつがえし、オリジナルな人たちは私達が思うよりもずっと普通の人たちなのだということをあらわしている点が良い。

 

起業なんて、リスクを冒す勇気がある人こそ成功するという思い込みがあったので、

この本はその点でも面白い。

 

「若き天才」と「経験豊富なエキスパート」

若くないとオリジナリティは湧き出ないと思われている。

 

だが、オリジナリティがピークに達する時期とその持続時間は、個人の思考スタイルにかかっているのだそうだ。

(だから早咲きの人と遅咲きの人がいる)

 

イノベーションには2つのスタイルがある。

「概念的イノベーション」と「実験的イノベーション」だ。

 

概念的イノベーターは、大胆なアイディアを思い描いてそれを実行に移すタイプ(短距離走社)

 

実験的イノベーターは、試行錯誤を繰り返して問題解決を行いながら学び、進化を遂げていく。

あらかじめ計画するのではなく、進めていく中で解決策を見出していく、というのが実験的イノベーター(マラソン走者)

 

シカゴ大学の経済学教授ディビッド・ガレンソンがノーベル賞を受賞した経済学者を調べたところ、概念的イノベーターは偉業を平均43歳で成し遂げている一方、実験的イノベーターは平均61歳だった。

 

有名な詩人たちのもっとも増刷を重ねている詩を分析してみたら、概念的イノベーターは傑作を28歳の時に書いていたのに対し、実験的イノベーターは39歳。

 

ノーベル賞受賞歴をもつ物理学者を一人ひとり調べた別の研究では、30歳未満の若き天才のうちのちょうど半数が、理論的研究を行った概念的イノベーター。

一方、45歳以上の老練のうち、92%は実験的研究をしていたそう。

 

概念的イノベーターは、ある分野にはじめて触れてからさほど時間が経たないうちに重要な貢献を果たすので、問題への一定のアプローチ法が定着してしまうと、オリジナリティが低下していくのだそうだ(アインシュタインの問題もそこにあったそうだ)

 

反対に、実験的なイノベーションは、必要な知識とスキルの蓄積に何年も何年もかかるが、オリジナリティの源泉としてより長続きする。

(過去のアイディアを何度も繰り返し使うのではなく、実験によってつねに新たなアイデアを見つけていく)

 

年齢を重ねてもオリジナリティを維持し、専門知識を蓄積していきたいなら、実験的アプローチをするのが良いということ。

(あらかじめ計画せず、あいまいなアイディアや解決法を試していく)

 

つまりマラソンを完走する忍耐でゆっくりと着実に経験を積むことによってオリジナリティを維持していくことができるということは一般の人にも希望につながりそう。

 

 

  • 他にも「誰と組むか」が勝敗を決める パワフルな結束をつくる人の見分け方
  • 「はみ出す人」こそ時代をつくる

 

など、面白く興味深いテーマが沢山。

おすすめです!

 

 

 

 

【おすすめ本77】『地図でスッと頭に入る戦国時代』武将トーナメント付き

『地図でスッと頭に入る戦国時代』

監修 大和田哲男

2020年 昭文社発行

 

豊富な絵(地図や戦国武将のイラスト)で、

手にとったら読みたくなるのがこの本。

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 戦国時代を違う視点からみてみたい人
  • 戦国時代の戦略を地図で確認したい人
  • 戦国時代に詳しくない人
  • 戦国武将について気軽に知りたい人

 

監修者紹介

小和田哲男(おわだてつお)

 

1944年、静岡生まれ。

早稲田大学大学院文学部研究科博士課程終了。

文学博士。

現在、静岡大学名誉教授。

公益大残法人日本城郭協会理事長。

専門は日本中世史。

著書に『家訓で読む戦国 組織論から人生哲学まで』(NHK出版)、『戦国武将の生き方死にざま』(新人物往来社)、『明智光秀・秀満 ときハあめが下しる五月哉』(ミネルヴァ書房)など多数。

 

『地図でスッと頭に入る戦国時代』

 

この本のおすすめポイント

  • ひとつの戦略が見開き1ページにまとまっている
  • 地図が豊富で目で楽しめる
  • 武将ごとの戦略地図になっている
  • 地図上での各戦国武将の動きを目で追える
  • 説明が簡潔で戦国時代に疎い人もとっつきやすい
  • 武将トーナメント表がとにかく面白い

 

心に残った点・役に立った点

武将トーナメント表

この本を開いて最初に目にするのは、

戦国大名 天下取りトーナメント!」

 

まず、これに目を引かれる。

 

戦国時代の武将を高校野球のように、

トーナメント表にしてあるのだ。

 

それぞれの武将に誰もが自分なりのイメージを持っている(と思う)

(強いとか弱いとかも含め)

 

戦国時代の武将はキャラクターで捉えがちだが、

このトーナメント表をみると、誰が強かったのかが一目瞭然。

 

そして、戦いの流れもわかる。

 

これはとてもおもしろい企画。

 

「勝ち抜きレースでわかる戦国時代」

というサブタイトルがついている通り、とてもわかりやすい。

 

うはぁ!

すごい!さすが!

 

と、思わず声をあげてしまった戦国武将がいたが、

これから読む人のためにそれは伏せておきます。

(でも大体わかるだろうけど。何がすごいって戦いの期間が短くてまたたく間にトーナメントをかけあがっているように見えるのだ)

 

トーナメント表をみると、

自分の記憶の中にあるイメージとちょっと違う部分もあって、

それも面白かった。

 

群雄割拠の時代

戦国時代というと、

織田信長などのスターが出てきてからの事を目にすることが多い。

 

だから、この第一章 群雄割拠の時代は興味深く読めた。

 

太田道灌の活躍、朝倉孝景の自立、北条早雲駿河入り。

 

斎藤道三の戦略地図も載っているが、

斎藤道三というと信長に娘を嫁がせたイメージの方が大きかったので、

信長の父、信秀とも2度ほど戦っており勝利している事、

美濃の土岐頼武、頼純、頼芸を一網打尽にせず、策略で勝利するなど

戦い方を知れたのはためになった。

 

今川義元織田信長との桶狭間の戦いで有名だが、

武田・北条との戦いに終止符を打ち、

駿府を中心に今川文化が花開いたこともあり

”海道一の弓取り”と称えられたことも知り、まさに全盛期を築いた事も知った。

 

 

第二章 織田信長の時代

 

以前、笠原真樹氏のマンガ『群青戦記』を読んだ。

面白いが、悲しい場面も多いし、ヒリヒリするマンガ。

 

その『群青戦記』に出てくる織田信長たるや。

 

もう、覇王という言葉がぴったり。

そして、グロテスクなまでに恐ろしく書かれている。

 

この本では第二章がほぼ織田信長関連。

 

やはり、織田信長は戦国時代のスターなのだなぁ。

 

第二章を読みすすめていくと、

戦いを通して、信長の人生が浮かび上がってくる。

 

信長に滅ぼされた戦国大名たちも

素晴らしい戦国大名なのだとわかる。

(戦国時代なのだから領土を保って生き残っているだけですごい)、

だからこそ、ほろ苦い。

 

織田信長は時代を駆け抜けていったのだなぁ。

 

歴史のタラレバは禁物というが、

織田信長が天下統一した後の日本をみてみたかった。

 

第三章 天下人の時代

第三章は、本能寺の変の後から始まる。

 

第三章のはじめのページに、

本能寺の変勃発直後の情勢」の地図が載っている。

 

これをみると、その時の勢力がひと目で分かる。

 

中部~畿内織田信長の勢力、

四国は長宗我部、

中国は毛利、

九州は島津なのがひとめでわかる。

 

面白いのは、今の栃木あたりから青森はまだ群雄割拠で、

大きな勢力に制圧されていないのがわかる。

 

伊達政宗は山形の米沢出身なので、米沢あたりも伊達家になっている。

 

関が原の戦いは天下分け目といわれるだけあって、

地図で戦略をみるととてもわかりやすい。

 

この三章で興味深いのは、

豊臣秀吉朝鮮出兵の戦略地図が載っていること。

 

ここには、

この文禄・慶長の役には別の意味があったのではないかと書かれている。

(その内容はどうぞ本を手にとってみてください)

 

加藤清正の進路、小西行長の進路も地図に書かれている。

 

全126ページと薄めの本だが、なかなかおもしろい。

 

おすすめです。

 

 

 
 
 

 

【おすすめ本76】『渋谷ではたらく社長の告白』サイバーエージェント 藤田晋

『渋谷ではたらく社長の告白』

藤田晋

2005年発行 株式会社アメーバブックス 

 

 

私の父は、学生時代麻雀をかなりしたらしい。

 

麻雀の話はそれほど聞いたことがないが、

他の人にはろくでも無い内容でも、私は面白く聞けた。

(ちなみに父は雀鬼の桜井の本も持っていて「考え方が商売に役に立った」と言っている笑)

 

父の事があるかどうかはわからないが、

学生時代、ちょっとぐらいろくでも無いことを体験した人の方がなんと無く好きで親近感を持つ。

 

この本の著者、藤田晋さんは

私の中では”麻雀が強い人”。

 

IT業界にいるのに、

(今どき)麻雀が好きな人。

(麻雀は私の子供の頃にくらべ廃れたように思うので)

 

そのギャップで、何故か好感を持っていたので、

興味を持って手にとった本。

(2005年とだいぶ古い本だが)

 

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この本をおすすめしたい人

 

この本のおすすめポイント

  • なぜだか仕事のモチベーションが上がる
  • 自分の意志ならハードに働くことが決して悪いことではないと思える
  • 純粋に面白くてページを捲る手がとまらない
  • 営業系のIT企業の社長の目で書かれた本(プログラマー出身ではない)

 

心に残った点・役に立った点

 

人間関係の間で

この本は、人間関係においてもかなり赤裸々にかかれている。

 

起業する時に裏切ってしまった人(まだ24歳!)、

結果的に切り捨てていった人たち。

 

若き日のホリエモンもちょこっと出てくる。

 

そして、楽天三木谷社長と藤田さんのつながりは有名だが、

もちろんその事も書かれている。

 

やっぱり、今も昔も会社も仕事も人間同士の関係でできているんだなぁと、

思わせられる。

 

あの時代の熱く濃厚な人たちが書かれている。

 

 

学生時代からスタートは始まっていた

 

驚いたのは、大学生時代に”スーツを着る仕事”のアルバイトを始めたこと。

それもかなりハードに。

 

卒業したくない、

社会に出て仕事をする事に漠然と不安を感じていた私にとっては、

かなり驚き。

 

そうか。

抜きん出ている人っていうのは、

学生時代からスタートを切っているのだ。

 

就職も流されるまま決めた私にとっては、

ある種の羨望を感じる。

 

要するに、学生時代から

既に仕事にハマっていたそうなのだ。

 

ハマるほど仕事をしたことがあるのか?

思わず自問自答。

 

生活の殆ど、

意識の殆ど、

与えられた時間の殆どを使って仕事をすれば、

それは自ずと結果もついてくるだろう。

 

自分の意志で、したくてする事が仕事。

 

ハードに働く事は、

今の時代問題に思われるだろうが、

それだけ情熱を傾けられることが羨ましい。

 

仕事は一日の時間の大半を費やす事なわけで、

お金のためだけではなく、こんな風に自分のありったけを傾けられたら。

 

毎日が成長しそう。

 

そして、それをできる”若さ”というものが羨ましくもなる。

 

 

サイバーエージェントはこうして成長した

 

彼が奥菜恵さんと結婚した時は、

いかにも(その時彼は六本木ヒルズに住んでいたわけではないがヒルズ族とか言われていた)だなぁーと正直思った。

 

だが、その前に

自社の株で辛酸を嘗めていた事は知らなかった。

 

ネットバブルの崩壊は私自身、あまり体感が無かった。

その当時、パソコン関係の仕事をしていたのに(IT関係では無かった)

 

だから、この本を読んで

そうだったのかーと。

 

この本で書かれている情景はかなり辛い。

だが、読む側は今のサイバーエージェントを知っているから、

「あー、大変なこともあったんだなぁー。」という気持ちで読める。

ハッピーエンドを知っていて読めるのだ。

 

ちなみに、

「渋谷ではたらく社長のいち日」という本の最後の方にある章では、

奥菜恵さんと朝くつろぐ写真が載っている。

 

離婚するまでの1年ちょっとの短い間に出された本だったのねー。

 

物語としても面白く、

起業する際のリアルな体験記にもなっている。

 

自分にとって仕事とはも考えさせられた。

 

だいぶ前の本だけど、おすすめの本です。

 

 

 

 

 

 

【おすすめ本75】『上を向いて生きる』宮本亞門 がんは命の勲章

『上を向いて生きる』

宮本亞門

2020年 幻冬舎発行

 

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この本をおすすめしたい人

  • コロナ禍で気持ちがウツウツとしている人
  • 自分もしくはご家族ががんの人
  • 老いを感じて憂鬱な人
  • 両親に葛藤を持っている人

 

この本のおすすめポイント

  • 辛い人みんなを応援する内容なので、気持ちが明るくなる
  • 前立腺がんについてかなりオープンにしている(普通の人ならいいにくいことも)
  • 生きることが辛い、生きる価値が無いと思ってきた著者だから語れる事なので心が温かくなる
  • コロナ禍から立ち上がろう!というメッセージがこめられている

 

心に残った点・役に立った点

上を向いて歩こう」プロジェクト

この本を読んで始めて、

2020年4月、宮本氏がYouTube上で「上を向いて歩こう」を歌い紡ぐプロジェクトを立ち上げたことを知った。

 

そのきっかけになったのは、

2020年2月に氏がニューヨークに滞在していた時、

行きつけのレストランでアジア人だけで固めた端の方の席に案内されたことだそうだ。

コロナによる分断を感じた瞬間。

 

舞台が次々と中止になり、

なんのために舞台を作っているのか改めて考えるようになったとのこと。

 

ミュージカルは、勇気と希望を与えることが役目なら、

できることは無いかと考えたのがそのプロジェクトだったそう。

 

事務所を通さず、直接電話で無償で歌うことを交渉。

これは芸能界のルール違反。

「無償はありえません」と断られたり、

「こういうことをさせたかったんです」

と喜んでくれたりとマネージャーの反応はバラバラだったとのこと。

 

だから、このプロジェクトで歌っている人たちは

みんな無償で歌っている人達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辛い時期や、悩んでいる時期は、

頑張れ!頑張れ!(だって頑張っているのにね)

ポジティブに!ポジティブに!ネガティブはダメ!(ネガティブがあるからポジティブもあるのに)

というような曲よりは、

上を向いて歩こう」のような、曲のほうが心に響くんだなぁーと。

この曲は、人によって受けてとり方や感じ方が違ったりするだろうし、ぴったりの曲なんだね。

 

 

立ち止まるきっかけ

コロナウィルスで現れてきたように見えるように見える問題も、

もともとあった問題がそれぞれの国ではっきりしてきた結果と、この本で宮本氏は言う。

 

演劇界でも、日本の演劇人は、

自分たちの仕事の環境をあまり話をしてこなかったそう。

組合も少なく、舞台は初日のギリギリまで絶対仕上げなきゃと徹夜して開けてきた。

 

外国人スタッフは、

「この国は信じられない」「全員が怒鳴ることなく、黙々と休まずに働いている」

と驚くのだそう。

全員がボロボロになりながら、こんなに短時間で作らなければならない舞台は世界中で日本だけなのだそうだ。

 

コロナウィルスは、そういう誰も止めることができなかった現状にブレーキをかけてくれたと。

 

 これまで、早く、安く、儲けることが主軸となっており、「ああでもない、こうでもない」と、皆でブレインストーミングする時間もなかった。今後の未来や、社会における意味合いなどについて話す時間もありませんでした。

 

 ですから、アーティストに対する補償金の少なさなども、新型コロナウィルスによって膿が出た、と言えるのだと思います。新型コロナウィルスによって生じた、今回の巨大なブレーキ。これは、演劇界だけでなく、全ての分野においても、縦割りではなく、横に繋がることの大切さを、教えてくれているのだと思うのです。

 

『上を向いて生きる』より引用

 

そう言えば、バレエの熊川哲也氏はロイヤル・バレエ団で活躍されたが、

海外は代役が必ずいる、だが日本は代役なしでやるので怪我をしても無理して出演しなくてはならない。

当然ながらベストなパフォーマンスではないし、体にもものすごく負担がかかると言っていた。

 

人に無理させて(時には切り捨てて)創り上げる風習(一般の会社もそう)が、日本は強すぎてそれを美化したり美談にしたりしてごまかしてきたが、苦しまなくても良いようにシステムを変えていく時期に来ているのかもしれない。

 

歴史を知らない人は歴史を繰り返す

 

 私達人類が誕生してから、何度も私たちは大きなサイクルを繰り返し経験してきました。例えば約200年前も、1833年に冷害や長雨の異常気象で大飢饉に。そのペール艦隊が強制的に日本を開国。翌年には、東海沖でマグニチュード8.4の大地震。その翌年には江戸で直下型大地震が置き、死者多数。そして数年後、外国人が持ってきたコレラが大流行し、江戸でも10万人近くが死亡。その時のデマによる虐殺のため、治安維持法が成立して、1929年に世界大恐慌が訪れます。

 (中略)

 恐れずに言うならば、森羅万象すべては、崩壊させられることで、次に進化してきたのですから。

 でも、大丈夫。私たちには、自分たちのみを守るためにそれを乗り越えてきたDNAがあります。不安な時はDNAのアンテナを張って、五感、六感もフル回転させ、直感と予感を大事にしてください。

 あと数年すれば「あの時があったから、変われたんだね」と微笑んで話せる時が必ず来ます。新たに訪れる時代のためにも、温故知新の気持ちで歴史を知り、あなたのDNAのアンテナを張って、心穏やかに心身を守ってください。

 

『上を向いて生きる』より引用

 

これを読んでひとつの気付きがあった。

 

私が存在しているということは、

上記引用の時代にも、私の先祖は生き残ってきたということ。

 

大飢饉にも、コレラにも、そして戦争にも。

(私の両方の祖父は戦争に行っている)

 

私が知っている先祖は、祖父祖母あたりまでだが、

顔も知らぬ私の先祖たちが生き残ってくれたから私がいるんだなぁと。

 

私の知らない先祖たちに感謝がわいてきて、

自分でも説明できない気持ちになった。

 

乗り越えてきたDNAがある。

私の中にも、主人にも。

義父の事を考えるとイライラすることもおおかったが、

義父だけではなく、その両親や先祖がいなかったら主人もいなかったんだなぁ。

 

 

あなたにも。

 

考えれば当たり前の事なんだけど、

この気付きは私にとって大きかった。

 

がんになって感謝を知る

 

 不安と恐怖はあなたの心が暴走して作った虚の世界。

 

『上を向いて生きる』より引用

 

 

この一文を読んで思い出したのは、ミシガン大学研究チームの調査。

 

「心配事の80%は起こらない」という結果がわかり、

残り20%のうち、16%は準備をしていれば対応可能なこと。

だから、この一文にはとても納得し、心にしみた。

今不安な人は、この一文が心に響くのではないだろう。

 

この本の中で、

宮本氏は前立腺がんのことをかなりオープンに話している。

こんな事までばらしていいの?

イメージとか大丈夫なの?

という心配をしてしまうほど。

 

前立腺生殖器なので、オープンに表で語られることもそう無いわけで。

 

語り辛い部分があるかもしれないのにとも思うが、

伝えられることは伝えていこうと思っているとのこと。

 

その部分が宮本氏が人間としてかなり大きくなって、日々成長し、

自分の伝えられるものを沢山の人に伝えたいという気持ちが伝わって来た。

 

この本の中で、

がんの事が語られているのは、ごく一部だが、

がんの人やご家族の人にも読んで欲しい内容だと思った。

 

「生きる」とは

 ミュージカル『生きる』は、

2018年に初演し、2020年再演。

 

私はこの本を読むまで、

ミュージカル『生きる』の事は知らなかったのだが、

まず黒澤映画をミュージカルにするということに驚いた。

 

映画『生きる』は、ものすごく好きという映画ではないが、

(なんと言っても『七人の侍』が全てにおいて最高に感じる)

とても心に残る映画。

 

 

 

PVを観たが、これ観たかったなぁーと悔しく思った。

コロナ禍は、本当に沢山の人の心の栄養を奪っていった。

(必要不可欠ではないかもしれないが、本や映画、舞台などが生きていく勇気を与えてくれることもあるし、実際に死を思いとどまられせて人の命を救うこともある。コロナ禍でいらないものと切り捨てられるのは残念だった)

 

 

 

鹿賀丈史さん、いいですね。

同じ劇団四季出身の市村正親さんとのダブルキャスト

 

私は何故か、若い時から「この俳優さんいいなぁー。」と思う男優の方は

決まって歌って踊れる方。

 

山口祐一郎さんは、20年くらい前のNHKドラマ

『昨日の敵は今日の友』で、お風呂で気持ちよさそうに歌っているのをみて、なんてのびのび歌うんだろう!とファンになった。

飄々としたように見えるところもいい。

 

 

 

あと、子供の頃は村井國夫さんのファンだった。

(声と佇まいが子供ながらにも好きだった)

 

そうか。

この本のテーマも「生きる」という事なのかも。

 

沢山の経験をして(生と死も)60歳過ぎたからこそ書ける内容。

 

 弱気になった時、宣言してください。

 生きて!生きて!上を向いて生きる!

 

 

『上を向いて生きる』より引用

 

おすすめです!

 

 

【おすすめ本74】『写真とイラストでわかる 大正時代をのぞいてみよう』

『写真とイラストでわかる 大正時代をのぞいてみよう』

編著:『大正時代をのぞいてみよう』編集委員会

株式会社汐文社

2021年1月 発行

 

 

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今回は絵本。

 

大人も楽しめる内容なので、お子さんと一緒にどうぞ。

 

 

この本をおすすめしたい人

  • 大正時代をお子さんと一緒に知りたい人
  • 鬼滅の刃で大正時代に興味がわいた人
  • お子さんに楽しんで100年前の日本を知ってもらいたい人

 

この本のおすすめポイント

  • 写真やイラストが豊富
  • 大正時代の暮らしだけではなく、ファッション、文化、戦争や災害などの歴史分野も書いてある
  • 大正時代が自分の認識よりはるかに進んでいて驚く

 

 

 

心に残った点・役に立った点

 
アニメとこの本

 

よくよく見ると、表紙に炭治郎の羽織の柄なのに、

ふふふ(笑)となった。

 

今秋、アニメの『大正オトメ御伽噺』を見始めたが、

この本に載っていた風景が何度も出てきてびっくり!

(デパートとか)

 

おかげで、より楽しめている。

 

マンガ『ゴールデンカムイ』は、

明治時代なのでこの本の世界よりも前なのかーと思うと

文化面、歴史面などを見るにつけ感慨深くなった。

 

 

大正時代ってどんな時代?

 

大正時代は今から約100年前の時代です。

100年前なんて、すごく昔のような気がします。

でも、100年前の子どもたちもチョコレートやキャラメルを食べたり、カルピスを飲んだり、キックスケーターのようなおもちゃで遊んだりしていたんです。

休みの日には映画を見たり、カフェでお茶を飲んだりしてすごしていました。

今と似ているような気がしますね。

でも、ちょっとずつちがうんです。

チョコレートやキャラメルは、デパートで売っているような高級なおかしでした。映画には音がありませんでした。電気やガスが整いはじめましたが、まだまだ炭を使って料理をしたり、部屋を暖めたりしていました。

今と似ているようでちがう大正時代。どんな時代なのかのぞいてみましょう。

 

『写真とイラストでわかる 大正時代をのぞいてみよう』から引用

 

まず、本を開いて表紙カバー裏にあるこの文に驚き!

 

そうか、100年前というと私の子供の頃は明治時代だったイメージなので(いつも夏目漱石が思い浮かぶ)、それから年月が経ち現在から100年前は大正時代になったんだなぁーと。

 

チョコレートもキャラメルもカルピスも昭和のイメージ。

でも既に大正時代にあったし、キックスケーターもあったなんて。

 

この驚きのまま、好奇心がむくむくわいて、

楽しくこの本を眺めることができた。

 

 

大正時代に既にあった!

この頃に既にあったものは、驚きの連続。

 

最先端の高級住宅では、

なんと水洗トイレもあったのだそうだ!

(もちろん和式)

その水洗トイレは棚などもあって、まるで小さな和室みたい。

 

え!そうなの!と思ったのは、

「カラスのちょっとかしこくなる話」のコラムの中にあった、

”シャーペン誕生!”

 

大正4年に、日本初の国産シャープペンシルが誕生。

早川金属工業の早川徳次さんが発明とのこと。

 

ちなみに、早川金属工業の今の会社名は、シャープ

 

だからか!

と、シャープという会社名とシャープペンシルが結びついた。

 

もちろん、金属工業会社なのでシャープペンシルの軸は金属製。

 

面白いなぁ。

 

 

大正時代の建物

 

東京駅は、大正3年に建てられたそうで、

この本の写真をみても、本当に圧倒的な存在感。

そして、とてもきれい。

 

そして、東京駅の向かいに建てられた丸ビルの写真をみて、

のけぞるほど驚いた。

 

当時、日本最大のビルで、低層階は店舗、上層階はオフィスビルとなっていて、複合ビルの先がけだったそうだ。

 

写真をみると、とても巨大。

 

大正時代すごい。

 

この写真を主人に見せたら、

「今の丸ビルと形が同じだ!!」

と主人も驚いていた。

 

えー!形はちがうでしょ!

と思ったら、今の丸ビルの下の部分が

大正時代の丸ビルと同じデザインになっているのね。

 

今の丸ビルを設計するときに、

この大正時代に出来た丸ビルのデザインを残したんだなぁとわかる。

おつなことをするなぁと感心。

 

他にも、東大の大講堂なども大正時代。

 

大正時代にあった高い建築物は、

「東京凌雲閣」「大阪通天閣」など。

 

東京凌雲閣は、明治23年に建てられたレンガ造りで、

日本初のエレベーターがあったそう。

 

大正12年の関東大震災で倒れてしまったようで、残念。

 

そういえば、この間みた『大正オトメ御伽話』にも、

東京凌雲閣が背景にあって「あっ!!」と思って面白かった。

 

 

自由と平等、歴史

 

この本は絵本だが、

大正デモクラシー治安維持法普通選挙法、

女性解放運動などの事も書いてある。

 

なかなか内容も高度で、

全国水平社やロシア革命で日本の米が値上がりしたことなども書かれており、

のちのち歴史の教科書で学ぶこともちゃんとわかりやすく説明してある。

 

子ども用だからと子どもの世界だけではなく、

きちんと、世相や歴史を学べるようになっている点がとても良い。

 

おすすめです!!

 

 

【おすすめ本73】『ルックバック』藤本タツキ ジャンプコミックス 『チェンソーマン』作者

『ルックバック』

藤本タツキ 

ジャンプコミックス 株式会社集英社 2021年9月発行

 

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ジャンプ+ 史上最多閲覧 読み切り作品

 

実家に行った時、

弟が差し出してきたのがこのマンガ。

貸すから読んでみてということ。

 

チェンソーマンの名前は知っているが、この作者の作品は読んだことが無かった。

 

パラパラと中身をみたら、

これは読んで悲しい思いをするかも、とすぐには読めなかった。

 

で、すぐ読んだ主人は、

「(義理の)弟は、京アニの事件の事、心に残っているんだねー。」

と言った。

 

そう言えば、私の弟は京アニが好きだ。

(日常系のものが好きなんだそうだ)

私は『聲の形』しか見たことがないが、この映画は大好き。

(でも個人的には結末とか過程とかを考えるとマンガの方が好きでおすすめだけど)

 

弟は絵を書くのが好きでインスタなどに載せていたりするので、

京アニの事というよりも

創造すること、描くことについての共感を強く感じて私におすすめしたのかなぁと今は思う。

 

この本をおすすめしたい人

  • マンガ、絵、イラスト、デザインなど何らかの創作活動をしている人
  • 心に残るマンガを読みたい人
  • 今中学生や高校生の真っ只中の人
  • ひきこもりの人
  • 喪失感を感じている人

 

この本のおすすめポイント

  • 心に何か残る(何かの内容は人それぞれだと思う)
  • 描くということ、何かを創るという事の熱量を感じる
  • 自分の中にある、気が付かなかった小さなエゴや喪失感が浮上したりするのでそれを感じることができた(私は)

 

心に残った点・役に立った点

 

引っかき傷

 

最初は、このマンガの絵にウェットなものを感じてちょっと怯んだ。

悲しい思いはしたくない。

 

だから、子供の頃から悲しいアニメなどは嫌いだった。

フランダースの犬』とかね。

(何故か小説などは平気)

 

このマンガは弟から手渡されたので、返す前に読まなくちゃとギリギリになって読んだ。

 

そしたら、

すごく心に残った。

今でも何だか考えてしまう。

 

でもいいのだ。

本やマンガや映画には、何か心に残るものを期待する。

それが、心に引っかき傷を残すものでも。

後に何も残らないものも多いから。

 

そしてこのマンガは私の心のなかに、しっかりと引っかき傷を残してくれた。

 

しばらくは残りそう。

 

こんな私の心に消えないものを残してくれる作品が好きだ。

 

ルックバック

マンガのタイトルは、最初に表紙を見た時は、

漫画を書いている後ろ姿の事なんだなぁと思った。

 

だが、最後まで読んでみると、

いくつかの意味が込められていることがわかる。

(読んだ後に「そっかー、そっかー。」と思う)

 

そういや、むかーし読んだ森瑤子のエッセイに、

小説家になりたかったお父様が(小説の賞の佳作だかには入ったことがあるような事を書かれていたが失念)、小説を書いている後ろ姿に壮絶なものを感じたことを書いていた。

 

その時に、創作する事は内側をえぐるような事で、

孤独な事なんだという事を感じた。

 

このマンガの表紙の後ろ姿は小学生の主人公。

 

マンガの中にも、後ろ姿が嫌というほど描かれている。

それで季節がすぎたのとかがわかったりもする。

 

このマンガに出てくる2人は、

マンガや絵を描くことがもはや好きなことを超えて、自分になっている。

描くことが自分という感じで同化している。

 

それほどの事に出会えるなんて、

私のようにその時々で流されてきたものはうらやましくもある。

 

もくもくとした後ろ姿にエネルギーを感じる。

何という熱量。

 

お互いがお互いの後ろ姿をみながら歩んできたのだなぁとも思う。

 

可愛そうだと思う。

喪失感も感じる。

 

だが、可愛そう、悲しい、そんな気持ちの中に、

温かいものも心に流れる(それが何かはわからない)

 

96ページから123ページまでの内容は、

最初に読んだ時は悲しさしか感じなかったが、

2回目からは「そうかー」と束の間ふわっとした気分にもなった。

 

1回目に読むときと、

2回めに読む時では感じ方が違う人もいるかもしれない。

(だんだん色んな事を感じられるようになるというか)

 

 

このマンガは、

小説でも、映画でも表現できない内容ではないかと思う。

 

マンガでこそ表現できたものだと思う。

 

だから、これがマンガで良かった!

 

おすすめです!

 

 

10月23日追記

 

この本を貸してくれた弟と、

この本の内容についてLINEでやりとりした。

 

私が、京アニとこの本の事などを問いかけたあとの、

その中の弟の一文。

 

(ネタバレ含むので、ここから先は読んだ人だけ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頑張ってきた人が頑張ってない人に殺されるのが辛いと思った。

京アニの事件と全く一緒」