辛い時にはいつも本があった

辛い時にはいつも本があった

辛い時、苦しい時、悲しい時に書店に行くといつもその時の気持ちにぴったりの本との出会いがありました。

【おすすめ本63】『大家さんと僕 これから』矢部太郎 ※大家さんと僕の続編

『大家さんと僕 これから』

矢部太郎

新潮社 2019年発行

 

 

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↑ ”大家さん”は新宿伊勢丹のヘビーユーザーで、

戦後GHQ新宿伊勢丹を接収した話も載っています

 

 

去年(2020年)の11月に初めて読み(その時すでに知名度バツグンの本だったので今更感はあったが)おすすめしたくなり、ご紹介した『大家さんと僕』。

 

 

nonko-h.hatenablog.com

 

 

この『大家さんと僕 これから』はその続編。

 

 

この本をおすすめしたい人

  • 『大家さんと僕』を読んだことのある人
  • 生と死、生きるということを考えたい人
  • ホッとしたりしんみりしたい気分の人

 

作者紹介

矢部太郎(やべ・たろう)

 

1977年生まれ。

お笑い芸人。

1997年に「カラテカ」を結成。

芸人としてだけでなく、舞台やドラマ、

映画で俳優としても活躍している。

初めて描いた漫画『大家さんと僕』で第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞した。

 

『大家さんと僕 これから』より引用

 

 

この本のおすすめポイント

  • 読んだあとに余韻が残る
  • 生と死を自分なりに考えられる
  • 戦争時代の事を大家さんの体験から知ることができる
  • 疲れている時に読むとホッとする

 

 

心に残った点・役に立った点

 

永遠に続くものは無いのだけど

 

『大家さんと僕』の宣伝文句の中に、

”この時間が、永遠にのように思えてくる”

というコピーがあった。

 

これは糸井重里氏のコピー。

 

このコピーは前作の『大家さんと僕』のためのものだが、

今作を表すのにとてもぴったりなのだ。

 

うーん、さすが糸井重里氏。

 

生と死はセットだし、

裏と表のようなもの。

 

この本を読むと、ホッとするし温かい気持ちにもなるけど、

ちょっぴり悲しく、しんみりもする。

 

やっぱり人間って、

温かい気持ちを感じるには悲しみも必要だし、

両方あっていいんだなぁーなんてちょっと違うことも感じた。

 

 

シャガールみたい

本書の中のいくつかのシーンでは、

シャガールをイメージさせる絵があった。

 

ふわっとした浮遊感みたいなものを感じた。

 

素朴に見える絵だけれど、

作者の矢部さんはとても表現がうまいのだと思う。

 

だから、余韻が残る。

 

その余韻の中で、色々思いを馳せる時間ができるというのがこの本。

 

 

今という瞬間と出会い

 

矢部さんは、

それまでも幸せだったけれども、

大家さんと出会ったことによってもっと幸せになったと表現している。

 

 

この本はフィクションであり、

実話をもとにして実際の大家さんからイメージして作り上げたキャラクターがこの本に出てくる大家さんなのだそうだ。

 

だからある意味ファンタジーでもあるんだけれど、

本から感じる2人の間に感じるものは、友情。

 

親と子やおばあちゃんと孫とはまったく違う、

適度な距離感がある友情。

(それをこの本の中の大家さんは「血のつながらない親族」と表現している)

 

 

私の祖母も祖父は全員亡くなっているが、

母方の祖父は、たまに戦争の話をした。

(でも自分の戦争体験の話はしなかった。亡くなった弟や他の人の話が多かった)

 

そういう時、

その場がなんとなく居心地が悪い空間になったりした。

 

「またはじまった」みたいな空気感というか。

 

今考えると、

もっと色々聞いておけばよかったなーと思う、ほんとに。

 

 

この本の中でも、

大家さんはよく戦時中や戦後の話をされる。

 

そういう話を聞きたがらないとか、

聞くのが面倒くさいと思う人も多いと思う。

 

矢部さんはちょっと戸惑いながらも、聴いている。

 

身内だとその辺がぞんざいになったりするが、

「血のつながらない親族」というこの2人ならではの距離感で

淡々と受け取り合っている感じが良いのだ。

 

 

コロナ禍の現在、

ともすれば恐怖に取り込まれそうになったり、

よくわからない焦りを感じたりするが、

そんな時、この本を読んでみるのも良いかも知れない。

 

 

 

 

 

 

【おすすめ本62】『ざんねんな三国志』 真山知幸 劉備・関羽・張飛・諸葛亮もざんねん(?)

『ざんねんな三国志

真山知幸 

株式会社一迅社 2020年発行

 

真山知幸さんの本は、

以前『企業としてみた戦国大名』が面白かったので、

三国志を読む前に、三国志に出てくる登場人物に興味が湧くかもとこの本をチョイス。

 

 

nonko-h.hatenablog.com

 

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 三国志に興味があるけど大作なので気後れしている人
  • 三国志の登場人物に興味がある人
  • 三国志はだいたい知っているけど人物についてもっと知りたい人
  • 三国志を違う角度でみてみたい人
  • 数時間でざっと三国志の登場人物について知りたい人

 

作者紹介

真山知幸

 

著述家、偉人研究家。

1979年同志社大学法学部卒業後、専門出版社の編集長を経て執筆業に専念。

名古屋外語大学現代国際学特殊講義、宮崎大学公開講座などで、偉人や名言をテーマに講師活動も行っている。

主な著書に『ざんねんな偉人伝:それでも愛すべき人々』『残念な歴史人物それでも名を残す人々』(学研プラス)、『企業として見た戦国大名』『ざんねんな名言集』(彩図社)などがある。

 

『ざんねんな三国志』より引用

 

この本のおすすめポイント

  • 文字も大きく本の厚さも無いので気軽にサッと読める
  • 魏呉蜀の国別にわかれているのでわかりやすい
  • 人物だけではなく戦記も載っているので全体像を把握しやすい
  • 登場人物についての”ざんねんな部分”が紹介してあるので、長所も短所も突き抜けていて面白く感じる
  • 登場人物の個性が豊かで読んでいて面白く三国志が読みたくなる
  • おきにいりや気になる武将がいるかも?

 

 

心に残った点・役に立った点

 

劉備

三国志についてそれほど詳しくはないが、

劉備関羽張飛曹操諸葛亮などは知っているあさーい知識。

 

その中でも劉備は日本人好みの武将だろうなーと勝手に思っている。

まぁ主人公的な人だしね。

 

あまり欠点が無いようなイメージだが、

こういう真面目で情に厚い人は、それがいきすぎるとびっくりするような行動になってしまうのがなるほどー、と頷ける。

 

ここでその内容を書くのは避けるが、

各項目の最後に一言ずつ吹き出しが入っているのだが、それをご紹介。

 

「ほとばしる人間愛がスゴすぎて、なんだかもうワケが分からない、、、、。」

「お互いに恐れ合っていた劉備曹操。これぞライバル。」

「正しいけれど、なんかモヤモヤする、、、、それこそが劉備。」

「はい、処刑!優しい人を怒らせると怖いんです。」

 

特に、

「正しいけれど、なんかモヤモヤする、、、、それこそが劉備。」

はうまいこというなぁー。

 

「モヤモヤする」とは的確な表現。

 

関羽

以前台湾に行った時に、

台湾での関羽人気にびっくりした。

(だって台湾は三国志とは関係ないところなので)

 

行天宮というお寺に行ったが、そこは関羽が祀られていた。

(どんなジャンルにも満遍なくご利益があるとその時聞いてびっくり。関羽を祀っているお寺は台湾各地にあるそう。)

 

まぁ、でも行天宮は交通が便利で観光客も多いが、

地元の方たちに親しまれているお寺という感じでとても良かった。

(杯を投げたりして運を占う事もできるのも面白かった)

 

台湾で祀られている関羽像は立派な髭が印象的。

 

曹操から送られたプレゼントはある物を除いて全部返却したそうだ。

 

その”ある物”とは、「髭を包む袋」

 

関羽は「冬に髭が切れないように、黒の紗の袋で包む」

曹操に言ったのを聞き逃さなかったようだ。

 

曹操はさっそく、

錦紗で髭を包む袋を作って関羽にプレゼントしたらしい。

それをいたく気に入った関羽は早速髭をその袋で包んだらしい。

 

関羽は髭の美しさから「美髯公(びぜんこう)」と呼ばれたそうなので、

髭にはこだわりがあったのだろう。

 

でも、髭を包む袋って!

顎の下にそんなのつけるのは邪魔じゃないのかしらん。

 

この本に書かれているような逸話を知っていたら、

行天宮に行った時も違う重みがあったかもしれない。

 

関羽はすごく強い人のイメージしかなかったので、

こういうよくわからないが人間くさい部分もチャーミングに思える。

 

コロナが収束して、

また台湾に行けるようになった時、

この本を読んで関羽について立派な部分以外の人物像を知るのも面白いかも。

 

 

 

三国志を色々読んでいてものすごく詳しい知人に、

三国志の中で誰が好きか聞いた時の答え。

 

「昔は張飛。大人になってからは特別にはいない。」

 

その人が言うには、中国人が好きなのはずっと曹操なのだそうだ。

なんだか納得。

関羽も人気あるみたいだが)

 

この本を読んで、私が気になった人物は、趙雲周瑜

 

その人に

周瑜ってどんな人?」

と聞いたときの答え。

 

「頭いいけど短気で病弱」

 

(え、これだけ?)

 

周瑜はなんだか複雑なものを抱えている感じで、

もっと人物について知りたいと思わせられる人。

 

趙雲についてのざんねん逸話を読んでもあまりざんねんではなく、

むしろかなりいい男!という内容だった。

 

だが、周瑜は「なんで?」みたいな逸話が多く、

そこが面白い。

 

三国志、読むの大変そうだなぁーとずっと手が出なかったが、

読んでみようかな?と思わせられる本。

 

何より、突き抜けている人は、

短所(?)も突き抜けているという点が面白い。

 

長所が大きければ短所も大きい

(見ようによっては長所と短所は紙一重かも知れないけど)

 

そのへんのところも、

つくづく人間について考えさせられたのも良かった。

 

人によっては

「ふざけた内容!」と思う人もいるかも知れないけど、

軽く笑いながら読んでみたい人には是非。

 

 

 

 

 

 

【おすすめ本61】パリジェンヌのつくりかた カロリーヌ・ド・メグレ他

パリジェンヌのつくりかた

カロリーヌ・ド・メグレ、アンヌ・ペレスト、オドレイ、ディワン、ソフィ・マス

古屋ゆうこ訳

早川書房 2014年初版発行

 

 

主人が前にヨーロッパ亡国の会社で働いていた頃、

フランスなどで会議(と言う名のそれぞれの国の社員を集めたパーティーみたいなもの)があった。

 

そのときのことは、

10月なのにとても寒いし、

凱旋門のところなんてスリだらけだし、

道は犬の糞だらけだし、、、。

 

でも、ムール貝は日本で食べるよりも安くて何倍も美味しいし、

ビストロで黒板に書いてあるメニューを頼んだりして食べたものはとても美味しいし、店に来ていた年配のカップルと会話したりして楽しかった!そうだ。

 

(ヨーロッパの各会社から来ていた人たちの喫煙率はとても高く、喫煙ルームは色んな国の人たちとも会話しなければならなかったようだ。この本の彼女たちもベッドの中で、階段を登りながらシガレットをくわえていて何故かそれが絵になる)

 

パリにはパリにしかない雰囲気があり、

いつかそれを私に味わってもらうためにパリに連れていきたいというが、

パリねー、パリよりポルトガルに行ってみたいなーとあまり興味もなく。

 

でも雑誌のパリジェンヌの着こなしの写真を見るのは好き。

映画『死刑台のエレベーター』も大好き

ジャンヌ・モローはなんて素敵)

 

 

あー、やっぱり私もパリジェンヌは特別な存在だと思っているのかも。

 

 

『フランス人は10着しか服を持たない』(ジェニファー・L・スコット)や、

HBOの大ヒットドラマ セックス・アンド・ザ・シティ(大好き!)でも、アメリカ人は本当にパリに対する憧れが強いんだなぁと思わせられるが、この本を読むとその理由がなんとなくわかる、、、。

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 日本の従来の価値観に違和感を持つ人
  • パリジェンヌのおすすめの店や本が知りたい人
  • フランス人の価値観を知りたい人
  • パリに行ったことがある人、これから行ってみたい人
  • 憧れの部分だけではなく、リアルなパリジェンヌの考え方などが知りたい人

 

作者紹介

著者

カロリーヌ・ド・メグレ(Caroline de Maigret)

ソルボンヌ大学で文学を学んだのち、ニューヨークにわたりモデルとして活躍。

2006年にパリに戻り、音楽レーベルを設立。

2012年からシャネルのアンバサダーを務めるほか、貧困層の女性の自立を手助けするNGO「CARE」の活動を支援している。

2014年、ランコムのミューズに就任。

 

アンヌ・ベレスト(Anne Berest)

作家。2作の小説のほか、2014年にはフランソワーズ・サガンの伝記Sagan1954を発表。テレビや映画、舞台の脚本も手掛ける。

 

オドレイ・デュワン(Audrey Diwan)

ジャーナリズムと政治学を学んだのち、脚本家に。

ジャン・デュジャルダン主演、セドリック・ジメネス監督の映画LaFrench(2014年12月フランス公開)の脚本をてがけている。

初監督作品が近日公開予定。また、「スタイリスト」誌のエディター・アット・ラージを務める。

 

ソフィ・マス(Sophie Mas)

パリ政治学院とHEC経営大学院修了後、映画会社を設立。

現在は、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンパウロを拠点に映画プロデューサーとして活躍している。

 

訳者

古屋ゆう子(ふるや・ゆうこ)

幼少期からの13年間をドイツ、フランスですごす。

これまでに編集プロダクション、カルチャー分野のライター、「クーリエ・ジャポン」のフランス担当など、雑誌を中心に活動。フランスの好きな都市は、映画三昧の日々を送ったリヨン。

 

 

 

 この本のおすすめポイント

  • 辛口で皮肉屋で自分は自分というパリジェンヌの考え方を知ることによって、いい人、いい妻、いいお母さんという枠組みから外れてもいいんだと思える
  • 女性らしさを存分に楽しんでいる彼女たちから、自分の女性性を開放できる
  • 子供がいても自分の人生を諦めなくても良いと知ることができる
  • パリジェンヌにきれいなイメージしかもっていないなら、そのイメージを色んな意味で覆すことができるかも?
  • 日曜日のシンプルレシピやおすすめスポットなどが載っている

 

 

心に残った点・役に立った点

 

母親の流儀

最初から言い切ってしまうのもなんだが、パリジェンヌはエゴイストだ。子供には愛情をたっぷり注ぐけれど、自分自身のこともそう簡単には諦めきれない。自分を犠牲にし、アッシ・パルマンティエ(ジャガイモと挽き肉のグラタン)を子供たちに作ることだけを生き甲斐にている女性なんて、パリにはまずいない。子供が生まれたからって、パリジェンヌは自分の人生を生きることを諦めたりはしないのだ。

 

『パリジェンヌの作り方』母親の流儀より引用

 

この文章を読んだ日本人の中には相当数、抵抗感を感じる人はいるだろうなぁと思う。

 

子供のために人生を犠牲にするのは美徳のようになっているし、

そうしない親は後ろ指をさされることも多いと思う。

 

集団的圧力のようなものが日本にはあるように思うし。

 

別にパリジェンヌは、子供をないがしろにしているわけではない。

 

何一つ諦めないのがパリジェンヌなのだそうだから。

 

だから、子育ても放棄せず、自分なりの生きるルールを、教養を、哲学を教え込むのだそうだ。

 

子供は王様ではなく、

自分の周りを飛んでいる衛生のようなもの。

 

考えてみると、”親にとっての良かれ”というのは、

子供にとって迷惑で辛いものである時も多い(私はその事をかなり経験した)

そして、大抵間違っている結果になったりする(親は親の言うことは間違いないなどと言うけれど)

 

 

親の、

「○○(私の名前)のため」という言葉や行為は、

独善的で親の狭い視野からの事が多く、

何より私のためというより親の世間体や体裁のためだった。

 

そのため年がら年中否定されて、避難されているような気がした。

 

今考えると、それも全て親の愛情からだったのだとわかるが、

子供はそんな事よりも親が夫婦仲良く、

自分の人生を楽しんで笑顔でいてくれる方が嬉しいのだ。

 

親が自分の時間や人生を楽しんでくれていたほうが、

子供も気が楽だったりする

(じゃないといつも親に監視されているよう気がする)

 

子供のことよりも自分の人生を優先して考えことには、

罪悪感もあるかもしれないが

親がそうすることで子供も自分の人生を優先して考えることができるようになるような気がする。

 

この本は、読むとパリジェンヌの考え方に

「えっ?」と違和感を持つ箇所があるかもしれない。

 

でも、その抵抗感を持つところ、違和感を持つところこそが

自分の考え方や価値観を広げてくれるところ。

 

そういった部分でこの本は、枠を外したい女性におすすめ。

 

 

「もしかして、浮気しているのでは」と恋人に思い込ませる方法

自分に花束が届くよう、自分で手配する。そして、恋人に「気遣いをありがとう」と笑顔で伝える

 

意味もなく、涙を流してみる。

 

恋人からの電話は、無視する。その代わり、甘ったるいメールを送っておく。

 

『パリジェンヌのつくりかた』2.悪習のススメより引用

 

他にも、恋の駆け引きが色々載っている。

 

駆け引きじたい遠い話になってしまった私としては、

「ほー。」と関心。

 

若い時は、そっけなくするなど(笑)の駆け引きをしていたが、

「駆け引きって実は思ったよりも効果がないんじゃないの?」と思った瞬間があり、全くやらなくなった(もっとオープンで正直な方がうまくいくという幻想もあったかも。それに面倒くさい。)

 

だから、こういうのを読むと、

パリジェンヌが何歳になっても女なのがよくわかる。

 

 

「1.パリジェンヌの基本」には、

 

「同じものをください」そう彼は言った。

 

という一文が。

 

 彼の前で気取ってみたり、自分を作ってみたりしたけれど、この一言で、完全に冷めてしまった。

(中略)

一度そう思ってしまったからには、もう何をやっても無駄。とりあえず、ふた口だけ食べて、何かしら理由を見つけて、早めにこの場を去ろう。もう二度と彼に会うこともないだろうな。アデュー(さようなら)

 

『パリジェンヌのつくりかた』1.パリジェンヌの基本より引用

 

「同じものをください」に興ざめするのは、ちょっとわかる。

だが、その場を去ることはしない。

 

パリジェンヌはなんとスノッブで手厳しいのだろう。

 

他にも、この本には、

「男を動揺させる方法」「恋人をうまいこと騙す方法」

なども載っている(真に受けてやってみるかどうかはあなた次第)

 

こうしたパリジェンヌにパリジャンは磨かれていくという事なのかもしれない。

 

この本を読むと、

パリジェンヌについて憧れるところも、

抵抗感を感じるところも、両方でてくるかもしれない。

 

そこがこの本の良さ。

 

いつまでも女性でいていいと言われて、

罪悪感を感じる人、抵抗感を感じる女性に読んで欲しい本。

 

 

 

 

【おすすめ本60】ヒエログリフで学ぼう! 吉村作治著 ※古代エジプトの歴史が楽しく学べる!

ヒエログリフで学ぼう!』 早稲田大学教授 吉村作治

荒地出版社 2004年初版発行

 

 

読んでいて(ヒエログリフのイラストがたくさん載っているので読むだけでなく眺めて)、本当に楽しい本だった。

 

この本を読んでいてふと思い出したのだが、

私は大昔に彼の講演を生で聴いたことがある。

 

通う学校で無料で行われ、在校生の女子大生や女子短大生は誰でも講演に参加できた。

吉村先生は、まだテレビに出始めの頃かな?

若々しく活力に溢れ、エジプト史の魅力を伝える熱意が伝わってきた。

写真を多く使ってエジプトに詳しくない私たちにもわかりやすかったと記憶している。

 

今考えると、日本に帰国した時はああして講演などを沢山行って、

資金を集めていたのだろう(エジプトで発掘することはきっといくらお金があっても足りないくらいだったろうから)

 

 

この本は、ヒエログリフの表紙が絵本のように見えるが、

古代エジプトの歴史が時系列に沿って学べるので、内容はかなりしっかり。

 

中学生や高校生だけでなく、大人にもとってもおすすめできる本!

(2004年発行なので、ちょっと古いけど、、、)

 

 

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この本をおすすめしたい人

 

作者紹介

吉村作治(よしむら さくじ)

 

1943年東京生まれ。

早稲田大学在学中の1966年よりエジプトでの調査・研究を開始。

大ピラミッド内の未知の空間や、世界で初めての人工衛星の画像解析による遺跡発見などで世界中の注目を集める。

現在早稲田大学教授(工博)。

著書に『吉村作治古代エジプト講義録(上・下)』(講談社+α文庫)、監修に『ヒエログリフを書こう!』(翔泳社)、『ヒエログリフの謎をとく』『図説ヒエログリフ事典』(創元社)など多数。

えじぷとぴあhttp://www.egypt.co.jp

 

ヒエログリフで学ぼう!』より引用 ※情報は本が発売されたときのものです

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • 写真や絵が豊富で、見ていても楽しいし、イメージが湧きやすい
  • 古代エジプトの歴史が時系列に沿って簡潔に語られているので、誰にでもとっつきやすい
  • 古代エジプトのロマンを感じられる
  • ヒエログリフのイラストが面白い
  • 古代エジプト史を学ぶことによって「価値を多様にもつ」ことを学べる

 

 

心に残った点・役に立った点

 

わかりやすい!

 

ながーい歴史を区切ってみると

 

そもそも、古代エジプトはふたつの時代にわけられます。

 

(前半)古王国時代

(後半)新王国時代

 

 「えっ?そんなことないよ。もっといろんなわかりにくい時代があったし、ほら、ほかにも第○○王朝とかそういうわけ方もあったじゃない!」

と言う人もいると思います。ですが、ここではまず、ふたつの時代に区切ります。

 つぎに、その次代に生きた人、あったものが何かを考えてみます。

 

(前半)古王国時代 【ミイラ・ピラミッド・スフィンクス

(後半)新王国時代 【ミイラ・ツタンカーメン

 

 あれ?クレオパトラがいませんね。そう、クレオパトラツタンカーメンの奥さんでもスフィンクスのモデルでもなく、まったく別の時代の人なのです。そして、ピラミッドやスフィンクスがつくられたのは、古代王国時代だけでした。エジプトの長い歴史のあいだ、ずっとつくられたのはミイラだけなのです。

 

注意!ただし、ここでいうスフィンクスは、みなさんの知っているあの大きなスフィンクスのことで、小さなスフィンクス新王国時代にもつくられました。

 

ヒエログリフで学ぼう!』

出発 歴史のたびに出るまえに より引用

 

 

こんな感じでこの本は始まる。

 

本に話しかけられているような感じで読みすすめることができる。

(そういや、第○○王朝とか教科書ではそんな風に習ったなあ)

 

 

古代エジプトの宗教観と文化がわかる

太陽信仰、星辰信仰(北極星信仰)、アメン神、アテン神、旧約聖書出エジプト記」とファラオなどなど。

 

この宗教観や歴史を学ぶと、

日本との共通な部分があるのが感じられる(太陽を崇拝したりとか)

 

 

 

古代エジプト史は魅力が一杯

 

もともとエジプトはとても豊かな土地。

(砂漠のイメージが強いとびっくりするかも)

 

ナイル川が毎年反乱するお陰で、両岸には田園地帯が広がる世界有数の穀倉地帯だったそう(ナイル川の反乱は、水と良質な土を運び込むことになり、砂に混じった塩分を洗い流してくれ豊穣な工作地帯を作り続けていたのだそう)

 

エジプトにできた最初の共同体は「ノモス」

「国」になる前に42あったそう。

なぜ「都市国家」にならなかったか?

食べ物に困らなかったから。

 

食べるものに不自由せず1000円近く気楽に暮らしていたエジプト人。(対立もない)

 

この豊かでのんびししたエジプトがどうやって国家になっていったか。

 

そのあたりが面白い。

 

 

サーヒル島飢餓碑文にかかれている内容にまつわる、疑問(証拠を捏造?)、

クレオパトラの親ばか、奇策、アントニウスへの誘惑、

ローマ共和国カエサル暗殺、栄枯盛衰の数々など、古代エジプト史にはロマンス、ミステリー、サスペンス要素もたっぷり。

 

 

 アレキサンダー大王が勝ち続けたのは、相手が弱かっただけではありません。そこには明らかな「戦略」の違いがあったのです。

 そもそも古代ではこんな決まりがありました。

 

夜は眠る

 

 これでは当たり前ですね。

つまり、「夜は戦わないで眠る」ということです。前にもおはなししたように、古代では夜は戦いませんでした。たがいが敵味方を確認してから昼間に正々堂々と戦っていたのです。

 ところが、アレキサンダー大王の考えは違いました。

 

夜も戦う

 

「どんな手を使ってもやっつける」それがアレキサンダー大王のやり方でした。アレキサンダー大王の軍は闇討ちをして夜中に休んでいる敵軍に襲いかかり、こてんぱんにやっつけてしまいます。

 そんなちがうルールで戦われたら、相手はたまったものではありません。アレキサンダーの軍はたちまち連戦連勝したのです。

 

ヒエログリフで学ぼう!』

アレキサンダー大王 戦争は、勝てばいい より引用

 

 

こんな、その当時の価値観の違いもとても興味深い。

 

 

価値観を多様にもつ

 現代の日本は「答えはひとつ」の世界でおおわれています。世の中には「良い」か「悪い」しかなく、その中間がありません。

(中略)

 でも、エジプトの歴史からもわかるように、ものごとには「良い」と「悪い」の中間がたくさんあります。つまり、ひとつの出来事にはいろいろな目的やいろいろな理由があってしかるべきで、価値観はひとつではないのです。

 古代エジプト史を学んでいていちばん感じるのは、「わたしたち日本人は本来、多神教的価値観をもっていた」ということです。そんなすばらしい世界観をもっていたのに、わたしたちはいつのまにかそれを失ってしまい、「ひとつの価値観」で判断するようになってしまっています。

 

 「価値観を多様にもつ」ーそれがいまの時代にいちばん必要なことです。

みなさんがこの本で古代エジプトの歴史を学んで、そのことに気づいていただけたら、こんなにうれしいことはありません。

 

2003年12月

吉村作治

 

ヒエログリフで学ぼう!』あとがき より引用

 

楽しくページをめくって最後にあったこのあとがき。

 

ほんとうにそうだよね!と心にしみた。

「価値を多様にもつ」

なるほどなぁと。

 

「自分たちだけが正しい」というひとつの価値観だけで戦争を起こす、と作者は書いている。

 

オリンピックの今年、もうすぐ終戦記念日のこの時期、

この事をエジプト史から考える機会を与えてくれたこの本に感謝。

 

 

 

【おすすめ本59】観察力を磨く 名画読解 エイミー・E・ハーマン アート分析する力を仕事に活かす!

自分的に久々の大ヒット本!

 

絵が好きで美術館にもたまに行く。

だが、この本にあるような観察という視点から絵を観たことは無かった。

なので、最初はアートをそのような視点で捉える事にちょっとした違和感があった(アートは感覚で観るものじゃないの?という感じで)

 

だが、作者は弁護士だが美術史を専門に学んでいるので、

アートに対する愛情や知識がしっかりしていて、

内容に説得力がある。

 

読んでいる最中も面白く、

ためになり、

今後の人生に役に立てられ、

アートへの興味も持てる。

 

とてもおすすめの本なのでご紹介!

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この本をおすすめしたい人

  • 注意力が散漫で失敗が多い人
  • 警察官、医者などの医療従事者、介護職など人を客観的に観察する必要がある人
  • アートが好きな人
  • 観察力を磨きたい人
  • 先生などの職業の方
  • バイアスにとらわれない洞察力を磨きたい人  

 

 

作者紹介

エイミー・E・ハーマン AMY E.  HERMAN

 

美術史家、弁護士。

FBIやCIA、ニューヨーク市警、ロンドン警視庁アメリカ陸海軍のほか、ジョンソン・エンド・ジョンソンHSBC銀行など大手企業で、美術作品によって観察力・分析力を高めるためのセミナーを行っている。

 

訳者

岡本由香子

静岡県生まれ。

防衛大学校卒業後、航空自衛隊に10年間勤務。

現在、児童書からノンフィクション、映像作品まで幅広く翻訳を手掛ける。

『グッド・フライト、グッド・ナイト』(早川書房刊)、『ぼくのなかの黒い犬』、『フランク・ゲーリー 建築の話をしよう』、『ダーク・ライフ』ほか、ペンネームでも訳書多数。

 

『観察力を磨く 名画読解』より

 

 

 

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • アートを通して知覚の技法を身につけられる
  • この本を読んだ後に美術館に行くと違った視点からアートを楽しめる
  • 観察、分析、伝達など力を強化する事によって仕事や実生活に役立てられる
  • 実際例がたくさん載っているので、わかりやすく読んでいて楽しい

 

 

心に残った点・役に立った点

 

誰にとっても役に立つ

著者がロースクールに進学した時に、警察の仕事を体験するカリキュラムに参加。

 

そこで、ドアの向こうから怒声が聞こえてくるアパートメントに出動した警官が、銃を構えて扉をノックする後ろについた著者が感じたこと。

 

「目の前の警官に客観的観察力がなかったらどうしよう?警官の取る行動がその場にいる全員の運命を決めるのに。」

 

幸い、警官はうまく事態を収めた。

しかし人に銃口が向けられる場面にいて、死を生々しく意識した記憶は何年もつきまとったそうだ。

 

著者は弁護士になった後、目撃者や当事者の話がどれだけあてにならないかを思い知らされる。

 

その後転職し、ニューヨーク市のフリック・コレクションで教育部門のディレクターに就任。

 

その時に、イェール大学医学部の皮膚科学教授から、アートの分析を通じて医大生の診断スキルをあげることはできないかと相談を受ける。

医大生をフリック・コレクションに招いて、アートの分析を体験させたところ、体験しなかった学生より56%も診断能力が向上したのだそうだ。

 

その結果に興味を持った著者は、学術論文を読みあさり、研究者に会いに行った。

 

友人の助言をきっかけに(警官や救急隊員に教えたら社会の役にたつのではないかという助言)、ニューヨーク市警に電話をかけ、「警官を美術館に招いて、アート作品を見せたいのですが」と提案したのが、セミナー”知覚の技法”の始まり。

 

電話を受けた警察委員はかなり困惑していたらしいが、

やってみようと言ってくれたらしい(唐突な提案によくぞ電話を切られなかったと著者も書いている)

 

このようにして産声を上げた”知覚の技法”

 

その後14年の間に、ニューヨーク市警、ワシントンDC、シカゴ、フィラデルフィアの警察、バージニア州警察、オハイオ警察署長協会、FBI、国土安全保障省スコットランドヤードアメリカ陸海軍、ナショナルガード、シークレットサービス、連邦保安局、連邦準備銀行、司法省、国務省、国立公園局などからも依頼があったそうだ。

 

読んでみて感じたのは、ここにあげた捜査に関係する機関だけではなく、

救急隊員、医者、看護師、介護職、教職、ガードマンなどの、

違和感を感じる知覚力や観察力が必要な人たちなどの人にも参考になるのはもちろん、一般の営業マンやサービス業、経営者や学生などにも(要するにすべての人)”知覚の技法”があれば、仕事やテスト、対人などの分野でも役に立つのではないかと。

 

 

 

 

観察

 

第一部は「観察」

 

なぜアートなのか?

 

アートはどこにでもあるうえ、人間の内面をあばいて観察者の心を揺さぶるものが多い。

心をざわつかせる作品は、脳にとって最高の刺激なのだそうだ。

未知の事柄を学習している時に脳が最も活性化するとのこと。

何年もやっていること(仕事、人間関係、世界観)を見直すには、既存の枠から出てなれない分野に飛び込むことが一番。

(アートは日常から私達を連れ出してくれる)

それにアートは自由な解釈が許される。

 

第一部の観察で、載っている絵をみても、

自分が思ったよりも全然”観察”できていないことに驚く(少なくとも私はそうだった)

 

主観的な感想がメインで、客観的な観察ができていないことにびっくり。

 

おまけに、自分なりのフィルターをかけてものごとを捉えていることにも気がついてびっくり(というかちょっとがっかり)

 

この”観察”力をみがくだけでも、

仕事のミスは減るだろうし、仕事で契約書などを見直す場合も有効かもしれない。

 

道を歩いている時、台風や大雨、地震などの災害にあった時にも役に立つと思う。

 

私は、東日本大震災の被災者だが、

あの日まで避難場所の学校がどこにあるかを全く知らなかった。

 

(私はそこの出身じゃないという事実を差し引いても)道を歩いている時に周りの景色をもっと観察するようにしていたら、そんな事もなかったかもしれないと思う。

 

 

 

見ろと言われたものを見る

ものを見る前に情報を与えられると、事実をそのまま理解しにくくなるそうだ。

 

著者は美術館に行った時に、タイトルや説明書きを読む前に作品を見るように勧める。

タイトルや説明は思考を型にはめ、偏らせるのだそうだ(確かに)

 

ものごとを正確に理解するには、できるだけ多くの情報を集め、できるだけ多くの視点で見ることが大事だ。得た情報を理解し、優先順位をつけ、意味を解読する。タイトルや説明書きなど、事前に用意された情報を入れるのはそのあとでいい。まとめると、次のようになる。

 

まず自分の目で見る

既存の情報や意見を参考にする

もう一度、自分の目で見る

 

『観察力を磨く 名画読解』第三章 カモノハシと泥棒紳士より引用

 

美術館で絵を観る時に、私は絵をちらっと見てからすぐタイトルをみる。

タイトルと絵が頭の中で一致させるように絵を見るという感覚だったことに初めて気がついた。

 

うーん、なんだかマニュアル人間みたいというか、

そんなふうにして絵を観ていたことにびっくり。

 

次回からタイトルや説明に目を通す前に、

まず最初にじっくり絵を観る事から始めてみよう。

 

 第一部の観察だけでも、たくさんの気付きがあった。

 

本書は、

第一部 観察

第二部 分析

第三部 伝達

第四部 応用

という構成になっている。

 

長くなってしまったので、ここではここまでにするが、

少しでも興味を持たれた方は読んでみることをおすすめする。

 

「終わりに」までで327ページあるが、

事例がたくさん載せてあり読み進めさせる力もある本なので、臆せず手にとっていただけると幸いだなぁと思う。

 

 

 

【おすすめ本58】宇宙とつながる”お部屋の魔法” 山田ヒロミ ※生まれ変わったみたいに人生にいいことが一杯起こる本

『宇宙とつながる”お部屋の魔法”』 山田ヒロミ

 2020年 大和出版

 

 

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”空間で人生はどうにでも変えられます。まるで、あなたは望む未来にタイムスリップしたかのよう。”

 

これは本書の表紙カバーにあった一文。

確かに部屋って、その時の心理状態とかを表していたりするよなぁと思ったので興味を惹かれて購入。

 

 

この本をおすすめしたい人

  • 不思議体験に興味がある人
  • お部屋の模様替えに興味がある人
  • スピリチュアルな方面からの部屋作りに興味がある人

 

作者紹介

山田ヒロミ(やまだ ひろみ)

 

一般社団法人スペースクリエイト協会代表理事・ドリームスペースクリエイター・お部屋の魔法学校校長・ルームセラピー考案者・松明殿稲荷神社社司。

幼少期に、楽しいことを想像しながら部屋の模様替えをするといいことが起こることを発見。1995年より流行る店・社会貢献しながら業績アップする社会・幸せになる家づくりで好評を得る。心理学とインテリア設計の理論でそのノウハウを整理し始めたある日、「ノウハウがなぜうまくいくのか」の答えが入った光の玉が体内に現れ、データがインストールされる。この時、一人の魂が光ると家族・隣人・街・国・世界へと広がるヴィジョンを見る。幸せになる部屋づくりを伝えた一人から光が広がって、自然と世界が平和になるとわかり、「ルームセラピー」を考案、出版社と口座を始める。

(以下略)

 

『宇宙とつながるお部屋の魔法』より引用

 

 

 

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • 著者の不思議な体験が読める
  • あの世の話を知りたい人は興味を持って読める
  • 生まれる前に描いてきた人生の設計図、シナリオを見るワークがある

 

心に残った点・役に立った点

 

 お部屋の話は多くない

住環境や部屋が自分の精神面やひいては人生にも影響することはみんな自覚があることと思う(部屋は内面の現れだなぁとも思う事も多い)

 

部屋と自分の精神面のつながりや、

改善方法などが書いてあるのかと思って購入したが、

読んでみると「自分のシナリオ」をじっくり考え、

宇宙の法則を知ることによって人生を考えるというような本だった。

 

著者の体験も含めスピリチュアルな話がメインなので、

具体的なお部屋の模様替えなどのノウハウが知りたいという方や、

そっち系が苦手な方には向かない本かもしれない。

(具体的な話はトイレの模様替え位しか載っていない)

 

逆に、著者が言う宇宙の法則や、

宇宙の法則を人生や部屋の模様替えに取り入れてみたい人にはおすすめできる本。

 

 

知っておきたい「あの世と人生」のしくみ

 

 宇宙は私たちの人生ゲームのデータ集めをしています。

ゲームの中に入り込みすぎさえしなければ、私たちは必要な時にいつでもビッグデータからデータをダウンロードできるようになっています。目覚めると、セーブしたところからまたゲームが開始できます。

(中略)

 私は、0101010101111・・・・・・というふうに数字がびっしり羅列されたトンネルのような巨大チューブの中に私の頭が入っていて「設定変更しました」と、右上のほうから声が聞こえた体験をしています。

 この情報に関しては、それ以上詳しいことはわかりません。

(以下略)

 

『宇宙とつながる”お部屋の魔法”』Chapterer2知っておきたい「あの世と人生」のしくみ より引用

 

 この部分を読んだ時、かなり驚いた。

 

「えーっ!設定とかあんのー!」と。

 

正直に言ってしまうと、今でも「?」な感じというか、

私自身はすぐ受け入れられなかった部分。

 

それは私個人の問題で、もしかしたらそういう場合もあるのかなぁなんて今は思っている。

 

 

でも、著者が飛行機の中で、”走馬灯を見る”という経験は、

以前こちらのブログでも紹介した本、

アニータ・ムアジャーニ著『喜びから人生を生きる!』

 にあったのと近い内容。

 

nonko-h.hatenablog.com

 

 この一致はとてもおもしろい。

興味が湧いた方は、ぜひ『喜びから人生を生きる!』を読んでみるのをおすすめ。

(そちらの本の方が時系列に沿って詳しく書かれているので読む醍醐味があります)

 

 

 

 

キャラクター設定と舞台設定があっての物語

 この本を読んでみて、思ったのは

お部屋の設定とあるが、それよりも「心」の部分が多いこと。

 

お部屋とは題名にあるが、

部屋よりも「心の設定」の部分がメインのように感じた。

 

先に空間設定をすることによって、心のうつ側に想像した物事と一致した配置や見た目、エネルギーを持った部屋で暮らすことによって、ありたい自分の理想の日常が最速で現実になるとも書いてある。

 

読後、何か住まいについてやってみたくなり

トイレについては、具体的にスケジュールが書いてあったので、

実際にやってみた。

 

本に書いてあるとおり、絵をかけたりしてみたのは、

なかなかおもしろいチャレンジ。

(中に入れる絵を選ぶのにとても時間がかかってしまったが)

 

トイレはあまり物をおかず、スッキリした空間にしていたが、

絵をかけるのはそれだけで雰囲気がかわるのがわかった。

 

なんとなく空間から受けるイメージが違うような感じ。

 

今までは、リビングにしか絵をかけていなかったが、

(以前誕生日の時に、思いついて画廊に行って購入した絵でそれなりに気に入っている)

絵をいくつか用意しておいて、季節などでも部屋に飾る絵を変えるのもいいなぁなどと思っている。

(そういえば、お茶をしている方の家の床の間に、季節にあった掛け軸と花が活けられているのはとても素敵だなぁーと感じるし)

 

 

天空映画館が持ち歩ける【CINEMAGE】

 

 

100%人生のシナリオ通り

この本によると、

生まれる前に自分で想像してきたシナリオがあるとの事。

 

読んだ時、この事については、

私自身信じるのが難しい内容だった。

 

だがよくよく考えてみると、

親と同じような体験(それもネガティブな体験の方が)をしたりする事があることに気がついた。

 

一見ネガティブな体験も、親を超える体験のシナリオで、

意味があるのかもしれないなぁなどとも思う。

 

自分の人生のシナリオを知ることで、

自分でシナリオの設定変更ができるとの事。

 

半信半疑でやりはじめたけど、

いざやり始めるとどんどん紙に書けていったのが面白かった。

 

ワークはやってみると思ったよりも楽しかったが、

何かが変わった実感はまだ無いなー。

でも自分が思ったよりも楽しめたので、それはそれで良かったのかも。

 

ワークをすることで、

自分が普段気が付かなかったテーマのようなものがわかる人は多いかも知れない。

 

 

こういうところに住みたいなーという部屋を、

引き出しの中にあるものやコンセントの位置まで詳細に1分以上そのことだけをいい気分で思い描き続けるというワークは、思ったよりも難しく、

大体のイメージは思い浮かべられても、詳細まで思い描き続けるというのがなかなかできない。

 

ネットでイメージを探しても、

これだ!と思うものがなく、いかに自分のイメージが貧弱であいまいであるかもよくわかった。

詳細まで思い描く事、もうちょっとやってみようかな。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

【おすすめ本57】LIFE SPAN ライフスパン 老いなき世界 デビッド・A・シンクレア

『LIFE SPAN 老いなき世界』

デビッド・A・シンクレア/マシュー・D・ラプラント著 梶山あゆみ[訳]

東洋経済新報社 2020年9月発行

 

この本は、とても話題になったし、

本屋でも平積みになっていたので知っている人が多いだろう。

 

本の厚さにひるむ人が多いかもしれないが、

486ページから491ページまでは謝辞、

最後から1ページ~98ページは索引、用語集、登場人物紹介、原註だ。

臆せず読んで見て欲しい。

 

最初は難しく感じるかもしれないが、途中から加速して面白く興味深く読みすすめるようになりますよ。

 

 

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この本をおすすめしたい人

  • 老化と老化に対する研究結果を知りたい人
  • 老化に対して今できることを知りたい人
  • 根拠のない老化対策ではなく科学的根拠の有る老化対策について読みたい人
  • 科学者による未来予想について知りたい人
  • 老化に対する過度な恐怖心をなくしたい人

 

作者紹介

デビッド・A・シンクレア(DAVID A. Sinclair)

 

世界的に有名な科学者、起業家。

老化の原因と若返りの方法に関する研究で知られる。

とくに、サーチュイン遺伝子、レスベラトール、NADの前駆体など、老化を遅らせる遺伝子や低分子の研究で注目を浴びている。

ハーバード大学医学大学院で、遺伝学の教授として終身在職権を得ており、同大学院のブラヴァトニク研究所に所属している。

ほかにも、ハーバード大学ポール・F・グレン老化生物学研究センターの共同所長、ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア・シドニー)の兼任教授および老化研究室責任者、ならびにシドニー大学名誉教授を務める。

その研究は、新聞・雑誌、ポッドキャスト、テレビ、書籍などで頻繁に取り上げられている。

(中略)

これまでに170本あまりの科学論文を発表し、50件あまりの特許を共同発明。

また、老化、ワクチン、糖尿病、生殖能力、がん、生物兵器防衛などの分野で、14社のバイオテクノロジー企業を共同創業している。

科学誌『エイジング』の共同主幹であり、国防関係機関やNASAとも共同研究を行うほか、これまでに35の賞や栄誉を授与されている。その主なものには「オーストラリアを代表する45歳未満の科学者」の1人に選出、オーストラリア医学研究賞受賞、アメリ国立衛生研究所長官パイオニア賞受賞、『タイム』誌による「世界で最も影響力のある100人」の1人に選出(2014年)、「医療におけるトップ50人」の1人に選出(2018年)、などがある。

2018年、医療と国家安全保障に関する研究が認められ、オーストラリア勲章を受章。

 

 

マシュー・D・ラプラント(Matthew D. LaPlante)

ユタ州立大学で報道記事ライティングを専門とする准教授。ジャーナリスト、ラジオ番組司会者、作家、共著者としても活躍。主な活動については、

www.madlaplante.comを参照のこと。

 

梶山あゆみ(かじやま あゆみ)

翻訳家。東京都立大学人文学部英文科卒。

主な訳書にヒッグス『人類の意識を変えた20世紀』、ウィンチェスター『精密への果てなき道』、ジョンソン/ギャラガー『10億分の1を乗り越えた少年と科学者たち』

(以下略)

 

『LIFE SPAN 老いなき世界』より引用

 

 

 

 

この本のおすすめポイント

  • 広告やネット上の怪しげなアンチエイジングに惑わされなくなる(と思う)
  • 科学的な視点から老化を考えることができる
  • 老化に対する研究の過去・現在・未来が時系列的に語られている
  • ”老化は病気”という新しい視点を得ることができる
  • 未来は健康寿命が伸びるであろうことを知り、希望を感じることができる

 

 

 

国内最大級の治験情報サイト Qlife

 

 

心に残った点・役に立った点

 

老化を寄せ付けない、あるいはしんじがたいほど長寿な生き物たち

ヒッコリーマツは、ヒトと同じ真核生物。遺伝子の半分は私達のものとよくにているそうだ。

だが、このマツは老化しない(年をとらないというわけではない)

 

樹齢23~4713年(!)のヒッコリーマツを科学者が調査した時、細胞老化の違いがなかった。

 

私が心底驚いたのは、次のクラゲの話。

 

アメリカ西海岸に生息するミズクラゲ、体長1センチほどのチチュウカイベニクラゲの2種は、「不老不死のクラゲ」と呼ばれているそうだ。

 

「不老不死のクラゲ」をすり潰して細胞を1個ずつばらばらにしても、やがてその細胞が集まっていって完全な固体に戻る。

 

なんと、再生すると同時に、老化の時計をリセットしているものと考えられているそうだ。

 

これには、びっくり!

まるでSFの世界ではないか!

(でも、これは人間には無理な話。だってすり潰されないと再生できないなんて、、、)

 

でも、既にこういった生物がいる以上、老化や再生についてまだまだ未知のものがあって、研究の余地があるということなんだなぁと。

 

 

健康長寿のために誰ものが取り組めること

食べる量を減らせ

 

 25年にわたって老化を研究し、何千本という科学論文を読んできた著者がアドバイスするのが「食事の量や回数を減らせ」

 

今すぐ実行できて、確実な方法との事。

 

要するに食物が足りない時の遺伝子の反応を再現するのが、

健康法につながるとのこと。

 

間欠的断食

 

食事の量は普段とは変えないものの、食事を抜く期間を周期的に差し挟む方法。

 

昔は、食物を断つことが身体を「休める」と信じられていたが、

現在は全く正反対の見方がされており、

身体が絶食のストレスに晒されることによりサーチュインのプログラムを働かせると考えられているそうだ。

 

アミノ酸を制限する

 

肉類には9つの必須アミノ酸がすべて含まれているが、相当な代償を伴うそうだ。

 

動物性に偏った食生活を送っていると、心血管系疾患による死亡率とがんの発症率が高まることは研究で報告されており、特に加工した赤身肉はいけない(ホットドッグ、ソーセージ、ハム、ベーコン)。

この加工肉については何百という研究で、結腸・直腸がん、膵臓がん、前立腺がんとの関連が確認されているそうだ。

 

生きる上でアミノ酸は必要だが、

たいていの人は少ない量でも間違いなく耐えられるそうだ。

 

 

運動をする人ほどテロメアが長い

 

運動をすることによって、NADの濃度が上昇し、それがサバイバルネットワークを作動させる。そのおかげでエネルギーの産生量が上がり、筋肉は酸素を運ぶ毛細血管をさらに増やすようになるそうだ。

 

AMPK、mTOR、サーチュインといった長寿関連の物質はカロリー摂取量にかかわらず運動によって正しい方向に調節され、新しい血管をつくらせ、心臓や肺をを健康にし、身体を丈夫にし、テロメアを長くする。 

 

 

 

 

寒さに身を晒して長寿遺伝子を働かせる

 

褐色脂肪は「寒さ」でも活性化されるそうだ。

(低体温症や凍傷になるまでやってはダメ)

鳥肌が立つ、歯がカチカチ鳴る、腕が震えるのは危険なサインではなく、

こうした状態をある程度経験すれば、長寿遺伝子は必要なストレスを受け取って健康的な脂肪を増やすそうだ。

 

面白いのは、サウナなどの高温は低音ほど効果ははっきりしていないそう。

人間は恒温動物なので体内の酵素は大きな温度変化に耐えられるようにはできていない。深部体温をあげさえすれば長生きするというわけにはいかないとの事。

 

タバコ、有害な化学物質、放射線は老化を早める

 

亜硝酸ナトリウムで処理された食品(一部のビール、塩漬けや燻製などの保存処理をした肉のほとんど、特に加熱したベーコン)は、N-ニトロソ化合物が生成されることは半世紀前に判明していて、強力な発がん性を持つことが確認されてきたが、ニトロソ化合物はがんだけではなく、DNAを切断する力があり、サーチュインをもっと酷使してしまうそう。

 

 

著者は、砂糖、パン、パスタの摂取量をできるだけ少なくしているとのこと(デザートは40歳でやめた)

一日のうちどれか一食を抜くか、ごく少量に抑えるようにしている。

植物をたくさん摂取し、ほかの哺乳類を口にするのは避けるようにしている。運動したときには肉を食べる。

タバコは吸わず、電子レンジにかけたプラスチックや、過度な紫外線、レントゲンやCTスキャンを避けるようにしている。

日中と就寝時は、涼しい場所にいるようにしている。

(以下略)

 

などなどを気をつけているそうだけど、

私も電子レンジにかけたプラスチックは避けているなぁ、そういえば(要するにコンビニのお弁当や冷凍食品は食べないようにしている)

 

著者は、特定のサプリメントを推奨することはないそうなので、誤解なきよう。

 

そして、この本の主題は、こういった健康法をアドバイスという小さなものではなく、これまでの人類の老化に対する研究や、現在、これからの未来についての事までも書かれているので、興味を持った方は実際に読んでみて、そして健康のために取り入れたいことがあれば自分なりに取り入れて見れば良いと思う。

 

 

 

 

私達はどこへいくのか

この本の第3部 私達はどこへ行くのか(未来)で、

とても印象的なのは、高齢者が活躍できる社会へという部分だ。

 

2014年のカリフォルニア州サンディエゴのマラソン大会に91歳の女性、ハリエット・トンプソンがランナーとして出場して、最高齢情勢の記録を塗り替えたそうだ。

彼女は、走ることで白血病リンパ腫協会向けに10万ドル以上の寄付金を集めたそうだ。

 

なんとびっくり!

 

だが、将来的には同じことが暮らしのあらゆる場面で起きると著者はこの本で語っている。

 

教室では90代の教師が、新しい仕事を始めようとする70代の生徒を指導する。

高齢の夫婦が、孫の孫と取っ組み合って遊ぶ。

経験が物を言う職場では、高齢の労働者が敬われ雇われる。

 

過ごした時間がネックではなくなり、高齢者は厄介者ではなくなる。

 

高齢者に対する誤った固定観念も健康な寿命を伸ばすことができれば、無くすことができるということ。

 

高齢の労働者が労働市場を圧迫するというのは、誤った考えと著者は力説しているのだ。

 

定年退職する人がいなければ、若い労働者が仕事からあぶれるのではない。

国家が新しい発想を取り入れたり、人的資本を活用したりするのを怠るから国家が停滞すると。

 

60~60歳など定年年齢の低い国の方がGDPが少ない。

モルドバハンガリーラトビア、ロシア、ウクライナ等)

その一方、

オランダ、スウェーデン、イギリス、ノルウェーなどの定年年齢が66~68歳の国のほうがGDPが高い。

 

要するに、いつまでも働き続けられれば経済のあり方自体が変わるということ。

(高齢になって働けなくなったにお金がなくなる恐怖からタンス貯金など、しまい込まれた資金は数兆ドルにのぼる)

老化を遅らせることによる経済効果は、医療費の削減、ボランティアや後進の指導、奉仕活動などで社会に利益も還元できる。

(経済学者のゴールドマンの推計によると、老化を遅らせることによる経済効果はアメリカだけでも50年間で7兆ドルを超える)

 

 

著者の父親は80歳だが、

働くことが恋しくなって、シドニー大学の論理委員会の一員として、研究を審査・承認する役についたそうだ。

充実した暮らしをし、世界を旅し、健康状態を維持し、未来に明るい希望を抱いているのだそうだ。

 

 

巷には、いろんな健康法が溢れている。

テレビで紹介される健康法を見るのは楽しかもしれないが、

そこにはスポンサーという背景があることを忘れて盲信する人もいる。

 

そんな目先だけの健康法や、一時の流行りの健康法にながされずとも、

きちんと科学的に研究されたものを自分なりに取り入れれば良いだと思う。

 

そして何より、この本の素晴らしい点は、

「老化は病気」と定義しているところだ。

 

この点で、一般的な固定観念を思いっきりはずしてくれる。

病気なら、いつかは治せる時代がくるという明るい気持ちにさせてくれる。

 

とてもおすすめです!

 

 

 

 

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