「軽く読めそう~」と思ったが、じっくり読んでしまった。
タイトルは「女優の箪笥」だが、
冒頭の室井滋さんのエッセイは、
喫茶店に入ってきた着物を着た女性(そう若そうでもなくとびきりの美人でもない)が入って着た時の、室内の空気の変化(やっぱり女は着物よね~みたいな)が面白く書かれていてググッと引き込まれる。
そして、表紙の室井さんがとっても綺麗!
こんなにきれいな人だっけ!と思うほど綺麗。
白っぽい着物がぱぁっと映えて髪型もとてもお似合い。
個人的には、本の中にある元気で派手な着物よりもこちらの方がシュッ!としてて似合うような気がする。
(ただし、2005年の本なのでそのあたりの写真)
やっぱり着物すごいかも、、、なんて思いながら読み始める。
この本をおすすめしたい人
- 室井滋さんのファン
- 着物が好きな人
- 女優の着物感が知りたい人
作者紹介
富山県生まれ。
早稲田大学在学中から多くの自主製作映画に出演。
映画「居酒屋ゆうれい」「のど自慢」などに出演し、
日本アカデミー大賞など映画賞多数受賞。
この他、大ヒットドラマ「やっぱり猫が好き」、「心療内科医涼子」、「菊次郎とさき」などに出演するほか、ナレーターやCMなどでも活躍。
またエッセー集「むかつくぜ」、「キトキトの魚」、「東京バカッ花」、「すっぴん魂」シリーズ、「しんシン体験」、「うまうまノート」、「ふぐママ」など著書多数。
『女優の箪笥』より引用
この本のおすすめポイント
- 年代もイメージも違う方達のそれぞれの着物姿が載っている
- それぞれの着物感が面白い
- 室井滋さんと対談者の会話が楽しい
- 着物着てみようかなーと思う
心に残った点・役に立った点
女と着物と母
女性と母の関係は確執だけではなく、心の奥にはいっぱいのものがある。
着物についての対談だけど、母についての事もちょくちょく出てくるのが興味深い。
都はるみさんは、ご両親が京都で帯を織る仕事をされていたそうだ。
そのお母さんが作ってくれた着物や帯も着ないものがいっぱいあった。
どっかで抵抗しているんです。との事。
復帰してからのコンサートには3回しか来てくれなかった。
「あの時にはるみに捨てられたから、もう自分はやめたっ(笑)」
お母さんが織った形見の帯とかも無いそうだ。
山村紅葉さんの場合はマルサをしている時、
着物屋の脱税を見つけた話なども面白い。
お母さん(故 山村美紗)の物を身に着けていないと、着ようと思っていたものが破れたりするとの事で、対談の時はお母さまが見立ててよく褒めてくれた着物をお召だった。
加藤治子さんの、結婚するときにお母さんが沢山着物を作ってくれたけど、旦那様が病気になったので栄養をという事で着物を食べ物に変えた話(戦後すぐの頃の話)などは、切ない。
着物にこもる女の心(母心も含め)、母との関係など、
着物の対談なのに、そのあたりも感じ取れるのが心に残る本。
室井滋さんも母に抵抗していたから、両親が離婚した時に父側についたとこの本の中で語っている。
フジ子・ヘミングさんは、コンサートの時に、
着物をさらっとゆるっとガウンのように羽織っているのを拝見したことがあるが、それがとてもキャラクターに合っていて素敵だった。
彼女は、日本人にはもっと着物を着て欲しい、と言う。
スウェーデン大使館でパーティをした時に、来る日本人に着物で来いって言ったそうで、男の人まで羽織袴で来て嬉しかったそう。
アメリカ人の男は身体がビシッとしててお尻も締まっているけど、それが日本の男には全然なくみんな貧弱。
だけど着物を着て、お腹の下に帯したらすばらしいと。
ほんとに、これは同感。
あの下腹でグッと帯をしてるのは、びしっとしてかっこよく思えるなぁ。
足の長さなんて関係なくなるものね。
意外なことにフジ子・ヘミングさんは、
お神輿や阿波踊りも好きだそう。
でも江古田でジーパンでお神輿担いでいるのをみてがっかりしたそう。
これはわかるなー。
前に山形の花笠踊りを観た時、みんなお揃いではあるんだけどTシャツを着た軍団が多くて、華やかさが無く物足りなく思ったものねー。
30分位でさらっと読もうと思ったが、
思ったより感じ入る部分も多く楽しく読めた。
読後感も良い。
そして、着物が着たくなった。
私も、母との確執が長年あったが、持っている着物は母の心がこもっているのを感じる。
だいぶ古い本だが、読む機会があるかた是非どうぞ。