『幸福のレッスン』 鴻上尚史 大和書房
この本は、多くの自己啓発本のように「これが幸福だ」とか「幸福とは気の持ちようだ」とか「幸福とは感謝だ」とか、結論をあなたに伝えるものではありません。
「私は何を幸福と感じるのか?」という質問に、あなたが明確に答えられるように手助けをする本なのです。
この質問に確信をもって答えられたら、「あなたは幸福ですか?」という質問にも答えられます。
そして「幸せになるためにどうしたらいいか」という次のステップも見えてくると思うのです。
『幸福のレッスン』幸福のレッスンを始める前に より引用
この部分が、この本の趣旨であろう。
アドバイスではあるが、この本のレッスンを読んで自分で思考する事が大事。
今回はこの本をご紹介。
この本をおすすめしたい人
- 自分は何を幸福と感じるのかを考えたい人
- 自分の幸福は自分で決めたい!という人
- 一般的な価値観に縛られたくない人
- 同調圧力で辛い人
- 今苦しんでいる人
作者紹介
鴻上尚史 こうかみ・しょうじ
在学中に劇団「第三舞台」を結成、以降、作・演出を手掛ける。
1987年「朝日のような夕日をつれて」で紀伊國屋演劇賞、
1992年「天使は瞼を閉じて」でゴールデン・アロー賞、
1994年「スナフキンの手紙」で読売文学賞戯曲賞を受賞する。
2001年劇団「第三舞台」は10年間活動を封印し、2011年に第三舞台封印解除&解散公演「深呼吸する惑星」を上演。
現在は「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」で活動中。
また、舞台公演のかたわら、映画監督、ラジオパーソナリティ、小説家、エッセイスト、など幅広く活動中。
NHK BSの「cool japan 発掘!かっこいい日本」では、2006年の番組開始から司会者を務める。
(以下略)
『幸福のレッスン』より引用
この本のおすすめポイント
- 45のテーマで書かれているので、毎回テーマにそって自分なりに思考できる
- とてもしっかりした内容だが、ちょっと枠から外れさせてくれるので目から鱗が落ちる
- 0か100かの思考をして苦しむ人が多いので(私も)、なるほど!と思う
- 自分の思い込みに気付ける
- 平易な文章で書いてあるので、すっと読める
- 単純なポジティブ思考をすすめているわけではなく、地に足がついているアドバイス
- 「自分が何に幸福を感じるのか?」という事に答えられる手助けをしてくれる
心に残った点・役に立った点
「未来が見えないことを楽しむ」
コロナ過の今。
「未来が見えなくて辛い・苦しい」という人は多いだろう(私もその一人)
未来が見えないということは、なんでもありだということです。何も決まっていないということは、何でもできる可能性があるということです。未来が見えないことを不安に思うのではなく、未来が見えないからこそ、可能性は無限にあると考えるのです。
『幸福のレッスン』3 真っ白であることを楽しむ より引用
これはなかなか難しい。でも、難しいと決めつけているのも自分。
物事には裏と表があるけど。
不安という表のものには、可能性という裏がくっついているのかも?とこれを読んで思った。
うーん。そう思うと、そうであるような気がしてきた。
物事はどうとらえるか?の違いでもあるって事なんだなぁ。
「もうだめだ」ではなく「大丈夫」を使う
この本は「幸せは気の持ちよう」というようなことは言わないと、冒頭に書きました。
「どうにもならないこと」は、いくら気持ちを変えても、どうにもならないのです。(略)
けれど、そこからどうするか、どう生きるか、なにをするかは、「どうにかなること」であり、気の持ち方でずいぶん変わるのです。
本当にダメだと思った時に、「もうだめだ」とつぶやくか、「大丈夫」とつぶやくかで、あなたのお腹の中からわき出るパワーはずいぶん変わるはずです。
『幸福のレッスン』「もうだめだ」ではなく「大丈夫」を使う より引用
この章は、とてもためになった。
文にもある通り、これは「大丈夫」という事によって物事がポジティブに変わるとかそういう自己啓発でもスピリチュアル系の話でもない。
身長や家庭環境など、どうにもならない事はある、という前提で書かれている。
だが、鴻上さんは言う。
本当に苦しい時、本当に追い詰められた時、本当にやばい時、おもわず口から「もうだめだ」という言葉が出そうな時、とにかく「大丈夫」とつぶやいてみてください。と。
じわっと心の奥からとりあえずのパワーが湧いてくる。
このパワーをもとに踏ん張るのです、と。
「もうだめだ」とつぶやくあきらめた人からは、表情からも身体からも元気が失せ、エネルギーがなくなり、マイナスの雰囲気が漂い始める。
「もうだめだ」か「大丈夫」とつぶやくか。
あなたの生きるエネルギーの量を変え、あなたの雰囲気を変え、あなたの周りに集まる人の数と質を変えるのです。
これを読んだ時は、はっとなった。
そうか!と思った。
確かに周りに集まる人の数と質は違うよね。
エネルギーも違ってくる(エネルギーの総量というか)
雰囲気も変え、、、なるほど雰囲気もそうか。
去年「もうだめだ」や「もう嫌だ」と言いたくなる時は何回もあった(そして実際に言った)。
そんな時、父が「大丈夫、大丈夫」と言ってくれた。
それを聞いて、「何を根拠に!」と思った。
苦しいから、大丈夫と言う事に対する根拠が欲しかった。
だが、その「大丈夫、大丈夫」という言葉はずっと私の耳に残った。
今度は、自分で言おう。人から言ってもらう事に依存するのではなく、自分で。
本当に苦しい時「大丈夫」とつぶやく人がいたら、みんなその人の周りに集まります。
そしてその気持ちをもらって、助け合い、なんとかしようとするのです。
本当に苦しい時「もうだめだ」とつぶやいた人の周りから、人は去ります。一緒に努力してくれる人も助けてくれる人もいなくなるのです。
『幸福のレッスン』「もうだめだ」ではなく「大丈夫」を使う より引用
「もうだめだ」と言ったり、泣いたりすると、人は同情して集まってきてくれる、かわいそうに思って助けてくれると思う人は多いかもしれない。
でも、そうではないのですねー。
苦しい時に「大丈夫」と言える人と人は一緒にいたいのですね。
そうか、そうか、確かに。
劇団を率いて30年以上演出家をされている作者は、そんな場面を体験し、またたくさん見てきた上での実感なんだろうという気がした。
これは、リアルに見てきて感じた真実なんだろう。
この事は、私の自戒にしようと思う。
思い込みから少し自由になる
(略)でも、だから自分に自信がなく、自分を愛することができず、自分を否定してしまうことは、「どうにもならないこと」ではありません。それは「どうにかなること」です。
それは「どうにもならないこと」だと決めつけている思い込みは、自分で作りました。
でも、どんな思い込みも、完全に信じるまでに強く思い込むようになったのは、外部の原因ではなく、自分なんだというカラクリが分かれば、少しはその思い込みから自由になるのです。
『幸福のレッスン』思い込みから少し自由になる より引用
この「思い込みから少し自由になる」は、役に立った。
自分は年齢的にもう駄目じゃないかとずーっと思っていたけど(それは20代の時も 笑)、そんな枠から全く関係なく楽しそうに仕事をしている人と会う機会があって、なんだ!自分の思い込みは!と知る体験があった。
本当に、”思い込み”ってやつはやっかいで、それにずっと引きずられるこれまでの人生だった。
この章で書かれている、
自分はどうしてそう思い込んでいるんだろうと、自分の思い込みを見つめていくことは、自分の思い込みから少しずつ、自由になっていくことなのです。
『幸福のレッスン』思い込みから少し自由になる より引用
この文章は、「自分の幸せとは何か?」を自分で探すしかないという事を表している。
思い込みは、ひとそれぞれ。
自分の軸で考える。そういうことなのだろう。
自分の思い込みで「どうにかなること」を「どうにもならないこと」と決めつけている事が自分を苦しめている事になっているかもしれない。
思い込みが外れた時、「どうにもならないこと」だと思っていたことが実は「どうにかなること」だったと発見できるかもしれない!という希望もわく。
自分で自分の幸福を見つけてみたい!と思った方、おすすめです!