岩本貴久・訳 フォレスト出版
相手の何かが神経に障るときは、自己の内面を見つめ、まさに同じ性質が自分にもあると知るーしかも同じくらい存在すると気づくーよい機会です。
『心を知る技術』第1章 人間関係にまつわる10の神話より引用
この鏡の法則のような内容にはっ!とさせられて、興味を惹かれたドクター・ジョン・F・ディマティーニ。
これが、なかなか面白い本だったのでご紹介。
この本をおすすめしたい人
- 人間関係にまつわる思い込みを外したい人
- ディマティーニメソッドを体験してみたい人
- 人間関係に悩んでいる人
- 綿密なワークを行える人
- 自分を変えたい人
作者紹介
人間行動学のスペシャリスト、教育者、作家。
人間行動学と自己啓発の分野で世界的な権威として知られ、全世界2000万部のベストセラー『ザ・シークレット』でも、人生の達人(マスター)の一人として登場し、”現代の哲人”として紹介されている。彼が創設したDematini Instituteは人間教育のための複数の分野を抱える72のカリキュラムを提唱する調査教育機関。
39年間にも及ぶ調査研究の結果完成したメソッド「ディマティーニ・メソッド」と「ディマティーニ・バリュー・ディターミネーション」は、これまで世界各国の人間教育プログラムに採用されている。
著書は40冊以上にのぼり、28の言語に翻訳されている。
それ以外に50タイトル以上のCD/DVDプログラムを開発。その分野は多岐にわたり、人生の7つの領域「お金」「身体と健康」「メンタル」「仕事」「スピリチュアル」「家族」そして「人間関係でリーダーシップとエンパワーメント」の実現をサポートする優れたプログラムとして、世界中の多くの人に支持されている。
『心を知る技術』より引用
この本のおすすめポイント
- 「価値観を知る12の質問」で自分が何に価値を高く置いているかを知ることができる
- 自分が価値を高く置いているものを知る事で、不安がある領域を知る事が出来る
- 夫婦など価値観が合わない部分を相手の価値観を知る事ですりあわせていくことができる
- 自分の中の光と陰の性質を統合し、自分の中に認めていないものを愛することができる
- 憤りを感じている相手を対象にメソッドを行う事でその相手に対する憤りを失くすことができる
心に残った点・役に立った点
価値観を他人に押し付けるのではなく、整合(リンク)する
人は無意識のうちに、自分の価値観を相手に投影して自分の価値観を反映したモラルや倫理に従う事を期待する。
しかし、こうした期待を持つことこそが、失望や裏切りを引き起こす原因にあるとディマティーニ博士は言う。
自分の価値観と相手の上位5つの価値観をリストアップして、それらをリンクさせる。
このリンクが結びつくほど、相手との相違点や問題を解決したり、より深い親しみと連帯感を持ったりする事ができる。
この価値観のリンクのエクササイズが載っているが、面倒でもやってみると効果が。
ディマティーニ博士の経験だと、
男性のおよそ75%は、知性やお金、仕事を重視するが、
女性のおよそ75%は、家族、人間関係、身体/健康に注目する傾向があるとのこと。
この男女の間でどの価値観を重視するかの違いを知り、
リンクさせることができれば夫婦や男女の間もうまく行く(そういう例が載っています)
7つの領域 価値観の優先順位
第3章 バリュー・ディターミネーション 価値観の優先順位の中に、
7つの領域(スピリチュアル、知性、仕事、お金、家族、人間関係、身体/健康)でそれぞれの領域ごとに12の言葉をあげてあるのだが、それに優先順位をつけていくという作業をやってみた。
これが、なかなか面白い結果になったのだ。
自分で、思っていた自分の中で価値観が高いと思えたものが意外にも低かったり、自分の事なんて案外わかっていないものなんだなぁと。
例えば。
[仕事]
インスピレーション:より高い目的や衝動に従う。
自己主導:自分の目標を定める。好きなことをする。仕事に関する夢を実現する。
独立:自己依存、自給自足。
野心:大望を抱き、懸命に働き、目標を達成する。
リーダーシップ:人々を鼓舞し、生産力を増す。
成長:顧客、取引先、出席者、患者の質と量を増す。
クオリティー:より良いサービスを顧客に提供する。
優秀:専門にする技術を極める。卓越した、唯一の存在であろうとする。
責務:決断と行動の結果を受け入れる。
力量:もっと有能で、能率的で、効果的な仕事をする。
プロ意識:行動と外見についての指針を忠実に守る。
責任:素直。従順。義務を果たす。頼もしく、信頼できる。
この12の項目に優先順位をつけていく。
私は、
1.自己主導
2.野心
3.リーダーシップ
4.成長
(以下略)
という結果に。
これには自分で意外でびっくり(え?野心?とか)。
だがよくよく過去の働き方を考えると、なるほどこの順位そのもの。
1と3に目標という言葉が入っているが、
営業の仕事でも目標の数字は全然プレッシャーに思った事はなく、
むしろ達成する楽しさがあった。
ただ、そこを追い求め過ぎて過労になりバーンアウトした経験も何回かある。
この、目標を定め、懸命に働き達成するという部分を仕事の価値観の上位に位置付けていたからなんだなぁと(その時は気が付かなかった)
この価値観を優先させたことにより、得たものもあるし失ったものもある。
やはり、ディマティーニ博士がいうように、バランスでできているんだなぁと。
主人にも、仕事についての価値観に順位を考えてもらった。
そしたら1位が、クオリティーだった。
私たち夫婦は二人とも営業(私は営業と事務処理半々位)だが、
同じ営業でも仕事に対する価値観が違うのだなあと(まぁ当たり前かもしれないが)
主人は、自分が売るもののクオリティーをとても大事にしていることがわかった。
だから、主人は転職するならその部分(その会社が提供するもののクオリティー)を優先して会社を探した方が、賃金や肩書などを優先するよりも充実した営業活動ができるのだなぁと気が付いた。
こういう事は、私にとって大きな気づきとなった。
価値観の優先順位なんて大抵同じだろうと思っていたし。
人の価値観は、変わっていくから定期的にメソッドをする必要があるとのこと。
ディマティーニメソッドは、面倒に感じる部分も多い。
ディマティーニ・メソッドA面をやってみたが、わかりにくいところも多かった。
翻訳本ならではの表現というか(多分、もとの英語の部分も難しい表現なんだろうとは思うけど)。
きっと、セミナー向けの内容なんだと思う。
そうは言っても、やってみる価値はある。
特に
第9章 悲しみと喪失を乗り越える方法
は素晴らしいと思う。
悲しみと喪失を乗り越えるメソッドは、辛い(喪失感が残っている状態で質問に答えなければならないので)。
だけど、物の味方のバランスを保つことで、喪失面だけにフォーカスする認識を変えることができるかもしれない。
おすすめ本です。
(2012年発行の本なので、巻末についている無料特典は既に古いものとなっています)
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